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VOL.303『リンパの流れを良くして健康維持を』 [体]

◆むくみは必然(?)
 人間は地球上で重力に逆らって生活しているため、1日中立ち仕事をすると夕方には足がむくみます。デスクワークをしていてもふくらはぎがむくんで靴がきつくなったりします。朝起きて鏡を見ると顔がむくんで見え、冷水で顔を洗ってもすぐには治りません。昨夜のお酒が残っていればそのむくみはなおさらです。特に女性は美容の観点から気になるものです。
 むくみは医学的には浮腫と言います。体内には37兆個ほどの細胞があり、1つ1つの細胞には水分が含まれています。その細胞と細胞の隙間に増えた水分を浮腫と言います。体表面の浮腫は、顔がはれぼったくなったり、下肢にむくみとして現れます。
 地球上に生活している私たちの体液は上から下へと流れ、心臓より下にある静脈血は肢の方に溜まりやすくなります。静脈に溜まった血液の一部は血管壁から細胞の隙間に漏れ出します。この現象は自然の理屈にかなっていて、寝ている状態では顔と肢の位置が同じ高さになるので、行き場所を失った水分が顔に溜まり、顔がむくんだ状態になるのです。宇宙ステーションで生活する宇宙飛行士はいつも顔がむくんで大きくなったように見えます。

◆血液とリンパ液
 身体は血液循環によって血液から酸素と栄養素を各細胞に供給し、代わりに細胞は老廃物や二酸化炭素を排出します。これを回収するのが毛細血管とリンパ管です。老廃物や余分な水分は毛細血管を通して静脈血に戻っていきます。余分な物だけが毛細リンパ管に流れリンパ流となり、リンパ節を通って胸管を介し静脈へ回収されます。その流れは再び心臓に戻り、心臓を介して肺に送られ、酸素を含んだ新鮮な血液に変えられて全身の細胞に送られます。
 リンパ液は細胞の周りの余分な水分を常に回収しており、リンパ管は体内の排水管のような働きをします。ところが、このリンパ液の流れる働きが悪くなれば回収しきれない水分が細胞の周囲に溜まります。これが浮腫の原因となります。全身の浮腫が悪化すれば心不全となり死に至ることもあります。塩分濃度の高い塩辛い食品を食べれば血液中の塩分濃度が高まるので、それを薄めるために水分を欲します。大量の汗をかいた時にも同じように水分が欲しくなります。リンパ管は、ふくらはぎの筋肉が生み出すポンプ作用が正常に働いて、細胞周囲の余分な水分をリンパ管に誘導し回収できれば、その程度の水分量ならなんともありません。大量の水分は腎臓に運ばれ尿として排出されます。腎臓が正常に働いていれば、いくら大量の水分を摂取しても水中毒になることはありません。腎不全患者は水中毒になるので水分量を控えなければなりません。

◆リンパ液の流れを活発に
 新鮮な血液を全身に流すには心臓という強力なポンプが必要となります。ところがリンパ管にはそのようなポンプがありません。自らを押し出す力が弱いため、手助けが必要となります。それがふくらはぎの筋肉です。ふくらはぎをよく揉み解すか、足首をグルグル回すとリンパ液の流れが良くなります。肢をこまめにマッサージすることによってリンパ流は簡単に改善します。整体院などでマッサージをしてもらうとリンパ流が回復するので全身の疲れや肩こり、腰痛や膝痛がなくなります。しかし、この状態は長くは続きません。すぐに元のような状態に戻ります。
 リンパ管の特徴は、毛細リンパ管が皮下脂肪や内臓脂肪の中を通っていることです。肥満ではリンパ液の流れが滞るので健康を害します。水をたくさん飲んで肥満にならないように注意し、散歩などでふくらはぎの筋肉を鍛えることです。
 長時間飛行機に乗ることで起きるエコノミークラス症候群は、下半身のリンパ流が悪化して発症します。静脈内に血栓ができて地上に着いた時、血栓が肺に詰まって肺塞栓症となり、死に至ることもあります。それを防止するにはこまめに水分を補給することです。弱アルカリ性のカルシウムイオン水を飲んで、リンパ液の流れを活発にすることで血液はサラサラとした状態となり、健康維持が可能となります。


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