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VOL.316『脳内を流れる水が健康維持に関わっている』 [体]

◆人工知能と人間の脳
 21世紀の現代、コンピュータの進歩は目覚ましく、将棋や囲碁、チェスなどの分野ではAI(人工知能)が人間を凌駕しているようです。また、家電や車の自動運転など日常生活においてもAIが活躍し、AIを兼ね備えたロボットもどんどん進化しています。果たしてAIは人間の脳になれるのでしょうか?脳はなぜコンピュータに類比されるのでしょうか?コンピュータは脳の情報伝達作用のメカニズムを応用しています。コンピュータのデジタル信号は神経回路のONとOFF、0と1の組合せなので脳の電気信号をバーコードに置き換えて解読すればコンピュータで再現できます。脳の記憶や意識というアイディアをインターネットに接続できる夢のような技術を再現できる日はそれほど遠くないのかも入れません。
 脳内で電気信号を動かしている神経細胞はニューロンと呼ばれ、その活動を知ることで脳の働きを解明できると信じられてきました。ところが、最近の研究では他にもさまざまな要因があり、その要素がニューロンをサポートしていることが分かりました。その中には喜怒哀楽などの心の働きがあり、それがあるから人は生きていると実感できるのです。

◆常に入れ替わりながら満たしている
 脳はニューロン以外にグリア細胞と呼ばれる細胞から構成されています。これが脳の情報伝達にも関与します。また、頭蓋骨の下には脳脊髄液という液体(血液)が脳内を循環し、健康な脳の働きを維持しています。その隙間は間質液という液体で満たされています。脳の間質液は頭蓋骨の下を流れる無色透明な液体で、成人では130ml存在し、1日に450〜500ml産生され3〜4回入れ替わる脳の水です。
 鎌倉時代の鴨長明が記した方丈記の冒頭部分には、無常観(変わらないものなど何もない)という思想を表現した有名な言葉があり、現代に生きる人々も共感できる美しい言葉です。この無常観と恒常性は相反する言葉ですが、間質液も脳を浸しながら、その水は常に流れて入れ替わっており、同じことを意味しています。この液体が脳脊髄液です。これによって脳内環境は常に一定に保たれ、健康が維持されます。これを恒常性と呼び、これが水の役割なのです。今から800年前に常に流れ続ける川の流れを見て鴨長明は無常観を発想しました。これと同じ発想で現代医学は脳内の水の流れによる恒常性維持を逆説的に発見しました。

◆脳内の水の質にこだわろう
 間質液は無色透明な液体でイオン化したナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分が一定の範囲内でバランスよく調節され存在しています。特にカルシウムイオンとマグネシウムイオンは体内で欠乏すると脳を守るため脳に優先して回されます。
 神経細胞は細胞の内側と外側のイオンバランスが厳密に保たれることで活動が維持され、健康が維持されます。しかし、新鮮な間質液の供給が停止すると神経細胞はエネルギーを使ってイオンバランスを変化させます。すると神経細胞に老廃物のアミロイドβが沈着し、アルツハイマー病を発症しやすくなります。
 グリア細胞は頭の良さ、知性を生み出すことが知られていますが、カルシウムイオン濃度が上昇すると活性化することが分かりました。ミネラル成分を豊富に含む弱アルカリ性の水をたくさん飲んで脳内の脳脊髄液や間質液を入れ替え、神経細胞とグリア細胞を活性化させることが健康維持や長寿につながるようです。

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VOL.312『活性酸素を完全に排除できない理由』 [体]

◆大型化と引き換えに活性酸素
 今からおよそ27億年前の地球は、ほとんど海に覆われていたので大気中のエネルギーによって光合成を行うには絶好の環境でした。こうした偶然の元で生命体は誕生し、進化しました。光合成細菌であるシアノバクテリアでは太陽光エネルギーによって水が分解(酸化)されて水素と電子が放出されました。その電子がシアノバクテリアのミトコンドリアの電子伝達系の作用し、発生するエネルギーを使って海水中の水素と二酸化炭素から炭素化合物が作られました。つまり、光合成は炭素化合物を作ることが本質であって、酸素の発生はおまけのようなものでした。
 生物はDNAの基幹を成す糖(ブドウ糖)を自分の体内で作りますが、他の生物に依存しない限り子孫を残すことができず生命体を継承できません。人類の祖先である生命体は自ら糖を作ることができなかったので、光合成の生物から供給してもらって命をつなぎ、酸素を利用する選択をしました。生命体はこの酸素システムによって細胞を組織や臓器へと分化させ大型化を目指しました。結果、その対価として莫大な活性酸素という毒を体内に抱えることとなったのです。そして生物は活性酸素の脅威から逃れるための完璧な対抗手段を作れていません。あるいは敢えて作らなかったのか、それは未だに不明です。

