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VOL.274『カラダに良い水とは』 [健康]

◆水の働き
 紀元前625〜547年頃、古代ギリシャの哲学の祖・タレスは『万物の根源は水である』という言葉を残しました。水は人類の生命のあらゆることに深い関わりを持っており、それは今も変わっていません。人類は200万年前に誕生し、その後ヒトとして進化を遂げ、長い歴史の中で水無しでは生きられませんでした。ヒトのカラダは60〜70%が水で構成され、細胞内には50%、組織内には20%、血液中には7.5%の水が含まれています。そして体内に含まれる水の10%が失われただけで危機的な状態に陥り、20%を失うと死に至ります。
 水は体内の組織に浸透し、塩分や分泌物を溶解し、各器官の活動の媒介となっています。食物の消化や栄養素の運搬・循環・吸収、老廃物の排泄も水が中心的な役割を果たします。

◆水とカルシウム
 水の働きには、生命の恒常性を維持するための体温調節作用があります。体内で発生した熱は発汗することで体温が調節できます。この機能がうまく作動しなくなると、体内の熱をうまく放出することができなくなり熱中症状態になります。35℃以上の猛暑では冷房が効いている室内にいても水分摂取量が少ないと熱中症になってしまいます。水分補給が追いつかない状態で発汗が続くと、汗とともに多量の塩分が奪われ、体内の電解質(ミネラル成分)バランスが崩れて摂食中枢がうまく機能しなくなり、食欲不振に陥ります。熱中症は体内の水分と塩分の不足が原因で発症する病気です。水は人間が生きるために絶対に必要なものですが、どんな水でも良いかといえばそうではなく、ミネラル成分が豊富に含まれた水が良いのです。特に、カルシウムとマグネシウムが多く含まれている水を硬水と言いますが、世界中のどの地域においても硬水を飲んでいる人の方が健康で長寿です。硬水の中でも軟水に近い硬水が一番です。WHO(世界保健機関)は硬水を飲んでいる人の方が脳卒中や心臓病での死亡率が低いとの調査結果を発表しました。標高2000メートル以上の山から流れる谷川の水にはカルシウム、鉄、銅、フッ素などの微量ミネラル成分が多種類含まれています。
 一般的に高齢になるとカルシウムの摂取量が不足します。摂取したカルシウムの腸管からの吸収能力も下がるので、血液中のカルシウム濃度が低下します。すると副甲状腺ホルモンが分泌され、骨のカルシウムを溶かし出して補います。この副甲状腺ホルモンは微調整が効かないので、血液中のカルシウムが適量になっても骨のカルシウムを溶かし続けてしまいます。溶け出すぎて余ったカルシウムが血管壁に付着し動脈硬化が起こると、心筋梗塞や脳梗塞の引き金となります。

◆弱アルカリ性のカラダを保とう
 軟水に近い硬水を絶えず飲んでいると、血液中のカルシウムは適量に保たれます。ヨーロッパなどに比べると日本の水は硬度が低いので日本人は軟水を常飲しています。そのため硬度の高い水はまずく感じて飲みにくいので、軟水に近い硬水が口に合います。肉類や脂肪分の多い食事ばかり摂っていると血液が酸性の状態(アシドーシス)になります。すると自然に骨や歯のカルシウムが溶け出します。アシドーシスは過労やストレス過多の時になりやすく、また、糖類や糖質、肉類などのタンパク質、つまり酸性食品を食べ過ぎてもなりやすいので注意しましょう。
 逆に、カラダは弱アルカリ性の状態(アルカローシス)を保つことが重要です。十分に睡眠や休養をとったり、常に野菜や豆類・海藻・発酵食品などのアルカリ性食品を摂取していると細胞は元気で活性化します。カラダを弱アルカリ性の状態に保てば副甲状腺ホルモンが分泌されることはないので、骨からカルシウムが溶出することもありません。そしてマグネシウムやビタミンD、アルブミン(タンパク質)と結合した炭酸カルシウムの摂取でカルシウムの吸収性を効率化しましょう。カルシウムは腸の蠕動運動を活発にするので便秘を防ぎます。水に溶けてイオン化したカルシウムは吸収性に優れています。血液の粘りを弱め、血液が流れやすい状態になります。これがカラダに良い水の第一条件なのです。

