SSブログ

VOL.231『誤嚥性肺炎を防ごう』 [生活]

◆口腔ケアが重要
 日本では急激な高齢化が進む中、食事中の嚥下障害(食べ物や飲み物を飲み込めない)、筋肉量の減少、運動器症候群(ロコモティブシンドローム)、虚弱、うつ病、認知症などを予防することが求められています。特に、食べることや話すことに直結している口腔や呼吸器の病気の予防が注目されています。
 口腔を専門とする病院では歯科衛生士による毎日の口腔ケア観察が行われ、高齢者の健康維持を考える上で重要となっており、歯科衛生士の需要も高まっています。そのため、さまざまな理由で現場を離れた人が復職できるように、研修するプログラムも進んできており、所定の研修を終了すれば修了証が発行され、復職できるようになりました。

◆誤嚥性肺炎の原因
 高齢者の健康を妨げる要因の一つに誤嚥性肺炎があります。今日、日本では死因の1位がガン、2位は心血管性疾患、3位が肺炎です。肺炎で亡くなる人の96%以上が65歳以上で、そのうちの70%が誤嚥性肺炎です。この誤嚥性肺炎を予防することができれば、90%が助かるので寿命を延ばすことができます。
 誤嚥性肺炎は、食べ物や飲み物が誤って気管に入ることで起こると考えられてきましたが、食べ物や飲み物が原因となるのは30%ほどと少なく、残りの70%は就寝中気づかないうちに唾液が気管に流れ込み、唾液中のウイルスや細菌によって肺炎になることが分かりました。健康であれば食べ物や飲み物・唾液は気管に入りそうになっても、むせることで防げます。しかし、高齢者では加齢や入院生活などのせいで筋力や体力が低下し、飲み込む力も弱ってきます。加えて咳反射(喉に異物が入ると瞬時に咳が出て異物の侵入を防ぐ)や、ものを飲み込む際の嚥下反射(ものを飲み込む運動)が悪化するため、食べ物や飲み物・唾液を誤嚥するリスクが高まります。さらに免疫力が低下している状態で誤嚥によって肺の奥に入ったウイルスや細菌が繁殖して肺炎になる、これが誤嚥性肺炎です。
 高齢になると誤嚥するリスクが増すといいますが、40歳を超える頃から誤嚥する人が増えてきます。これは嚥下反射の低下が考えられますが、目立った症状が現れないことから原因は不明でした。しかし、最近になって脳梗塞との関係が指摘されるようになりました。脳梗塞の1つであるラクナ脳梗塞(小さな脳梗塞、脳内の毛細血管が詰まる)によることが分かってきたのです。脳梗塞の原因は血管壁の動脈硬化です。動脈硬化が原因の高血圧症の人にこのラクナ脳梗塞が多く見られ、喫煙量の多い人や塩分過剰摂取の人なども30歳を超える頃から徐々にラクナ脳梗塞が進行します。症状は全くないので気づきませんが、ラクナ脳梗塞により脳の小梗塞の箇所が増えてくると、嚥下反射が徐々に低下してきます。若いうちには誤嚥性肺炎にはなりませんが、嘔吐する機会が増えてくると嚥下反射が低下してきたシグナルなので気をつけましょう。

◆予防するために
 高齢者の寿命は近年になって10年ほど延びています。ですから30歳代の若い頃から高血圧や動脈硬化を進行させるリスクを減らすことが大切です。口腔内を常に清潔に保つことも誤嚥性肺炎を防ぐ方法の一つです。また、常に口の中に溜まった唾液を飲み込む練習を習慣化することも必要です。唾液をなかなか飲み込めない人は、水をチビチビ飲むことを習慣にするのも有効です。
 また、家の中にばかりいないで外に出て、散歩程度の適度な運動をすることは、足の筋肉を鍛えることができます。ふくらはぎは第2の心臓とも呼ばれているので、散歩は誤嚥性肺炎の予防には最適です。その際、歩きながら水を飲むのも効果があります。天気が良い日に早朝に外に出て新鮮な空気を繰り返し吸い、正しい呼吸法を習慣にするのも誤嚥性肺炎の予防につながります。

v231.jpg

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。