◆活性酸素にもメリットがある
 今日、心臓病・ガン・慢性肺疾患・腎疾患・糖尿病・アルツハイマー病・自己免疫疾患など、世界中で死亡する人の60%以上に活性酸素が関わっています。そして傷や感染に伴う炎症にも活性酸素が関与しており、人類が生き延びるためには日々活性酸素との闘いがあります。SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)やカタラーゼという活性酸素分解酵素が体内には用意されていますが十分量ではない上に、若い頃は処理する作用が強いのですが高齢になると十分に働かなくなります。
 そんな活性酸素を酸素呼吸で生きる生物が完全に排除しない理由の一つが、活性酸素を細胞間の情報交換ツールとして多用している事実があります。細胞はDNAからタンパク質の設計図となる遺伝子が誘導されて作られます。これらは全て情報伝達の指令によって起こります。活性酸素はタンパク質を還元型から酸化型に変えることで活性化します。活性酸素の働きがなければ細胞内の情報伝達は停滞し、新しくタンパク質を作ることができないのです。そこで生物がとった活性酸素対策とは何でしょうか?ヒトを含む生物は活性酸素によって傷ついたDNAを子孫に残さないためにその細胞が自ら死を選ぶ機能(アポトーシス)を作りました。異常な遺伝子を確実に死に至らしめるためにアポトーシスを起こしたのです。活性酸素を次世代に引き継がず異常な遺伝子を減らすため、雌雄を同体にせずにオスとメスを分離し、遺伝子を有性生殖で交換することでDNAの修復を進めました。

◆上手に使って健康維持
 細胞内のミトコンドリアではエネルギーを産生する際、同時に2~5%の活性酸素が発生し、それが周辺の細胞に障害を与えます。しかし、活性酸素は日常的に体外から侵入するウイルスや細菌などの病原体を破壊するので、それを利用して免疫防御機構を獲得しました。ヒトは自分自身を危うくする活性酸素を敢えて自分のカラダに常備することで生への執念を持ち続けたのです。こでが活性酸素が諸刃の剣であると言われる所以です。
 活性酸素の働きを上手に使うことで、感染症から身を守り、老化を防ぎ遅らせることで健康維持にもなります。人類の宿命である活性酸素との闘いと共生が生き続けるための鍵なのです。

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VOL.311『腸を健康に保ち免疫力を上げよう』 [体]

◆身体は温めると免疫力が上がる
 最近は身体を冷やさず、温めることが健康への近道であるという記事をよく目にします。朝起きたばかりでの体温は平熱よりやや低く、これは体内時計の働きで副交感神経が優位の状態を維持しているためで、その後動きが活発になるにつれて交感神経の働きが優位となり、体温が上昇します。ところが、昼頃になっても36℃前後を示す人がいます。免疫細胞である白血球のリンパ球が最も活発に働くのは36.5℃前後なので平熱が36℃以下というのは免疫力が低下していることを示しています。
 感染防御には免疫の働きが重要で、免疫力を維持するためには常に低体温にならないようにすることです。例えば、ガン疾患の人は平均体温が健康な人より低くなっています。体温が低下すると病気になりやすくなってしまうのです。

◆温めると腸も活発に働く
 身体を冷やさず長時間体温を維持するには保温力が欠かせません。保温力を上げるものとして、シナモンや生姜(ジンジャー)に含まれるジンゲロールがあります。日本薬科大学で冷え性の女性を対象にカレーにシナモンや生姜などのスパイスを十分に入れた食事をしてもらい体温と深部温度を測定する調査をしたところ、90分後の体温が上昇し続けたそうです。シナモンやジンジャーを含むお茶も身体を温めます。
 シナモンは日本では桂皮として婦人科向けの漢方薬に使用されます。主成分はケイヒアルデヒドで血流増加や末梢血管の拡張作用、水分代謝の調節などの作用があります。血管が拡張すれば体温は上昇し、全身の臓器が活動し、特に便秘の改善に有効で、発汗作用もあります。発汗は血管が拡張することによる新陳代謝の促進で起こります。冷え性だと腸管運動が低下して便秘になりやすくなるので、シナモンやジンジャーを含む食材を摂取することで冷え性を改善し、腸の蠕動運動を活発にして排便を促しましょう。
 免疫力を高める食品として他に乳酸菌があります。乳酸菌は腸内細菌のうちの善玉菌で蠕動運動を活発にし、ビタミンやミネラル、タンパク質の合成、免疫機能の強化に役立ちます。日本の伝統的な食品である漬物や味噌、醤油など発酵食品に多く含まれる植物性乳酸菌は腸内を弱酸性の環境に保つので、悪玉菌が生息しにくくなります。また植物性乳酸菌は温度変化に強く、胃腸内の過酷な環境でも死滅せず、生きたまま大腸まで到達できます。腸の蠕動運動や免疫力の強化、ガン予防にも有効です。一方、動物性乳酸菌は口から摂取してもほとんど胃液や腸液によって死滅してしまうので腸まで届かない欠点があります。
 食物繊維も大切です。食物繊維には水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維は腸内で水分を吸って何倍にも膨らみ腸壁を刺激するので便秘や肥満の解消、大腸ガンの予防にも効果的です。水溶性食物繊維は水に溶け粘性を増し、腸内細菌によって分解されます。胃でも長くとどまるので糖分やコレステロールの吸収を抑制し、血糖値の上昇を抑え、糖尿病や動脈硬化、高血圧の予防に有効です。

