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VOL.143『子供の睡眠不足は要注意』 [眠り]

◆10歳頃までが特に大切
 最近、睡眠時間が少ない子供(小学生・中学生)が増えています。塾や部活動などで超多忙な毎日を送りながら、夜にはパソコンやスマートフォンに夢中になるためどうしても睡眠時間が短くなってしまうのです。必ずしもそのせいとは言えませんが発達障害や自閉症・注意力欠陥多動性障害(ADHD)の子供の多くは睡眠時間が短いという共通点があります。
 規則正しい睡眠リズムが脳を発達させ、運動能力や言語中枢・記憶中枢・コミュニケーション能力の形成に影響を与えます。乳幼児期は母親の生活スタイルに合致するので、母親が朝起きるのが遅かったり、夜更かしをする生活習慣であれば、子供の脳の発育に障害が生じるのは自然の成り行きです。また、脳の機能が完成する10歳頃までの学童期に慢性的な睡眠障害があれば、体内時計や脳機能の低下が起きるのは明らかで、学校が嫌いになったり、学校に行きたくても行けない不登校、ひきこもりとなりやすいのです。これを小児の慢性疲労症候群といいます。

◆脳の働きと睡眠
 今日の日本は、コンビニやゲームセンター・ネットカフェ・飲食店などが24時間年中無休で営業する短眠大国となっており、夜10時以降に寝る人が50%と欧米諸国と比べて突出しています。そしてこの習慣は、小学生、中学生、高校生と学年が上がるに従って日常化しています。中学生や高校生では、20〜30%が午前1時以降も起きています。夜更かしと成長ホルモンとの関係を示した報告によれば、カラダの成長を促す成長ホルモンは、夜10時頃〜午前2時頃にかけてが分泌のピークとなり、ぐっすり熟睡することで多量に分泌され、体内の細胞が活性化されます。
 睡眠時間の減少は、授業中の居眠り・学習意欲の低下を招き、血液中の鉄不足による貧血(疲れやすい・立ちくらみ・動悸・頭痛・息切れ・顔面蒼白など)の症状を示します。また脳のシナプス作用や情報処理能力の活動低下を招き、脳の記憶中枢である海馬を縮小させるので学力が低下します。
 脳は、常に新しい情報を入手し、識別を繰り返し、蓄積して記憶します。この脳内の情報には脳神経細胞を結ぶシナプスや神経伝達物質が関与します。脳神経はこれらのネットワークで情報を処理します。学力が低下するのは、シナプスと神経伝達物質の活動が低下してしまうからなのです。シナプスと神経伝達物質の点検/修理は睡眠中に行われ、それによって脳は働きを回復します。シナプスと神経伝達物質を最も元気に働かせるには良好な睡眠が不可欠なのです。頭(脳)が回らないとか、気持ちが乗らない・イライラする・不安が消えないなどの状態は、脳の情報処理能力のバランスが崩れているのです。本来、子供の脳は柔軟で、何事に対しても吸収力が優れているものなのに、脳の機能が低下した老人の認知症のような状態になります。

◆規則正しい睡眠を
 夜更かしは、成長ホルモンの分泌バランスを崩すだけでなく、他のホルモン系にも影響を与えます。睡眠不足では食生活が乱れ、これが自律神経やホルモン分泌に悪影響を及ぼすので肥満を引き起こします。昔は『寝る子は育つ』と言われましたが、今は『寝ない子は太る』と言えます。
 毎日の規則正しい生活や睡眠リズムが、子供の脳の発育・発達につながります。子供の生活習慣が乱れがちな夏休みは大人が気をつけてあげることも重要です。

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