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VOL.318『メトヘモグロビン血症を起こす硝酸性窒素』 [硝酸性窒素]

◆メトヘモグロビン血症って何?
 2021年10月19日群馬大学医学部附属病院で、入院中の新生児10人が体内に酸素が行き渡らなくなるメトヘモグロビン血症を発症しました。幸い看護師による発見が早く大事には至りませんでしたが、原因は病院内で使用している水にあることが分かりました。メトヘモグロビン血症は1946年以降、北米およびヨーロッパで約2000例が報告され、うち6〜7%が死亡しています。多くは沸かした水道水で溶かしたミルクを飲んだ乳幼児の酸素欠乏による突然死です。その原因は水道水に含まれる硝酸性窒素でした。

◆硝酸性窒素が原因
 畑や水田には土壌の栄養価を高めるために多量の窒素肥料が使用されます。この方法は農業では当たり前の作業で、中でも窒素肥料の使用量が最も多い国はオランダです。オランダはチューリップの栽培が有名で栽培用や花卉の球根の栽培用に大量の窒素肥料が使用されます。窒素肥料は植物の葉の栄養成分であり、葉物野菜などを青々とさせ、生き生きさせるには大量の窒素肥料が必要です。そのため地下水の硝酸性窒素濃度が上昇します。また、工場で人工光を使用し、水耕栽培する葉物野菜にも大量の窒素肥料が使用されます。窒素酸化物が水素を介し、硝酸性窒素として土壌中、田畑、地下水、河川、池、水道水へと混入します。
 飲料水に含まれる硝酸性窒素によってガンが発症したり、糖尿病やメトヘモグロビン血症、酸素欠乏の発症が高まることは1960年代から世界的に知られた事実です。スウェーデンの研究所で糖尿病の原因としての硝酸塩や亜硝酸塩によるニトロソアミン化合物との関係を調べた結果、硝酸性窒素を含む葉物野菜や肉類、野菜料理、飲料水が体内の二級アミン(タンパク質)と結合することで生じるニトロソアミンが膵臓のβ細胞に損傷を与えるため血糖値を下げるインスリン分泌が減少し、結果、血糖値を正常に維持できなくなり2型の糖尿病になりやすくなることが分かりました。そもそも日本人は欧米人に比べて遺伝的に肥満でなくても糖尿病になりやすい遺伝子が40%も多いそうです。
 硝酸性窒素を含む水が胃の中に入ると胃酸の影響を受けて硝酸性窒素が亜硝酸製窒素に還元されます。その際、同時に肉類などに含まれるタンパク質や脂肪が結合すると発がん性物質でもあるニトロソアミンが大量に合成されます。

◆硝酸性窒素を除去して健康維持を
 窒素肥料は世界中で大量に使用されており、硝酸性窒素は水道水にだけでなく地下水や湧き水にも浸み込みます。多くの天然水は味を保つために殺菌消毒されておらず硝酸性窒素は取り除かれていないと思われます。近年では浄水器を設置している家庭が増えましたが、大抵は活性炭による塩素の除去や中空糸膜による不純物・匂いを除去するもので硝酸性窒素を取り除くものは少ないようです。
 水道水中の有害物質は沸騰すると濃縮されます。その水で肉や野菜を調理して食べることで硝酸性窒素や硝酸性窒素を含む酸性食品を食べ過ぎるとアシドーシス(酸性体質)になります。すると身体は体液を弱アルカリ性にして中和しなければなりません。それを唯一行える物質がカルシウムです。酸性体質では骨に含まれるカルシウムを溶出するので骨が脆くなり、骨粗鬆症になりやすくなります。血液中のカルシウム量も減少するので骨からのカルシウム溶出が増え、骨がさらに脆くなるので、酸性体質が続けば肥満になり、女性では乳がん発症率が上がります。毎日、硝酸性窒素を取り除き、カルシウムやマグネシウムを含む弱アルカリ性の水を飲み、骨を丈夫にすることが健康維持に繋がります。

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VOL.297『水や野菜に含まれる硝酸性窒素』 [硝酸性窒素]