◆ミネラルも大切
 腸を元気に活性化すると体温が上昇し、免疫力が高まります。それにはカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分を十分に補給することも重要です。ただし、カルシウムを摂取してもマグネシウムの摂取が不足していると、他のミネラル成分の亜鉛やセレンが働きません。ミネラル成分豊富な弱アルカリ性の水を飲んで免疫力を高め、健康を維持しましょう。

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VOL.310『サルフェートの健康効果』 [体]

◆サルフェートとは
 女性は何歳になってもダイエットに関心があるようで、ダイエット効果が高くて健康維持にも効果があるという超硬水を好む人も多くいます。効果が高い理由の1つがサルフェートです。カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分と硫酸基が結合して硫酸塩になった金属成分をサルフェートと言い、超硬水はサルフェートを含んでいます。
 サルフェートは温泉に含まれる成分としても知られており、体に溜まった有害物質を排泄させる効果があると話題になりました。体内では有害物質が溜まると、それに反応して活性酸素が発生します。通常、食べ物からは重金属や合成化合物、薬品などの化学物質が気付かぬうちに体内に入ってきます。加工食品を日常的に多く食べている人は同時に食品添加物が入ってきます。結果、体内で発生する活性酸素が増え、有害物質が溜まれば免疫力が低下します。

◆感染予防とデトックス
 新型コロナウイルス感染症を予防するため日常的にアルコール消毒や手を洗う機会が増えています。衛生的で清潔な環境が維持されることで、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が増えます。さらに、潰瘍性大腸炎やクローン病などの自己免疫疾患も増えます。アレルギー性疾患は、本来身体に害のない花粉やタンパク質などの異物に対して免疫機能が過剰に反応して炎症を起こす病気です。自己免疫疾患は、本来敵(病原体)に向けられるはずの免疫防御反応が体内の組織に向けられて攻撃してしまう病気です。
 今日、日本人の免疫力が総合的に低下しています。そのため新型コロナウイルス感染で重症化する高齢者が増えました。若者でもダイエット中で食事量を減らしたり、添加物を多く含む食品を摂取していると腸内の細菌数が減少して免疫力が低下し重症化することもあります。デトックスする方法は毎日の排尿や排便・発汗です。つまり、水をたくさん飲むことです。サルフェートがデトックスに効果があるのは利尿作用の働きで排尿量が増え、老廃物や有害物質を体外に排出してくれるからです。また、便通を良くしたり、新陳代謝を高め細胞を活性化する働きもあります。特に二日酔いや悪酔いした時、サルフェート入りの水を飲むとアルコールが分解したアセトアルデヒドを尿中に排出するので効果的です。

◆ダイエットには水
 ダイエットで食事の制限をしていると特にミネラル成分の摂取量が減少します。ミネラル成分は生命活動に不可欠な栄養素で、カルシウムは脂肪キラーと呼ばれるミネラル成分です。水溶性のカルシウムを摂取すると腸の蠕動運動が活発になり、腸内に溜まった脂肪分や有害物質を便とともに押し出す働きがあります。体内の脂肪の燃焼を促進するとともに脂肪の吸収を抑える効果もあります。カルシウムを豊富に含む水を飲むことでダイエット効果が高まるという研究者もいます。ダイエットには冷やした水を飲む方が効果的です。37℃の水より22℃以下の水の方がエネルギー消費量が多く、40%が水の温度を体温まで高めるために使われます。ダイエットでは食品を減らす代わりに水を飲む量を増やすことも効果的で、1日2〜2.5リットルを目標とします。ダイエットで水を飲むことを制限すると血管内に血栓ができて脳梗塞や心筋梗塞を起こす危険性が高まります。腎臓機能に障害がある人や胃腸が弱い人はこのようなダイエットをしてはいけません。胃腸の弱い人は下痢を起こしやすいのでサルフェートや冷水は不向きなのであまり飲まないようにしましょう。サルフェートは有効ですがミネラル成分なのでカルシウムやマグネシウムを含む弱アルカリ性の水が日本人には適しています。

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VOL.309『オメガ3脂肪酸を摂取して健康維持』 [体]

