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VOL.164『コレステロール値の食事摂取基準撤廃』 [健康]

◆コレステロール値だけ高い
 日本は世界一の長寿国であり、寝たきりや認知症の期間を除いた健康寿命においても世界最高です。健康診断の検査結果を見ても、血圧・肥満度・心電図・血糖値などの20項目ではほとんど異常が見られず、統計的なデータで見る限り、日本は健康大国でもあります。ところが唯一、コレステロールだけは基準値を超えていました。
 1997年、日本動脈硬化学会は220mg / dl 以上を高コレステロール血症とし、20歳以上を対象とした調査では男性が30%以上、女性では50%以上が高コレステロール血症で、4000万人以上が患者となる結果が出ました。コレステロール値は、高くなりすぎると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞になるリスクが高まると言われています。

◆血中コレステロールは食事では増えない
 このようにコレステロールは、健康のためには悪者扱いされ、食事による摂取が制限されてきましたが、厚生労働省は2015年4月改定の食事摂取基準で、18歳以上の男性で1日あたり750mg、女性で600mg未満としていたコレステロールの摂取基準を撤廃しました。その理由として、この基準を設定する上で十分な科学的根拠が得られないためだとしています。日本動脈硬化学会も5月、食事で体内のコレステロール値は変わらないとの声明を発表し、動脈硬化を防ぐには毎日の食事を含め、運動など生活習慣を改善すべきだと指摘しています。コレステロールは脂質(脂肪)の一種でホルモンや胆汁の原料となり、細胞膜を構成する生命維持には欠かせない物質です。これまで食事に含まれるコレステロールを制限すべきとしていたのは、血液中のコレステロールに影響を与えると考えられていたためです。コレステロールを多く含む卵や鶏レバー・バター・エビ・イクラなどは悪者扱いされ、中でも1個あたり200mg以上のコレステロールを含む卵は1日1個までと制限され、これが常識とされてきました。
 ところが、血液中のコレステロールの70〜80%は体内で作られ、食事からの影響は少ないことが分かってきたのです。むしろ、食事からコレステロールを多く摂れば体内で作られるコレステロール量は減少し、食事からの摂取が少ない方がたくさんのコレステロールが作られるという調整機能が備わっていることが分かったためです。
 日本動脈硬化学会は、LDL(悪玉)コレステロール値が140mg / dl 以上を高コレステロール血症としていますが、日本脂質栄養学会はLDLコレステロール値が高い人は長生きであるとし、論争が続いています。

◆適度な運動が大切
 高コレステロール血症には家族性高コレステロール血症が多く、そのような家系の人は血液中のコレステロール値が異常に高く、一般の人の10倍以上も心筋梗塞になりやすいことが分かっています。
 心筋梗塞のリスクが高い人は、HDL(善玉)コレステロール値が低くて、中性脂肪の値が高く、糖尿病・高血圧・肥満を合併する危険性も持っています。これを予防するのは運動しかありません。とはいっても激しい運動は逆効果となるので、散歩などの適度な運動を習慣づけましょう。水分を十分に摂りながら、1日30分以上8000〜10000歩を目標に歩く、あるいは10分を3回に分けて歩くのもいいでしょう。高齢者は特に動脈硬化にならないよう気をつけつつ、やや高めのコレステロール値を維持することで健康寿命を伸ばしましょう。

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