◆カラダに良い水
 古代中国の思想家で儒教の開祖としても知られる孔子は、論語の中で『どんな水でも飲めば健康になれるというわけではない』と言いました。ミネラル成分が豊富に含まれていることが重要であると言ったのです。特にカルシウムやマグネシウムを多く含んでいること、事実、標高2,000m以上の高山から流れ出る谷川の水にはカルシウムやマグネシウム・ケイ素・鉄などの多種多様なミネラル成分が微量に含まれており、その地域に住む人は長寿です。通常、加齢とともにカルシウムやマグネシウム・ケイ素の摂取量は不足してきます。これが病気の原因となり、健康維持が難しくなります。
 カルシウムやマグネシウムを多量に含む硬水は、欧米や大陸地域に多く分布しています。日本人は古代から硬度の低い水を常飲してきました。そのため硬水を飲むと腸内細菌のバランスが乱れて腰痛や下痢が起こります。硬度が低くてもカルシウムを始めとする微量元素が含まれる水は弱アルカリ性を示し、アルカリイオン水と呼ばれて健康に良いとされています。特に炭酸カルシウムを主成分とする水は粘度が高く腸からの吸収性に優れています。日本人はこの水を常用することで和食という健康食品を生み出し、長寿国となりました。

◆硝酸性窒素とは
 花崗岩や深成岩の多い地域である東海、近畿、中国、北九州などの地域では、飲料水に硝酸性窒素(硝酸塩)が多く含まれています。また、野菜や果物の栽培には肥料として窒素肥料が大量に使われます。肥料中の硝酸性窒素は野菜や果物の栄養成分で、歯の部分に蓄積することで青々と育ちます。最近では水耕栽培の工場も増え、工場内では人工光を使用して多量の窒素肥料を自動的に添加する24時間体制で生野菜の栽培を行っています。
 硝酸性窒素や硝酸塩を多く含む野菜で飼育された牛や豚の肉には硝酸塩が蓄積します。硝酸塩や硝酸性窒素が還元された亜硝酸塩は、ヒトの体内でタンパク質の二級アミンと結合してニトロソアミンという発ガン性物質を生成します。ニトロソアミンは肉類に含まれるタンパク質と野菜や水中の硝酸性窒素が化学反応を起こして体内に発ガン性物質を産生すると同時に活性酸素も発生させます。
 近年、日本人の糖尿病やガンが増えている原因の一つとして、ニトロソアミンが膵臓のβ細胞を損傷することで血糖値を下げるインスリン分泌を減少させることがあります。日本人は欧米人に比べて糖尿病を発症させる遺伝子が2倍以上も存在することが知られています。ですから肥満でなくても糖尿病になりやすいのです。
 近頃の若い女性の胸が大きくなっているのは肉類の摂取量の増加が関係しています。毎日、肉類や脂肪分の多い食品、酸性食品を過剰に摂取していると腸の働きが低下して酸性体質(アシドーシス)となり、結石が生じやすくなります。そしてそれは乳ガン発症の増加にも関係しています。酸性体質が続くことで、生命維持のため体内を中和しようと骨や歯に含まれるカルシウムが溶かし出されて体内がカルシウム不足となります。ストレス社会の今日、仕事が忙しく過労が続くことでストレス過剰となり肥満が進みます。肉の摂取量を少なくして生野菜を多く食べる生活を心がけても、野菜には硝酸塩や硝酸性窒素が含まれていることを知らずに摂取し続けるという悪循環が起こります。

◆硝酸性窒素に注意
 野菜は硝酸性窒素を取り除いた水でよく洗浄するか、湯がきしてから食べることです。忙しいからと電子レンジを使って調理しても硝酸塩は取り除けません。アメリカやスウェーデンでの調査でも硝酸塩や亜硝酸塩を含む飲料水を飲み続けることと糖尿病や小児糖尿病との関連が指摘されています。オランダではチューリップの栽培に多量の窒素肥料を使用するため周辺の土地や地域では硝酸性窒素を含んだ水が問題となっています。その水は洗浄用としては使用できますが、飲料水として使用しないようにと指導されています。
 水道水にはトリハロメタンだけではなく、硝酸性窒素も含まれています。健康のため水や野菜に含まれる硝酸性窒素にも注意しましょう。

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VOL .6 『硝酸性窒素とは何ですか』(2) [硝酸性窒素]

摂りこまないためには…
 硝酸性窒素は、葉物の野菜に多く含まれているため、葉物の野菜を食する際には特に注意して硝酸性窒素を除去することが大切となります。硝酸性窒素を含まない水で茹がいてアク抜きをすることによって、だいぶ取り除くことができます。しかし、生の野菜をそのまま炒めたり、電子レンジで調理すると硝酸性窒素は除去できず、逆に高濃度に濃縮されることになります。