◆脳の働きと魚
 記憶や学習などの働きは脳内に1000億個ある脳神経細胞のニューロンが担っており、複雑なネットワークで情報伝達しています。そしてそのスピードが速いほど思考力や判断力・記憶力・学習能力も高くなります。ニューロンの先端にはDHAが含まれています。DHAやEPAという脂肪酸はオメガ3脂肪酸で、魚の油に豊富に含まれています。1989年イギリス人の脳栄養科学研究所のマイケル・クロフォード教授によれば、日本人の子供の頭が良いのは魚を常食としているからで、知能指数が高いのはDHAの生理的な働きによるものだと報告しました。フィンランドの研究所の調査では週2回以上の割合で魚を食べている人はうつ病状態が改善したそうです。

◆オメガ3脂肪酸
 EPAは血漿凝集抑制効果がDHAよりも優れており、血管内で血小板が固まって血栓を作ることを防ぐ役割を果たします。つまり、EPAには血液をサラサラにする働きがあるので、心筋梗塞や脳梗塞の予防効果が高いと考えられます。また、EPAは痩せるホルモン(GLP1)の分泌を促し、食べたものを胃に長くとどめてお腹を空きにくくさせるのでダイエット効果が期待できます。GLP1は食事中に血糖値が上がると小腸から分泌され、それに伴って膵臓から分泌されるインスリンがブドウ糖の消費力を高めます。DHAはマグロ・サバ・イワシ・サンマなど青魚に豊富に含まれEPAは同様にイワシやサバ・マグロ・タイ・ブリ・サンマ・サケなどに多く含まれています。魚の油は加熱すると酸化しやすく流れ出やすくなるので焼き魚や煮魚よりも刺身の方がオメガ3脂肪酸の摂取効率が高まります。
 一方、加熱調理でもオメガ3脂肪酸が摂れる油があります。南米ペルーのインカインチオイルは熱帯雨林を原産地とする常緑樹の鮮やかな緑色の星型の実から搾るオイルで、αリノレン酸が50%以上も含まれています。このインカインチオイルは加熱しても強力な抗酸化作用を持つビタミンEが多量に含まれているのです。ビタミンEはオリーブオイルにも豊富に含まれますが、オリーブオイルの20倍以上の含有量があります。他にオメガ3脂肪酸が多く含まれている食物はクルミです。オメガ3脂肪酸は成人男性で2.0~2.4g、女性で1.6~2.0gが1日の摂取目標とされています。クルミは数個でαリノレン酸を2.5g摂取できます。

◆オメガ3脂肪酸とカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)
 オメガ3脂肪酸を摂りながらミネラル成分のカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)もバランス良く摂るようにしましょう。特にCaは生命維持に欠かせない栄養素です。Caが欠乏すると組織や血管壁にCaが沈着するカルシウムパラドックスという現象が起こります。それが脳で起きれば認知症につながります。MgにはCaを細胞外に運び出す作用があり、Caが細胞内に沈着するのを防ぎます。正常な状態では細胞内と細胞外のCa量は1対10000に調整されています。このバランスの維持にMgが働いており、健康長寿に貢献しています。また、心臓病や血管系疾患にMgの不足が関与しているため、心筋梗塞や脳梗塞の予防にはMgの摂取が重要であると、フィンランドの国立衛生研究所は環境衛生学雑誌に報告しました。特に欧米では年々Mgの摂取量が減少しており、心血管疾患が増加しています。日本でも若い世代で摂取量が減少していますが、これは欧米食に変化したためだと考えられます。
 オメガ3脂肪酸とCa、Mgを摂り続けることで病気や認知症になりにくい身体を作ります。それには毎日CaやMgを含む弱アルカリ性の水を飲み続けることをお勧めします。

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VOL.307『ケトン体をブドウ糖の代わりに』 [体]

◆空腹になると出てくる匂い
 近頃はマスクをする機会が増え、口臭を気にしなくても済むと思いがちですが、マスクをしたままで長くいるとマスク内には口臭が溜まります。口臭の原因は歯周病や虫歯、歯垢であると言われるので、若い女性などは歯のケアに余念がありませんが、実は口臭の最大の原因は空腹です。空腹の時間が長くなると独特な匂いが口腔内から出てきますが、それがケトン体の匂いです。
 私たちは主にブドウ糖をエネルギー源としており、そのうちの20%は脳が優先的に消費するので、他の臓器でブドウ糖が欠乏するとカラダは脂肪を分解して脂肪酸やアミノ酸を生成し、これを使ってケトン体を作ります。ケトン体と呼ばれるのはアセト酢酸、βヒドロキシ酪酸、アセトンの3種類であるため、ケトン体臭は独特な甘酸っぱい、リンゴが腐ったような匂いと表現されることもあります。特にダイエットや肥満防止のために糖質制限を始めた人からはケトン体臭が強く周囲に漂います。

