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VOL.289『胃腸が元気なら健康が維持される』 [体]

◆日本人の腸は長い?
 2014年の厚生労働省の調査によれば、消化管の病気は1000万件を超えました。腹も身の内という言葉があります。お腹も体の一部なので大事にしなさいという意味ですが、消化管の病気は自然に治ることがよくあるため、食べ過ぎだからと少しの間食べずにいたり、市販の消化薬を飲めば治るなどと軽く考えられてきました。
 古代人もお腹(消化管)の病気には苦労したようで重要な臓器と考えられていました。消化管といえば、昔から日本人は欧米人よりも腸が長いと言われています。足が短く、胴が長いのは腸が長いためです。欧米人は主に肉食で、日本人は草食であるため食物繊維の多い食品を消化するため腸が長くなったと思われます。長い進化の過程では古代日本人も肉食でした。その後、植物や海藻を食べる能力を手に入れたのです。
 日本人の腸が欧米人よりも長いと言われる理由は、欧米人が肉食中心で日本人が穀物中心の食生活だったからですが、近年の調査では日本人とアメリカ人(白人)の腸の長さはほぼ同じであることが分かりました。

◆消化管の中心を担う胃と腸
 消化管である胃は胃袋と呼ばれ、食べたものを胃袋の筋肉で強く混ぜ合わせます。胃の大きさには個人差がありません。食べる量が少ないと胃が小さくなると言いますが、胃の大きさは変わらないのです。食べ物は胃・小腸・大腸を平均1〜1.5日で通過します。食べた物は胃の中に3〜5時間とどまります。胃の形は人種によって異なり、日本人は食物繊維を豊富に含む穀物を主食としてきたので、消化を助けるため胃の筋肉を使って細かく砕くのに適した形になっています。欧米人は肉食が中心なので胃は牛角胃という形をしており、大量の胃酸で食べ物を溶かし速やかに小腸に送ります。欧米人の胃酸の分泌量は日本人の2倍以上だといいます。胃には胃酸(pH1~3)が溜まっていて、食べた物に付着した微生物(病原体)は生きられません。喉に侵入した新型コロナウイルスでも頻繁に水を飲み、胃へと流し込むことで感染を予防することができます。
 胃酸を強力に中和するのが膵臓の消化酵素(膵液)です。膵液はアルカリ性なので小腸と大腸を守っています。また膵液は脂肪を分解します。脂肪は通常3〜4時間で小腸を通過しますが、脂肪分の多い食品では10時間以上かかることもあります。日本人は脂肪の消化酵素が欧米人の50%以下と少ないのでさらに時間がかかります。
 喉元過ぎれば熱さを忘れるという諺がありますが、熱い茶粥を食べる地域では食道ガン、唐辛子を大量に摂取すると胃ガン、脂肪分を多く摂る人は大腸ガンの発症リスクが高くなります。食べ過ぎによる脂肪肝は、飲み過ぎによる脂肪肝よりも肝臓ガンになる割合が高くなります。肥満で内臓脂肪が増えると、脂肪肝・便秘・逆流性食道炎・大腸ガン・肝臓ガン・膵臓ガンを発症する危険性が高まります。乳ガンは思春期までに肉類や脂肪分の多い食事をしていると発生頻度が高まります。大腸ガン・胃ガン・肺ガンは運動不足の影響を受けやすいことも分かっています。

◆腸内細菌を活性化する食物繊維
 大腸内に生息する腸内細菌は食物繊維を餌としているので、食物繊維を多く摂れば悪玉菌が減少して善玉菌が増えます。さらに食物繊維は乳酸菌よりもビフィズス菌の増殖に役立ち、免疫力を高めます。乳酸菌や乳製品は腸内細菌を増やし、バランスを改善するといいますが、増えるのは腸内細菌全体の0.004%以下です。
 体内は活性酸素で酸性化が進み、これを抗酸化物質で還元しています。その役割の中心を担うのが水素です。水素は腸内細菌の活動によって発生します。乳酸菌の摂取よりも食物繊維を摂ることによって腸内細菌は水素を発生してくれるので、活性酸素による酸性化を還元します。弱アルカリ性の水を飲み、食物繊維を多く摂ることは免疫力を高めます。

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