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VOL.280『硝酸性窒素を含まない水を飲んでいますか?』 [生活]

◆ミネラル豊富な水
 水にはミネラル成分が豊富に含まれていることが重要です。特にカルシウムやマグネシウムが多く含まれる水を硬水といい、世界中のどの場所でも硬水を飲んでいる人の方が健康で長寿です。WHO(世界保健機関)でも硬水を飲んでいると心臓病による死亡率が低下すると報告しています。
 高齢になるとカルシウムやマグネシウムの摂取量が不足する上に、栄養素の吸収率も下がるので血液中のカルシウム濃度が低下します。すると副甲状腺ホルモンが分泌されて骨を溶かし、カルシウムイオンとして血液中に戻します。副甲状腺ホルモンの分泌は微調整が効かないので、血液中のカルシウム濃度が正常範囲に戻っても骨のカルシウムは溶け出し続け、余ってしまったカルシウムが血管壁に付着するので動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。さらに余ったカルシウムが組織や臓器で石灰化して結石を作ります。
 日本人は軟水に近い硬水を飲んでいる方が血液中のカルシウム濃度は適量に保たれます。カルシウムやマグネシウムを含む硬水は欧米諸国など大陸地域に多く分布するため、日本人は硬水を飲むと腸内細菌のバランスが乱れ、腹痛や下痢を起こします。古来から欧米人に比べて硬度の低い水を常飲し、和食という健康食品で世界でも指折りの長寿となりました。

◆水に含まれる硝酸性窒素
 水は自然界ではH2Oの重合体として存在します。カルシウムやマグネシウムを含む水は弱アルカリ性を示すのでアルカリイオン水と呼ばれます。イオン化した水は粘度が高く腸管からの吸水性に優れています。カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分の比率が低い水を飲んでいる地域の人には尿路結石症が多く発症することが知られています。また、偏食だったり、肉類や脂肪の多い食品、酸性食品を過剰に摂取していても腸の働きが低下して、酸性体質(アシドーシス)となり、尿路結石が生じます。
 日本で尿路結石が多い地域は、東海や近畿、中国、北九州などです。これらの地域の地質を調べると花崗岩や深成岩が多く、飲料水に含まれる硝酸性窒素が多いため糖尿病の発症リスクが高いことも分かりました。
 野菜や果物の栽培には肥料として窒素酸化物である硝酸性窒素を多く使用します。肥料の中の硝酸性窒素は野菜や果物の栄養成分であり、特に野菜の葉の部分に蓄積して青々とさせます。硝酸性窒素を多く含む野菜や草を食べるウシやブタの肉の中には硝酸塩が蓄積します。硝酸塩や硝酸性窒素が還元した亜硝酸塩は二級アミンと結合してニトロソアミンという発ガン物質を体内で生成します。ニトロソアミンは肉類に含まれるタンパク質と野菜や水中の硝酸性窒素が化学反応を起こして発ガン物質として形成されます。これらの食品を温めるために電子レンジを使用すると今度は活性酸素が発生します。これも加えてニトロソアミンの生成は増加します。また、糖尿病を発症させる原因としてニトロソアミンが膵臓のβ細胞を損傷することでインスリン分泌を減少させます。
 毎日のようにタンパク質として肉類や脂肪分の多い食事を続けることでカラダは酸性体質となり、肥満となります。最近の女性の胸が大きくなっているのも肉類摂取量の増加が関係しており、乳ガン発症の増加にも関連しています。

◆水は生命維持装置
 仕事が忙しく過労状態であるとか、ストレスが加わることで酸性体質は促進されます。すると酸性体質を中和するために、骨や歯に含まれるカルシウムが自然に溶け出てしまいます。
 生野菜に含まれる硝酸性窒素を取り除くには、硝酸性窒素を取り除いた水で洗浄するか、湯がきしましょう。そして、忙しくてもできるだけ電子レンジの使用は控えましょう。海藻や豆類・発酵食品などのアルカリ性食品の摂取も有効です。カルシウムやマグネシウム、ビタミンD、アルブミンに結合する炭酸カルシウムを摂取することで栄養素の腸からの吸収性が高まります。
 水は生命維持装置です。ミネラル成分を豊富に含む弱アルカリ性の水を飲んで健康維持に努めましょう。
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VOL.279『ストレスは病気をつくる』 [健康]

