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VOL.265『肥満防止のダイエットについて』 [体]

◆肥満とは
 肥満と痩せの区別はあくまでも見た目でしかないという考え方があります。標準体重というものがありますが、これは理想体重とは違います。標準体重も理想体重も便宜的に定義されたものでしかありません。若い人が考える理想体重はいわゆる痩せのことで、肥満は脂肪分の占める割合が多い場合です。例えば、80kgの体重であってもスポーツ選手のように筋肉が占める割合が多ければ体重が重くても肥満とは言いません。

◆肥満遺伝子
 多くの人は標準体重よりも痩せ型になるためにダイエットをします。その結果、生理的にホルモン異常を起こす場合があります。食べる量を減らせば痩せると思うことが間違いなのです。肥満には大抵遺伝子が関与しているので、痩せ型の人は食べても太りません。学校保健調査では5〜17歳までのほとんどの年代で、女子の体重はこの50年間、前年を下回っています。ダイエットが低年齢化しているのです。
 最近の研究では脳が体重維持に影響していることが分かっています。脳内の視床下部という部分には満腹中枢があり、それ以上食べないように指令を出しています。逆に摂食中枢もあります。この両者のバランスで食べる行為がコントロールされています。食事を制限して食べる量を減らせば、脳がコントロールして消費を減らしてしまうため、少ないカロリーでも体重が維持されます。反対に食事の量が増えればエネルギー消費も増えて同じ体重が維持されます。
 人は各々違うので体型にも差が出ます。肥満体の人は体重が一気に増えると減量してもなかなか元には戻せません。そしてダイエットをしても数ヶ月後にはまた元の体重に戻ってしまいます。せっかくダイエットしても脳が食事が摂れない緊急事態と判断してエネルギー消費を減らしてしまうからです。
 また、太っている親の子供は太る確率が高くなります。これは食生活が同じで、なおかつ親からの肥満遺伝子を受け継いでいるためです。肥満遺伝子は塩基配列105番目のアミノ酸であるアルギニンがタンパク質への翻訳終了時に正常なタンパク質とならずに異常となったもので、1個の遺伝子の塩基配列が違ってしまっただけで肥満になるのです。この肥満遺伝子産物をレプチンといいます。レプチンは痩せるという意味のギリシャ語に由来しており、食欲を抑制して消費エネルギーを増加させます。これは飢餓など緊急事態に備えてエネルギーを脂肪に溜め込む働きをします。脂肪細胞にだけ作用し、筋肉には影響しません。そしてレプチンは脂肪組織だけでなく、胎盤や胃壁からも作られます。つまり、食事をすれば胃壁からレプチンが分泌され、食欲を抑える働きをするのです。

◆時間をかけてゆっくりやろう
 肥満の人の多くはカロリー制限をします。しかし、カロリー制限食は満足感がないので長続きしない上に、期間限定のダイエットとなるので期間が終了すると必ずリバウンドが待っています。さらに一時的にカロリーを制限すると筋肉量が落ちて基礎代謝が下がります。基礎代謝とは体温や呼吸、内臓機能などのために心身ともに安静にしている時でも生命維持活動のために消費される必要最低限のエネルギー代謝のことで、1日の消費カロリーの60%を占めています。一方、筋肉は動かさなくても体温を保つために熱を発散します。カロリー制限食で筋肉が落ちると基礎代謝も消費カロリー量も低下してしまうのです。
 基本的に、体重と体脂肪率は食事からの摂取カロリーと活動による消費カロリーのバランスで決まります。摂取カロリーの方が多ければ当然太ります。筋肉タンパク質が消費されると基礎代謝が下がります。肥満は長期間の生活習慣で対応しなければなりません。人の体で最優先されるのは死に至る生命活動から守ることです。基礎代謝や体重はその次となります。無理なダイエットはホルモンバランスを破綻させ体の不調を招きます。骨の形成に影響も与えるため体が維持できず骨折しやすくもなります。ダイエットは体重のコントロールが大切です。正しい知識とやり方で長期間かけて行いましょう。

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