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VOL.163『温泉が健康に良い理由』 [健康]

◆温泉大国、日本
 最近、箱根の大涌谷付近では火山性の地震が続き、噴火口あたりでは水蒸気の排出量が増えています。箱根では立ち入りが一部制限されたため、ホテルや旅館の関係者から影響を心配する声も多く聞かれます。日本は世界でも有数の温泉大国です。温泉はストレス続きの体を癒してくれ、気持ちをリラックスしてくれます。古くから温泉は怪我を早く治したり、体を温めてくれたり、若々しく美しいツヤツヤの肌を取り戻してくれるなどの効能効果があり、温泉地はどこも賑わっています。

◆キーワードは還元力
 老化やガン化の原因とされる活性酸素を除去する力が還元力で、温泉の効果を示すキーワードとなります。細胞が鉄クギのように錆びて腐敗することを細胞の酸化といい、活性酸素は細胞を酸化させる原因です。還元力はこれを還元し酸化を防ぐことで細胞を活性化させ、肌を若返らせる効果があるというのです。
 温泉の『鮮度』は酸化還元電位(ORP)で表されます。これは電子の濃度の変化を測定する方法です。ある物質が電子を失うことを酸化、電子を得ることを還元といい、また、酸素と結合することを酸化、水素と結合することを還元といいます。この数値を表す単位がmV(ミリボルト)で、通常の水はほぼ中性のプラス200mVです。これが酸化と還元の境となる値で、これよりも数値が高ければ酸化水、少なければ還元水となります。還元力が強い温泉では数値がマイナスになります。
 地中から地表に湧き出す前の温泉は還元力を持っています。それが地表に湧き出て空気に触れ、時間が経過すると次第に酸化されていきます。さらに、途中で塩素系殺菌剤などを入れてしまえば還元力のある温泉は直ちに酸化してしまいます。また、パイプを通ってホテルや旅館の浴槽に注がれる頃にも温泉の還元力は低下します。

◆温泉の癒し効果
 温泉には含まれる成分によって食塩泉・硫黄泉(酸性)・重曹泉(アルカリ性)などがあり、日本では11種類ほどに分かれています。古来より冷え性は万病の元といわれており、体を温めることは健康の基本とされています。温泉に入ることで体を温め、体温を1℃上げれば細菌やウイルスなどの病原体に対する免疫力が5〜6倍にも高まるといわれています。また、日本人は目に見える汚れよりも内面の汚れ、つまりけがれを嫌う民族で、人が亡くなった際にも湯灌という儀式があります。これは世界的にも珍しい風習で、最期に温泉の湯で身を清めるのです。
 風呂に入るときには裸になり、高名な人も金持ちも貧乏人も同じ無欲の姿になるため、純粋な気持ちで真に癒されることができます。また日本には数千年前から、湯治という文化があります。稲刈りが終わり、冬支度をする前にゆっくりと湯治に出かけ、湯治場で食事を作り、安らかに過ごして疲れを取るという風習で、温泉まいりをすれば適度な運動となり、知らない人との情報交換もできて楽しく過せます。温泉の近くには必ずお寺や神社があり、お参りもできます。『病は気から』という言葉があるようにプラス思考や前向きな考え方を持つことで温泉の効能効果はさらに高まります。そしてずっと温泉を愛してきた日本人には温泉の癒しが遺伝子にも組み込まれていったようです。
 今回、特別に有名な温泉地である箱根の大涌谷が大変なことになっています。規制がいつまで続くかわかりませんが、大事にならないことを願うばかりです。

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VOL.160『セルフ健康チェック、知っていますか?』 [健康]

◆セルフチェックが話題
 今日、健康ブームにのって自分で採血し、手軽に健康状態を調べるセルフチェックが話題となっています。学校や企業、高齢者では定期的な健康診断が行われますが、主婦や自営業者は健康診断を受けにくいので、そのような人々を対象に医療系企業が健康チェックサービスを展開し始めたのです。健康寿命がビジネスになる時代の新しい産業として政府も規制緩和で後押ししており、期待が高まっています。

◆企業展開によるセルフチェック
 ドラッグストアの調剤室コーナーでは管理薬剤師の指導のもと指先から採血し、それを冷蔵状態でグループの検査会社に送ることで、生活習慣病に関する13項目が検査できます。1週間ほどで結果が採血した店に届き、薬剤師や管理栄養士から助言を受けることができます。費用は3000〜4000円ほどです。同様に予防医療事業の企業では、検査測定室を設け自己採血による健康チェックを展開しています。1項目500〜600円の検査費用で3〜5分で結果が分かるというサービスを2008年から開始し、50歳以上の主婦を中心に累計30万人が利用しているとのことです。
 このようなセルフ健康チェック事業の広まりの背景には政府の規制緩和・規制改革があります。従来、採血は医師が行う医業で自己採血は禁止されていましたが、2014年1月、政府はグレーゾーン解消制度を創設し、自己採血や検査の通知、より詳しい検診の勧めは規制の対象にならないことが確認されました。その結果、専用のキットを使って自宅で血液検査ができる『スマホdeドック』などの新しいサービスが始まっています。
 健康ニーズの高まりを背景に、携帯電話会社もヘルスケア分野の医療的な検査サービスに参入・侵入し、長期的な収益増やスマートフォン利用者の拡大を図っています。指先から採血した血液を郵送することで、1週間後には血糖値・肝機能・腎機能など14項目ほどの結果やコメントをパソコンやスマートフォンで確認できます。
 自己採血を行う以外に化粧品や健康食品の会社では口腔内の粘膜を綿棒で剥ぎ取って関連の解析会社に送付することで、生活習慣病のリスクを評価する遺伝子検査事業を展開しています。日本では高齢化が進み医療費の急激な増加が続いているため、予防医療の充実が不可欠となり、このようなセルフ健康チェックサービスを企業が主導するようになったのです。

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◆生活習慣や環境が重要
 2000年6月、ヒトゲノムの解読が発表されてから15年が経過しました。アメリカの女優アンジェリーナ・ジョリーは、遺伝子検査によって将来高い確率で乳ガンや卵巣ガンを発症するとの結果を受け、予防のためにリスク低減手術で、乳房や卵巣を摘出してしまいました。彼女の母親が卵巣ガンで死亡していることも影響しているようです。
 日本では2013年4月から認定医療機関でも遺伝子検査が可能となり、胎児の出生前診断では、妊娠中の羊水や羊膜細胞を採取することで遺伝子診断が可能となったため、重篤な遺伝性疾患の可能性も分かるようになりました。
 最近、アメリカでは安価で不完全な遺伝子検査によって、医療情報が増えることに伴うデメリットが指摘されています。今話題のセルフ健康チェックサービスにも疑問点はみられます。病気は遺伝子(ジェネティクス)ですべて決まるものではなく、生活習慣や環境が関与するエピジェネティクスによる影響の方が大きいことが分かっています。手軽に検査でき、便利になった反面、少ない情報で判断する危険性を考慮する必要もあるでしょう。


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