◆ケトン体の働き
 ケトン体臭は口臭だけでなく、尿や汗としても強く出ます。また、皮膚には色素性痒疹と呼ばれる湿疹が出ることがあり全身の皮膚が痒くなります。それまで糖質に依存してきた人が急に糖質制限をすると、湿疹や口臭、尿臭、汗臭が強く出ることがあるのでその時には糖質制限を緩める必要があります。ダイエットの時間を減らすなどしないと皮膚症状はさらに悪化します。
 ケトン体臭は糖質制限に体が慣れてくると、全くなくなりはしませんが徐々に減少します。これは身体がケトン体を効率良く使えるようになってきたことを示します。糖質制限を始めた頃はケトン体が急激に増すことで代謝が規則正しく回らず、ケトンが使われきれずに余ります。余ったケトン体が口臭や体臭として匂いを引き起こしますが、やがて、身体がケトン体をエネルギー源とすることに慣れてくると効率よく使われるようになります。空腹時に口から甘酸っぱい匂いがしたら脂肪が分解され、ケトン体がエネルギー源として利用されている証拠です。現代人は糖質に依存しているのでケトン体はあくまでも緊急用です。遭難してしまい絶食状態になっても水さえあれば数十日生き延びられるのは、体内に蓄えられた脂肪が脂肪酸に分解されて合成されたケトン体がエネルギー源となるからです。
 また、ケトン体にはガンを誘発する酵素の活性を低下させ、炎症作用を抑制する抗ガン作用があります。正常細胞はケトン体をエネルギー源にすることができますが、ガン細胞はエネルギーとして使えません。そこで、ガン患者をブドウ糖依存からケトン体依存に切り替えることでガン細胞の増殖を抑制し、死滅させることができます。

◆老化防止や長寿にも
 体内の活性酸素はケトン体が出ていると数値が下がります。また、細胞は飢餓状態になるとNAD(ニコチン・アミド・アデニン・ジヌクレオチド)という代謝酵素を増やして休眠中の長寿遺伝子を活性化します。体内をケトン体状態にすると長寿遺伝子が活性化するので老化防止や寿命を延ばすと言われます。
 現代は飽食の時代ですが、意識的に食事の回数を減らしたり、糖質摂取を減らすことを繰り返すとケトン体をエネルギー源にすることができます。規則正しい生活の中で、空腹時間を長くする、この状態を身体が経験することで、脂肪からケトン体形成が進み、ケトン体の形成が正常になれば口臭や体臭もなくなっていき、知らぬ間に健康維持ができるようになります。その際には十分な水分補給も忘れないでください。

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VOL.304『ベージュ脂肪細胞を知っていますか?』 [体]

◆白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞
 脂肪は通常、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2つに分けられます。褐色脂肪細胞は脂肪を貯め込まないので中が見えず、外観は若干褐色に見え、首の周囲や肩甲骨・脇の下・腎臓の周囲に集中して存在し、中性脂肪を燃焼する働きをします。白色脂肪細胞は皮下脂肪や内臓脂肪が主で中性脂肪や糖をエネルギーとして貯め込みます。
 生物はあらゆる組織になり得る幹細胞から発生し、それが筋肉細胞や筋肉前駆細胞になっていきます。褐色脂肪細胞は筋肉前駆細胞になった後に発生します。ですから見た目は脂肪細胞ですが働きは筋肉細胞に似ていて、脂肪を貯め込まずに燃焼させることで筋肉を動かすエネルギー作られ、褐色脂肪細胞では脂肪が燃焼するのでエネルギーが作られます。
 褐色脂肪細胞は乳幼児のときに多く存在します。その理由は、母親の胎内に比べて出産後の外は寒いので熱を発生するために褐色脂肪細胞が多く作られるからです。乳幼児の体温が高いのはそのためで、褐色脂肪細胞が熱を多く産生しています。運動をしなくても太らない人はこの褐色脂肪細胞を多く持っています。

◆脂肪の褐色化
 最近、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の中間的細胞(ベージュ脂肪細胞)が見つかりました。ベージュ脂肪細胞は本来白色脂肪細胞だったのですが、ある刺激を受けると褐色脂肪細胞と似た性質を持つように変化します。これを脂肪の褐色化とかベージュ化と呼びます。ベージュ脂肪細胞は白色脂肪細胞からできていますが、褐色脂肪細胞と同じように中性脂肪を分解する働きや脂肪を燃焼する働きを持っています。脂肪が燃焼する場所は細胞のミトコンドリアで、肺呼吸によって酸素が取り込まれると細胞内のミトコンドリアで酸素を利用して糖や脂肪を燃焼させ、エネルギー源となるATPを作ります。筋肉内のミトコンドリアは身体を動かすために脂肪を燃焼させてATPを産生します。一方、褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞は身体を動かすためのATPが必要ないのでATPを産生せずに熱を放出します。
 人類は飢餓の時代を生き抜くためにエネルギーを脂肪に貯め込むように進化してきました。褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞を多く持っている人はエネルギーを無駄に放出し、運動しなくても脂肪が燃焼されるので、太りにくい体質となりました。