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VOL.273『限界寿命まで生きるために』 [長寿]

◆虚弱(フレイル)とは
 近年、肥満やメタボが健康維持に障害となると問題視されていますが、後期高齢者が増加している日本では、むしろ痩せている状態の方が問題なのです。通常、高齢になると体重は減少してきます。75歳以上の高齢者でBMI(ボディマス指数)20以下の痩せ気味の人は女性が20%、男性が10%と女性の痩せ方が深刻です。
 痩せは虚弱(フレイル)という病気を引き起こします。虚弱と診断されるのは次の5項目のうち3項目が当てはまる場合です。1)体重が年間4.5kgあるいは5%以上減少する。2)歩行速度が0.3m/秒以下に低下する。3)握力が男性で26kg以下、女性で18kg未満に低下する。4)疲れやすい。5)身体の活動レベルが低下する。
 歩行速度が0.3m/秒以下のスピードとは、信号が青に変わって横断歩道を渡り始め、赤に変わる頃にようやく渡りきれる速度です。虚弱と診断されて問題となるのは健常者に比べて転倒の発生が1.3〜2倍、移動能力の悪化が1.5〜2倍、日常生活レベルの悪化が2倍以上になることで、その後、寝たきりや要介護になるということです。高齢者では75〜79歳で7%、80〜84歳で12%、85〜89歳で25%、90歳以上で44%が虚弱となります。虚弱の原因は筋肉量の低下で、サルコペニアと呼びます。脳が冴えている高齢の女性は多いですが、サルコペニアになる人も多いのです。

◆アメリカでの研究
 アメリカのボストン大学では100歳以上の長寿者を3群に分けて研究しました。1群は80歳以前に糖尿病や心筋梗塞を経験した人(43%)、2群は80歳以降にこれらの病気を経験した人(45%)、3群は100歳を過ぎても病気らしい病気をしていない人(12%)です。調査の結果、病気の圧縮という考え方が生まれました。病気をなるべく人生の最後に押しやることができる人が長生きするという考え方です。また、95歳以上の人とそれ以下の人で、ガン・心臓病・糖尿病・高血圧・骨粗鬆症がいつ起きたかを比較した結果、95歳以上の人の方が遅く起こり、発症時期には18〜24年の差がつきました。よって、病気にかかりにくいと寿命が長くなる確率が上がることが分かりました。この研究では長生きしている人は全体の33%で、男性が27%、女性は34%でした。長生きの人は病気にならないだけでなく、身体障害も防いでいます。そして、長寿の秘訣は、病気になってもそれを乗り越える元気さを持つことであると結論しました。

◆健康寿命から幸福寿命へ
 人間の限界寿命は115〜120歳位だといわれます。日本には100歳以上の百寿者は6万人以上います。ところが、110歳以上の人は146人しかいません。(平成27年国勢調査)90万人に1人の割合です。彼らは人生を限界寿命まで生きているのです。生きることにかけて完璧な成功者であり、長寿エリート、奇跡の人です。その壁は100歳と110歳の間にあります。今後も100歳までの人は増加しますが、110歳を超える人は多くはならないでしょう。110歳を超える長寿の人は高血圧や糖尿病、脂質異常症、ガン、認知症などにはなりません。肥満ではなく、血液中の炎症の度合いを示す数値が極めて低いという共通点があります。
 脂っこい食品をたくさん食べると腸に炎症が起こり、それが引き金となって全身の臓器に炎症が拡散します。腸内細菌がいつまでも若々しく保たれて腸が健康ならば全身の健康を長く維持でき、栄養状態が良好であれば免疫力が強く維持されて長寿につながります。よく食べて、風邪をひかないことで80以降の人生が充実し、幸福になります。
 加齢とともに頑固になり、人の言うことを聞かなくなるのが老化の始まりです。イライラや不機嫌さが増し、不幸せな気持ちになることが認知症を誘引します。高齢者は愉快に過ごしていれば動脈硬化が中程度で止まります。健康寿命からさらに進んで幸福寿命になることで認知症は防げます。幸福寿命で生きられれば限界寿命まで生きられて天寿を全うできるのです。すべてのことに感謝し、人の言うことに耳を傾け従うことが幸福につながります。毎日を楽しく過ごせるかどうかが重要なのです。あなたも長寿エリートを目指してみましょう。

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