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VOL.246『夏は高血圧や肥満が増える』 [生活]

◆日本人は体内にも四季がある
 日本は世界的に見ても四季が明確に分かれている数少ない国の1つです。日本人はこのような季節の変化を受け入れ、古代から生活や文化の中に取り入れて生きてきました。日本人のカラダは基礎代謝も季節ごとに変化し、食欲も大きく変動します。例えば、秋は食欲の秋とも呼ばれるように冬の寒さに向けて基礎代謝が上がり食欲が増します。寒い中で体温を維持するには体内でエネルギーを大量に燃やす必要があるため脂肪分を脂肪組織に蓄える必要があるからです。

◆夏のスタミナ食は肥満の原因
 一方、夏は脂肪を燃やしてエネルギーを得る必要がないので、基礎代謝は1年で最も低い値を示します。それに伴い食欲も減り、活動量も自然と下がります。にもかかわらず、夏になると「夏バテを防ぐためにしっかり栄養を摂りなさい」とよく言われ、うなぎやどじょうなどのスタミナ食を摂り、脂肪分の多い肉類をしっかり食べてスタミナをつけます。
 ところが、夏は基礎代謝が下がっているのでカロリーの高い食事を摂れば直ちに太ります。消化能力も低下しているので脂っこい食品を摂りすぎると下痢をしてしまいます。夏バテは暑さのために食が進まず、体力が落ちるから起きるのではありません。暑い屋外と冷房が効いた屋内の温度差によって自律神経が乱れたり、暑さのための寝苦しさによる睡眠不足、昼間の高温多湿による発汗の調節機能の乱れなどが重なって疲労となるのが夏バテです。これは食べる量を増やしても防げるものではなく、夏は食が細くなるのが自然で、体内に蓄えることができないミネラルやビタミンを補うことができればいいのです。夏バテを心配して食べ過ぎると太ってしまいます。つまり、夏バテが肥満の原因にもなるということです。
 欧米人など肉食を中心に摂ってきた人種は肉に含まれるタンパク質が起こすDIT反応(食事誘発性熱産生)によって体内で活発に熱を産生します。そのため、夏でも基礎代謝が下がらず日本人以上に暑がります。欧米の夏は日本の夏のように湿度が高くないので日陰に入れば涼しくなれます。冬に半袖でいる姿もよく見かけますが、彼らは基礎代謝が高いので寒さも平気なのです。日本人なら37℃以上になると熱があるといいますが、欧米人では38℃以上で発熱といいます。

◆高血圧にならない熱中症対策
 熱中症の対策には塩分(塩化ナトリウム)摂取が重要です。ナトリウムは血液中やリンパ液に含まれ、細胞と細胞の間を満たす組織液の主成分です。他の組織液にはカリウム、カルシウム、マグネシウムなどの必須ミネラル成分が溶けていて、お互いに影響しながら浸透圧バランスを整えています。カリウムは神経細胞に情報を伝えて筋肉を収縮させたり、細胞にブドウ糖やアミノ酸などの栄養素を取り込んで正常に機能させる働きがあります。
 血液に溶け込んだナトリウムやカリウムは腎臓の糸球体から排出されますが、大部分が腎尿細管で再吸収されます。塩分を摂り過ぎてもカリウムを十分に摂っていればカリウムがナトリウムを道連れにして尿中に排出してくれます。つまり、カリウムは余分なナトリウムを排出して血圧を下げるのに役立ちます。夏は塩分の摂取量が多くなるので同時にカリウムをたくさん摂って血圧を維持しましょう。カリウムとナトリウムの比率が1:1なら血圧は正常範囲に保てます。肉類や乳製品を減らし、野菜や海藻類を多く摂れば血圧は上がりません。夏の間はミネラル成分と食物繊維を多く含む野菜や海藻類を摂り、魚の摂取量が増えれば、植物性タンパク質と動物性タンパク質のバランスが良くなります。
 先日、大阪で震度6という大きな地震がありました。その後、災害高血圧症の人が増加したといいます。地震によって普段の生活環境が破壊されたことによるストレス過剰が原因です。このようなストレスも高血圧や肥満の要因となります。
 夏は健康な人でも過ごすのが大変です。特に、高齢者はいかに上手に過ごすかが生死にも関わります。無理に栄養を摂ろうとせず、ミネラル成分やビタミン類を十分に摂って暑い夏を乗り切りましょう。

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