◆ベージュ脂肪細胞を増やす刺激
 今や世界中で3人に1人が肥満となっており、日本ではそれ以上です。そこで白色脂肪細胞をベージュ脂肪細胞に変える研究が進んでいます。ベージュ脂肪細胞に変える刺激は、寒冷刺激・食事・運動の3つです。寒い場所では身体が震えるので筋肉を激しく動かして熱を発生させます。この運動がベージュ脂肪細胞を作ります。次に食材は唐辛子・キムチなどのカプサイシン、青魚などに含まれるDHAやEPA、紅茶などのカテキン、ミントのメントールや、ペパーミントのメンチル乳酸があります。辛味成分にはダイエット効果がありますが、健康寿命を短くするという欠点があります。運動刺激では交感神経が活性化され、白色脂肪細胞のベージュ化が進みます。寒い時に乾布摩擦をすると寒冷刺激と運動刺激が受けられベージュ脂肪細胞を増やすことができます。一方、顔が赤くなるほど限界までの激しい運動はグリコーゲンをエネルギー源にするため、脂肪が燃焼せず効果がありません。軽く息がはずむ散歩程度の運動の方が白色脂肪細胞の燃焼には効果的です。運動量が激しくなると必要なエネルギーが酸素を使わずに作られるので効果がないのです。筋肉がエネルギー源とするのは糖と脂肪です。タンパク質はエネルギー源にはなりません。
 40歳を過ぎる頃から毎日一定の時間を作り20〜30分ほどの散歩をすることで肥満が解消されます。食事として必要以上のタンパク質を摂り筋肉を鍛えるよりも白色脂肪細胞をベージュ脂肪細胞に変えることで肥満が防げます。同時に水分補給を忘れずに行いましょう。

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VOL.303『リンパの流れを良くして健康維持を』 [体]

◆むくみは必然(?)
 人間は地球上で重力に逆らって生活しているため、1日中立ち仕事をすると夕方には足がむくみます。デスクワークをしていてもふくらはぎがむくんで靴がきつくなったりします。朝起きて鏡を見ると顔がむくんで見え、冷水で顔を洗ってもすぐには治りません。昨夜のお酒が残っていればそのむくみはなおさらです。特に女性は美容の観点から気になるものです。
 むくみは医学的には浮腫と言います。体内には37兆個ほどの細胞があり、1つ1つの細胞には水分が含まれています。その細胞と細胞の隙間に増えた水分を浮腫と言います。体表面の浮腫は、顔がはれぼったくなったり、下肢にむくみとして現れます。
 地球上に生活している私たちの体液は上から下へと流れ、心臓より下にある静脈血は肢の方に溜まりやすくなります。静脈に溜まった血液の一部は血管壁から細胞の隙間に漏れ出します。この現象は自然の理屈にかなっていて、寝ている状態では顔と肢の位置が同じ高さになるので、行き場所を失った水分が顔に溜まり、顔がむくんだ状態になるのです。宇宙ステーションで生活する宇宙飛行士はいつも顔がむくんで大きくなったように見えます。

◆血液とリンパ液
 身体は血液循環によって血液から酸素と栄養素を各細胞に供給し、代わりに細胞は老廃物や二酸化炭素を排出します。これを回収するのが毛細血管とリンパ管です。老廃物や余分な水分は毛細血管を通して静脈血に戻っていきます。余分な物だけが毛細リンパ管に流れリンパ流となり、リンパ節を通って胸管を介し静脈へ回収されます。その流れは再び心臓に戻り、心臓を介して肺に送られ、酸素を含んだ新鮮な血液に変えられて全身の細胞に送られます。
 リンパ液は細胞の周りの余分な水分を常に回収しており、リンパ管は体内の排水管のような働きをします。ところが、このリンパ液の流れる働きが悪くなれば回収しきれない水分が細胞の周囲に溜まります。これが浮腫の原因となります。全身の浮腫が悪化すれば心不全となり死に至ることもあります。塩分濃度の高い塩辛い食品を食べれば血液中の塩分濃度が高まるので、それを薄めるために水分を欲します。大量の汗をかいた時にも同じように水分が欲しくなります。リンパ管は、ふくらはぎの筋肉が生み出すポンプ作用が正常に働いて、細胞周囲の余分な水分をリンパ管に誘導し回収できれば、その程度の水分量ならなんともありません。大量の水分は腎臓に運ばれ尿として排出されます。腎臓が正常に働いていれば、いくら大量の水分を摂取しても水中毒になることはありません。腎不全患者は水中毒になるので水分量を控えなければなりません。

