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VOL.272『カルシウムパラドックスを防ごう』 [ミネラル]

◆骨粗鬆症の原因
 高齢になると骨折の大きな原因となるのが骨が弱くなる病気、骨粗鬆症です。特に大腿骨やその周囲の骨を骨折する高齢者は年間15万人以上にのぼります。高齢になって足を骨折すると大問題なのが、そのまま寝たきりになるリスクが高いことです。そしてそれをきっかけに認知症を発症する確率も上がります。そうならないためには骨の原料となるカルシウムを十分に摂取することが重要です。カルシウムの摂取量が不足すると血液中のカルシウム濃度を維持すること(生命の恒常性維持)ができなくなります。そこで生命を維持するために骨に蓄積してあるカルシウムを溶かし出し、血液中に補充します。この働きを指示するのが副甲状腺ホルモン(PTH)です。すると直ちに血液中のカルシウム濃度は一定値に戻りますが、引き続き体内にカルシウムが増え続けます。この現象をカルシウムパラドックスと呼びます。つまり、カルシウムパラドックスを起こさせないことが、高齢者には最も重要なことなのです。これが骨粗鬆症の原因となるからです。

◆カルシウム不足が結石を作る
 通常、体内に存在するカルシウムは99%が骨や歯の形成に使われます。残りの1%が筋肉や神経、体液に存在します。この1%こそが人体の生命活動に直結する役割を果たしています。具体的には(1)血液が血管内で固まること(凝固)を防ぐ。(2)筋肉の収縮を促す。(3)酵素を活性化させる。(4)心臓が正常に働くようにする。などです。ですから、カルシウムの摂取不足により1%のカルシウムがわずかでも減ってしまうと病気を発症してしまいます。
 血液中のカルシウム濃度は体内で厳密に管理されていて、少しでも不足すると脳から信号が出ます。この信号によって副甲状腺ホルモンが分泌され、骨に貯めていたカルシウムが血液中に溶け出します。まず、1%のカルシウムの不足分を補いますが、不足分が満たされても副甲状腺ホルモンの分泌は簡単には止まりません。骨から必要以上にカルシウムが放出されてしまうので、余ったカルシウムが血管の内壁や臓器、組織に付着します。これを石灰化といい、結石の原因となります。血管壁は弾力性を失い、高血圧や動脈硬化となります。弾力性を失った血管は傷つきやすく、血管内に血の塊(血栓)を作ります。この血栓が脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。一方、骨はカルシウムが必要以上に溶け出てしまうのでその分もろくなり、骨粗鬆症となります。
 だからこそ、まずはカルシウムパラドックスを防がなければならないということです。そのためには毎日カルシウムの豊富な食事やカルシウム・マグネシウムなどミネラル成分を豊富に含む弱アルカリ性の水を飲み続けることです。一般的には補給源として牛乳や乳製品を摂っている人が多いと思いますが、牛乳は体に良いとする専門家がいれば、飲むべきでないという専門家も多くいます。日本人は80%以上の人が小腸から分泌される乳糖分解酵素が無いか、もしくは少ない乳糖不耐性です。乳糖とは乳製品に含まれる糖質のことで、これを分解できない人を乳糖不耐性と呼びます。乳糖不耐性の人は牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするとか、下痢や腹痛を起こすので他の物から摂取する方が良いでしょう。大事なことは意識してカルシウムを摂取し、カルシウムパラドックスを防ぐことなのです。
 カルシウムパラドックスを起こすと糖尿病のリスクも高まるし、脊髄や脳神経細胞にカルシウムが溜まって神経細胞の変性が起こります。これが認知症と診断するβアミロイドやタウタンパク蓄積の神経細胞の障害となります。

◆マグネシウムも大切
 マグネシウムはカルシウムが細胞内に取り込まれるのを防ぎます。ですからマグネシウムの働きも健康寿命には不可欠なのです。特に動脈硬化や心血管系疾患にはマグネシウム不足が深く関与します。
 また、カルシウムはなかなか体に取り込みづらい栄養素なので、カルシウムとマグネシウムを豊富に含む弱アルカリ性のカルシウムイオン水を毎日飲み続けて補給することが重要です。

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