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VOL .55 『睡眠と健康』 [眠り]

◆ 睡眠と血圧
 睡眠中の血圧は始めは低下しますが、後半には徐々に上昇し、明け方、覚醒とともにさらに上昇します。浅い眠りのレム睡眠期には、血圧が突然上昇したり、低下したりすることがあります。これは『自律神経の嵐』とも呼ばれ、レム睡眠中にしばしば起こる乱れ現象の一つです。
 このような乱れ現象は脈拍にもみられ、レム睡眠に入る度に脈拍数は急上昇します。この急上昇は、前後のノンレム睡眠での脈拍数と比較すると、およそ10%の増加に相当します。もともと循環器系の障害を持つ人にとっては、この急変動はかなり危険なものとなります。実際、狭心症の発作は早朝に起こりやすく、その80%がレム睡眠中に起こっているという報告もあります。狭心症の発作は激しい痛みを伴うため、不眠症の原因にもなります。

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◆いびきと無呼吸症候群
 レム睡眠に入ると、呼吸のリズムも不規則になり、時には数秒間止まったりします。平均するとノンレム睡眠での呼吸数より10~20%の増加がみられます。
 いびきは深い眠りで起こると考えられていますが、実際には浅い眠りでも起こります。人は眠ると舌根が後退し、咽頭筋の緊張が緩むので、上気道が狭くなります。そこを空気が通過する時に振動音が起こります。それが『いびき』です。そしてひどくなると気道が閉じてしまい、呼吸とともにいびきは止まります。これが閉塞型無呼吸です。無呼吸状態が数秒~数十秒間続くと、睡眠は浅くなるか覚醒の方向へと変化します。覚醒水準が上がると、咽頭筋などの緊張が戻り上気道に隙間ができます。そこで、大きなため息のような音をたてて呼吸が再開します。閉塞型睡眠時無呼吸症候群では、深く眠ると上気道が塞がってしまうので、どうしても睡眠は中断されることになり不眠症になりやすくなります。

◆理想的な眠りを
 入眠時には深部体温は低下し、手足の皮膚温は上昇します。この現象は乳幼児では特に顕著にみられ、眠くなってくると1.5℃くらい上昇します。したがって低体温期には入眠しやすく、(午後の眠気は例外として)高体温期には入眠しにくくなります。
 空腹は睡眠を妨害する方向で作用しますが、胃腸の運動や胃液の分泌は睡眠中に減少するので、夜食を摂るのであれば炭水化物や牛乳などのタンパク質が良いでしょう。脂肪や糖分の多い食品は好ましくありません。
 よく『寝る子は育つ』と言います。これは子どもの成長に欠かせない成長ホルモンが睡眠の開始と同時に分泌が高まるので、そのように言われるのです。
 以上のように、睡眠は健康と密接に関わっています。自分はよく眠れると思っている人でも、毎日理想的な睡眠がとれている人はどれくらいいるでしょうか。横になったらすぐに寝つけて、一度も目覚めることなくグッスリ眠り、翌朝爽快に目覚められる…これが理想的な睡眠です。理想的な眠りを身につけ、毎日を健康に過ごしましょう。


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