◆リンパ液の流れを活発に
 新鮮な血液を全身に流すには心臓という強力なポンプが必要となります。ところがリンパ管にはそのようなポンプがありません。自らを押し出す力が弱いため、手助けが必要となります。それがふくらはぎの筋肉です。ふくらはぎをよく揉み解すか、足首をグルグル回すとリンパ液の流れが良くなります。肢をこまめにマッサージすることによってリンパ流は簡単に改善します。整体院などでマッサージをしてもらうとリンパ流が回復するので全身の疲れや肩こり、腰痛や膝痛がなくなります。しかし、この状態は長くは続きません。すぐに元のような状態に戻ります。
 リンパ管の特徴は、毛細リンパ管が皮下脂肪や内臓脂肪の中を通っていることです。肥満ではリンパ液の流れが滞るので健康を害します。水をたくさん飲んで肥満にならないように注意し、散歩などでふくらはぎの筋肉を鍛えることです。
 長時間飛行機に乗ることで起きるエコノミークラス症候群は、下半身のリンパ流が悪化して発症します。静脈内に血栓ができて地上に着いた時、血栓が肺に詰まって肺塞栓症となり、死に至ることもあります。それを防止するにはこまめに水分を補給することです。弱アルカリ性のカルシウムイオン水を飲んで、リンパ液の流れを活発にすることで血液はサラサラとした状態となり、健康維持が可能となります。


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VOL.298『オートファジーで若々しく』 [体]

◆オートファジーとは
 2016年に大隈良典教授は世界で初めてオートファジーの分子レベルでのメカニズムを解明した功績が認められ、ノーベル生理学・医学賞を受賞されました。オートファジー(自食)は人体における生産と破壊の根源で、語源はギリシャ語の『自ら』と『食べる』を組み合わせた言葉です。自らを食べるという意味で自食作用とも訳されます。

◆オートファジーの役割
 人間のカラダは37兆個ほどの細胞からできていますが、その中で古くなった細胞は自らを壊して食べるオートファジーを行っています。老化して衰えた細胞が生まれ変わる、オートファジーこそ老化予防と若返りに不可欠な仕組みであり、ヒトの体内で繰り返される見事な
リサイクルシステムなのです。
 細胞の寿命やリサイクルのスピードは細胞の種類によって異なります。例えば、腸内壁をつくる腸粘膜の上皮細胞は3〜5日で新しい細胞が古い細胞と入れ替わります。そして古い腸粘膜が剥がれ落ちて塊となったものが糞便の主成分です。皮膚の表皮細胞は約1ヶ月、赤血球は約4ヶ月で入れ替わります。怪我をして血が出た時、出血を止めるのが血液成分の中の血小板ですが血小板は約2週間でオートファジーされます。細胞の誕生から寿命までの期間もそれぞれの細胞によって異なり、それは細胞の働き方にも関係します。労働力が大きい細胞ほど寿命は短くなります。ヒトの細胞の中で最も寿命が短いのは腸粘膜の上皮細胞です。寿命が来た細胞は細胞室内にあるミトコンドリアや小胞体などの微細構造を含めて次々にオートファジーして入れ替わります。部屋が掃除をしないとゴミが溜まるよう体内も掃除をしなければゴミが溜まるので、体内の細胞ではオートファジーが絶えず繰り返されています。
 細胞の主成分はタンパク質です。体内では2万種類以上のタンパク質が分解されて20種類のアミノ酸を作ります。そのアミノ酸から再び2万種類以上のタンパク質が作られます。つまり、古くなった細胞は自食されタンパク質がアミノ酸に分解されます。分解されたアミノ酸は生産のためリサイクルに回されます。再生する際にはリサイクルできないゴミとなるタンパク質もあります。細胞はオートファジーによって再生できないタンパク質をゴミとして体外に排出します。このゴミ出しが出来ているため体内はいつもクリーンで良質な環境を保つことができ、それが老化防止や健康維持に役立ち、病気にかかりにくくしています。逆に36〜37℃の体内に長時間放置されたゴミタンパク質は腐敗が進みます。そこで細胞はゴミタンパク質ができないようにオートファジーをして体外へ排出します。それが毎日の排便や、排尿・発汗で体内の老廃物や不要物は体外に排出されています。

◆オートファジーが働かないと…
 皮膚は内臓を映す鏡と言われます。皮膚や毛髪には如実に体内の状態が現れるからです。体内のゴミ出しが上手くいっていないと皮膚や毛髪が明らかに老化していきます。体内の毛細血管はオートファジーによって細胞が出したゴミを回収しますが、細胞からゴミを上手く回収できなかったり、腸粘膜からゴミが毛細血管を介して血液中に戻されたりすると、これが病気の原因となる炎症を引き起こします。体内の不要なゴミ(タンパク質)は免疫機能を低下させ、急性炎症は徐々に慢性炎症へと移行して体調不良や老化現象の症状が出てきます。その現象は特に、40歳を過ぎる頃から運動不足も加わって、肌荒れやシミ・シワ・抜け毛・白髪・薄毛など皮膚や頭表面で明確になっていきます。同時にお腹周りが膨らんで肥満型になっていきます。これらの症状は慢性炎症の度合いが進んでいることを示します。
 日本では近年長寿者が増え、100歳を超える人の数が世界一多い国となりました。彼らはオートファジーの機能が正常に働き、体内にゴミが溜まらない体質や体内環境だったのです。若い頃から暴飲暴食や昼と夜が逆転した生活をしている人は老化するスピードが速くなります。新型コロナ感染症が若者を中心に拡大していますが、彼らは無症状なので気づかないことが多く、オートファジーが正しく働いていない可能性が高いので、慢性疾患へと移行していく可能性があります。予防の基本は規則正しい生活習慣と、毎日飲む水にあります。