◆副腎皮質ホルモン
 長寿の秘訣は健康を保って生きることです。江戸時代の医師だった貝原益軒は健康を守る上で大事なのは心を穏やかにして平常心を保つことだと言っています。つまり、ストレスを受けないで生きることです。ストレスに対する感受性には個人差があり、同じストレスを受けても全く大丈夫な人もいれば、心と身体に大きな影響が出てしまう人もいます。なぜ人によって差が出るのかについてはまだ良く分かっていません。
 ひとつ分かっているのは、ストレスがかかった時に分泌される副腎皮質ホルモンの量が増えると、免疫細胞、特にT細胞の機能を抑制する作用があるということです。事実、副腎皮質ホルモンはステロイド剤として炎症や過剰な免疫反応を抑える治療薬として使用されています。ストレスが多いと副腎皮質ホルモンが過剰に分泌され、免疫力が抑制されるので病気を発症しやすくなります。例えば風邪を引きやすくなったりするのですが、副腎皮質ホルモンが働く相手は免疫機能だけではなく全身で、特に脳神経細胞に働いて睡眠障害や精神障害などを起こします。ストレスが長く続くと、アルツハイマー病やパーキンソン病の発症が促進されるという報告もあります。脳に炎症が起こることで、うつ病を発症することもあります。つまり、ストレスは健康維持の最大の敵であると言えます。逆に言えば、毎日の生活でストレスを減らし、健やかに過ごせば長生きできるということです。

◆オステオカルシンとアペリン
 スウェーデンでは1870〜1900年の30年間に生まれた2800人以上の双子を対象に寿命と遺伝の関係を調査した報告があります。調査では、寿命には遺伝的要素が20〜30%、環境要因が70%関わっていることが分かりました。アメリカやオランダ、日本でも同様の研究報告があります。また、慶応大学グループの研究では100歳以上の長寿者は一般の人に比べて糖尿病や高血圧、動脈硬化、認知症、ガンの発症が少ないという傾向が見られました。長寿者に共通する点として、適度な運動習慣があり、運動することによって骨を作るオステオカルシンが豊富に分泌されていることが分かりました。オステオカルシンは筋肉運動によって骨の中の骨芽細胞で作られます。オステオカルシンが血液中に放出されるとインスリンの分泌を促すので、血糖値が低下し糖尿病を防ぎます。また、オステオカルシンは血液脳関門を通過して脳内に入り、海馬に働いて認知症を予防します。散歩などの運動が全身の臓器に良いことが分かります。
 2018年には運動することで筋肉自体が作る若返り因子が発見されました。それがアペリンと呼ばれるペプチドです。加齢によって人は筋肉量や筋力が低下するサルコペニア状態を示します。そこで、アペリンを投与するとサルコペニアが改善されることが分かったのです。アペリンは筋肉の収縮により筋細胞で作られる物質です。筋肉の幹細胞に働き細胞分裂を促すとともに、筋細胞のエネルギー代謝を亢進させて筋力を増強します。身体を動かしている人が若さを維持しているのにはアペリンが関与しているようです。

◆養生訓に学ぶ
 貝原益軒は養生訓の中で「人は天と地から生まれてきた。人が元気に生きていくには飲食により養分を毎日摂らなければいけない。でも飲食は願望のひとつであり、願望のおもむくままに飲食を続ければ胃腸のためにも良くない。度を過ぎれば生命に関わる。胃腸から取り込まれた養分が身体を養っている。草木が土の中で栄養を取り込んでいるのと同じである。つい食べ過ぎてしまう。腹七〜八分位で食事を抑えておけばしばらくすると腹は十分になる。腹いっぱい食べると、後で腹が張り病気になる」と言っています。炎症も生活習慣も何事も過ぎると取り返しのつかない困ったことになります。ストレスは慢性炎症を様々な病気へと発症させる根源なのです。副腎皮質ホルモンは一時的には炎症を抑えますが、そのうち効き方が悪化して効果がなくなります。ですから薬に頼るのではなく、まず積極的に笑うように努め、避けられるストレスは避けることです。ストレスには個人差があるので、自分なりに自分に合うストレスを避ける方法を見つけ、対処することです。

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