酸素を運べない!
 体内に摂りこまれた硝酸性窒素は、分解され亜硝酸塩に変化します。
 実はこの亜硝酸塩が“くせもの”で、血液中のヘモグロビンと非常によく結びつきます。ヘモグロビンは赤血球中に含まれ、全身に酸素を運ぶ重要な役割をしているのですが、亜硝酸塩はそのヘモグロビンと結びつき、酸素を運べない「メトヘモグロビン」に変えてしまうのです。そのため、体内は酸素欠乏をおこし、貧血と同じような状態になります。特に乳幼児の場合は、胃液の酸性度が大人に比べて未熟なので亜硝酸塩に変化する割合が高く、ブルーベビー症(メトヘモグロビン血症)となって、唇の色が青紫色に変わってきます。メトヘモグロビンの量によっては、チアノーゼ(皮膚や粘膜が紫色になる)を示し重篤な事態となります。火事などの際の死亡につながる一酸化炭素中毒のように急激な症状を起こし死に至ることもあるのです。

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ニトロソアミンとは?
 亜硝酸塩は胃の中でタンパク質やアミノ酸と結合することによって、ニトロソアミンという強力な発ガン誘発物質を作ります。体内に硝酸性窒素を摂り続けるような生活を何十年も続けてしまっては、ガンなどの生活習慣病になる可能性が高まります。
 
自分の身は自分で守る
 今日、野菜は海外から輸入しているものも含めて、硝酸性窒素の汚染が確実に進んでいます。しかしながら便利で快適な生活の質を低くすることは、なかなか難しいのが現実です。そこで、野菜を食べる際には、硝酸性窒素を除去することが望まれます。安全が要求される中で、日常生活の質の向上を図るためには、各々が自分を守る努力も必要といえるでしょう。

共通テーマ:健康

VOL .5 『硝酸性窒素とは何ですか』(1) [硝酸性窒素]

硝酸性窒素って?
 今回は「硝酸性窒素」についてお話します。
 そもそも硝酸性窒素とは何でしょう?あまり耳馴染みのない言葉ですよね。硝酸性窒素とは、窒素と酸素の化合物(窒素酸化物)の中の窒素成分のことで、人体には有害です。しかし、この硝酸性窒素は植物や野菜にとっては極めて大切な栄養成分で、その生育には必要不可欠な物質です。植物の3大栄養素は、窒素・リン酸・カリウムで、特に窒素は葉物の野菜には欠(か)くことができません。

おいしそうな野菜だけど…
 近年は野菜の季節感がなくなり、夏でも冬の野菜を食べることができますし、冬には夏の野菜が食べられる便利な時代になっています。各農家では一年を通してあらゆる野菜を供給するためや収穫効率を上げるためにハウス栽培や有機栽培、水耕栽培などを行っています。これらの栽培方法に野菜の栄養素である「硝酸性窒素」を過剰に含んだ肥料を用い、与えているのです。そのため、野菜の葉は新鮮でみずみずしく、黄緑色~青緑色のすばらしい野菜(実はメタボ野菜)として収穫されています。このように自然の土の力ではなく、工業化され、硝酸性窒素をたっぷり含んだ野菜はビタミンやミネラルが減少した人工野菜となり、もはや「野菜」とはいえなくなってきているようです。

最近の農業
 自然界での硝酸性窒素は、通常、空気中の窒素成分が雷や紫外線によって作られ、雨や雪となって土壌に吸収されたり、土中の微生物によって生成されて、一定のレベルで土壌中に保持されてきました。ところが、近代農業における過剰施肥(せひ)の結果、過剰な硝酸性窒素は土壌にしみ込み、地下水脈に蓄積して増加しています。野菜を含めて植物は、土壌中の水と硝酸性窒素を根から吸収するので、硝酸性窒素の栄養過多になってしまっているのです。このような傾向は日本においてだけではなく、チューリップの生産で有名なオランダでも同様です。また、急速に近代化が進んでいる中国でも、硝酸性窒素の含有量が多い野菜が急激に増加する傾向にあります。

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次回は、体内に入った硝酸性窒素についてお話します。

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