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VOL.295『骨粗鬆症の原因は腎臓にある』 [体]

◆健康が保たれるために
 現在、日本では高齢化が進み、高齢者における骨粗鬆症が大きな問題となっています。骨粗鬆症の予防や治療は高齢者のQOL(生活の質)に深く関わります。骨粗鬆症の原因はカルシウム不足です。カルシウムは骨や歯に99.9%が存在し、残りの0.1%が血液中にカルシウムイオンとして存在しています。この血液中のカルシウム量は精密・厳密にコントロールされ一定の範囲内の濃度に保たれています。この状態が続けば健康体が維持されます。

◆カルシウム吸収に密接に関わる腎臓
 摂取する食物中のカルシウムは、ビタミンDの働きを介して腎臓に送られます。ビタミンDは腎臓で代謝を受け太陽の光を浴びることで活性化ビタミンD3に変換され、小腸からのカルシウムの吸収を補助促進します。しかし、肝臓や腎臓の機能が低下していると、骨を強化するためのビタミンD剤を服用してもビタミンDはそのまま便となって排出されてしまいます。つまり、腸管からカルシウムは吸収されず、血液中のカルシウム濃度が低下することで低カルシウム血症となります。この状態が続くと骨中のカルシウム量が減少し骨粗鬆症になってしまいます。
 低カルシウム血症になると生命維持ができなくなるので、脳の司令塔である下垂体が血液中に副甲状腺ホルモン(PTH)を大量に分泌させます。すると骨や歯に存在するカルシウムを溶かし出し、血液中にカルシウムイオンとして放出します。その結果、血液中のカルシウム濃度は上昇して正常値にまで回復します。骨や歯に含まれるカルシウムが溶かされて放出されることから、骨は脆くなって骨粗鬆症に、歯は弱く欠けやすくなります。
 カルシウムには骨や歯の構成成分であるリンがエネルギー代謝や代謝酵素として生命維持に関わっています。リンは血液中に0.03%がリン酸塩として存在し、尿や糞便中に排泄することでバランスを整えています。リン酸塩はカルシウム欠乏になるとシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムとなって血管壁や組織中に石灰化し沈着します。人工透析でカルシウム欠乏が急速に進むと各組織の石灰化による結石が急増します。人工透析や腎不全の人はビタミンDを大量に摂取しても活性化ビタミンD3の産生が起きないので、ビタミンDの服用は逆効果となります。腎機能が低下するのでリン酸塩の排泄も低下して高リン酸血症となり、低カルシウム血症と同様にリンを制限することとなります。
 しかし、リンの吸収力は強いためリンを制限してもカルシウムが吸着されて高カルシウム血症となり、石灰化や結石が増します。人工透析を5年以上続けていると副甲状腺ホルモン分泌が促進し、ビタミン剤を服用しても活性化ビタミンD3が産生されず、カルシウムの吸収力も低下して低カルシウム血症の状態となります。よって、腎機能が低下した腎不全の人や人工透析の人は健康を維持することが困難となります。
 通常、健常者でも加齢とともに腎臓の働きが徐々に低下してくるので、どうしてもカルシウム欠乏が進み、副甲状腺ホルモンの分泌が亢進してきます。その結果、急激にカルシウム不足となります。腎臓は沈黙の臓器と呼ばれるように、機能が徐々に低下していきます。低下に気づいた時にはすでに遅いのです。

◆ミネラル豊富な水を飲めば
 若い頃から、遅くとも中高年になったらカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分を豊富に含む弱アルカリ性の水を飲み始めましょう。2005年に骨粗鬆症の予防や改善に向けての研究として、未焼成サンゴカルシウムをマウスに4〜7ヶ月摂取させ、骨重量・骨成分・骨強度の変化を調べた結果、骨強度・たわみ率・強靭性の増強が見られました。コラーゲン代謝回転や骨代謝回転が刺激され、骨形成が優位に進み維持されたものと思われます。特にカルシウム・マグネシウム・ケイ素が骨の代謝改善への効果を示しました。未焼成サンゴカルシウムにはイオン化したカルシウム・マグネシウム・ケイ素などミネラル成分が豊富に含まれています。これらが溶け出た水を飲み続けることで副甲状腺ホルモンの分泌を抑え、骨粗鬆症の進行を遅らせることを示した研究成果です。

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