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VOL.311『腸を健康に保ち免疫力を上げよう』 [体]

◆身体は温めると免疫力が上がる
 最近は身体を冷やさず、温めることが健康への近道であるという記事をよく目にします。朝起きたばかりでの体温は平熱よりやや低く、これは体内時計の働きで副交感神経が優位の状態を維持しているためで、その後動きが活発になるにつれて交感神経の働きが優位となり、体温が上昇します。ところが、昼頃になっても36℃前後を示す人がいます。免疫細胞である白血球のリンパ球が最も活発に働くのは36.5℃前後なので平熱が36℃以下というのは免疫力が低下していることを示しています。
 感染防御には免疫の働きが重要で、免疫力を維持するためには常に低体温にならないようにすることです。例えば、ガン疾患の人は平均体温が健康な人より低くなっています。体温が低下すると病気になりやすくなってしまうのです。

◆温めると腸も活発に働く
 身体を冷やさず長時間体温を維持するには保温力が欠かせません。保温力を上げるものとして、シナモンや生姜(ジンジャー)に含まれるジンゲロールがあります。日本薬科大学で冷え性の女性を対象にカレーにシナモンや生姜などのスパイスを十分に入れた食事をしてもらい体温と深部温度を測定する調査をしたところ、90分後の体温が上昇し続けたそうです。シナモンやジンジャーを含むお茶も身体を温めます。
 シナモンは日本では桂皮として婦人科向けの漢方薬に使用されます。主成分はケイヒアルデヒドで血流増加や末梢血管の拡張作用、水分代謝の調節などの作用があります。血管が拡張すれば体温は上昇し、全身の臓器が活動し、特に便秘の改善に有効で、発汗作用もあります。発汗は血管が拡張することによる新陳代謝の促進で起こります。冷え性だと腸管運動が低下して便秘になりやすくなるので、シナモンやジンジャーを含む食材を摂取することで冷え性を改善し、腸の蠕動運動を活発にして排便を促しましょう。
 免疫力を高める食品として他に乳酸菌があります。乳酸菌は腸内細菌のうちの善玉菌で蠕動運動を活発にし、ビタミンやミネラル、タンパク質の合成、免疫機能の強化に役立ちます。日本の伝統的な食品である漬物や味噌、醤油など発酵食品に多く含まれる植物性乳酸菌は腸内を弱酸性の環境に保つので、悪玉菌が生息しにくくなります。また植物性乳酸菌は温度変化に強く、胃腸内の過酷な環境でも死滅せず、生きたまま大腸まで到達できます。腸の蠕動運動や免疫力の強化、ガン予防にも有効です。一方、動物性乳酸菌は口から摂取してもほとんど胃液や腸液によって死滅してしまうので腸まで届かない欠点があります。
 食物繊維も大切です。食物繊維には水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維は腸内で水分を吸って何倍にも膨らみ腸壁を刺激するので便秘や肥満の解消、大腸ガンの予防にも効果的です。水溶性食物繊維は水に溶け粘性を増し、腸内細菌によって分解されます。胃でも長くとどまるので糖分やコレステロールの吸収を抑制し、血糖値の上昇を抑え、糖尿病や動脈硬化、高血圧の予防に有効です。

◆ミネラルも大切
 腸を元気に活性化すると体温が上昇し、免疫力が高まります。それにはカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分を十分に補給することも重要です。ただし、カルシウムを摂取してもマグネシウムの摂取が不足していると、他のミネラル成分の亜鉛やセレンが働きません。ミネラル成分豊富な弱アルカリ性の水を飲んで免疫力を高め、健康を維持しましょう。

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