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VOL.317『水分摂取が病気の予防に繋がっている』 [水]

◆病を防ぐ秘訣
 江戸時代の儒学者、貝原益軒が書いた養生訓には庶民の健康法が記載されており、1日に1〜1.5リットルの水分補給が健康維持や未病に効果があるとされています。これは鎌倉時代に道元が悟りを開いた禅宗に関係しています。修行の一つには『食をつくること』があり、それが精進料理の始まりです。またこれを基に茶道という茶を飲む伝統が誕生しました。日本では古代から水をたくさん飲む習慣があり、塩を溶かした汁物が食事の一部を構成していました。この歴史的背景から一汁一菜の食事法が生まれたのです。日本料理には味噌汁や吸い物が必ず付いています。伝統食として水分補給することに病を防ぐ秘訣があったのです。

◆リンパ液の発見
 水を飲んでいれば未病(病気の前兆)にならないと言います。
 自然免疫の主役は好中球が放出する活性酸素で、自然免疫力が働いていればリンパ球であるT細胞やB細胞、マクロファージが活性化します。なかでも最も働いているのが腸で、回腸の壁にあるリンパ球が集まった構造物(パイエル板)ではT細胞やB細胞が活性化し、免疫力を高めます。水を飲むとこの腸壁のパイエル板が活性化し、リンパ球を中心に炎症を制御し、未病を防いでいます。
 セロトニンはリンパ球を囲む平滑筋を収縮させ、リンパ球の貯蔵と輸送を高めます。水を飲むと腸壁からセロトニンが分泌され主に門脈に流れます。水を頻繁に飲むことはリンパ液の流れを良くするため生命維持に直結します。
 紀元前5世紀、ヒポクラテスは死者の腹部に赤い血液とは違う白い液体があることに気づきました。これが腸のリンパ管でした。飢餓状態での腸内リンパ球は脂を溶かすタンパク質が流れて白く見えるのです。
 紀元前4世紀、アリストテレスはリンパ液が透明な液体であることを見つけました。リンパ液の言葉の由来はラテン語の『泉から湧き出した澄んだ水』です。
 キリスト教の時代には人体解剖が禁止されましたが、16世紀になるとイタリア人解剖学者エウスキオは胸部を流れる白い液体を白い静脈と呼び、17世紀のフランス人外科医師ぺクエは胸の白い液体を胸管と命名しました。18世紀には山脇東洋が人体解剖を行いました。世界中で秘密裏に解剖病理学は行われていたのです。

◆水を飲もう
 昔から水を飲むことでリンパ液の流れが良くなり、元気なることが知られていました。人は水分補給が健康維持に繋がり生死を分けることを知っていたのです。そこで水を飲むように促す仕組みがリンパ液の働きとして備わりました。加齢とともに喉の渇きの感じ方が鈍くなります。お茶やコーヒーではなく水を飲むことをお勧めします。お酒は水の代わりにはなりません。水分不足が脳動脈や心臓冠動脈に血栓を起こします。脳の警報に従わず水を飲まないとバソプレッシン(ホルモン)が下垂体を刺激し、腎臓を介して尿量を減らします。乳幼児の病気はほとんどが水分不足から起こります。原因は脱水症なので、発熱したら冷水を飲ませます。
 ヒトの身体の60〜80%は水分です。古代から人間は水無しでは生きられませんでした。体内の水分が入れ換わるので生命の恒常性は維持されるのです。ミネラル成分豊富な弱アルカリ性の水を毎日十分に飲んで健康長寿を目指しましょう。

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