SSブログ

VOL.165『老化予防するポリアミンって?』 [長寿]

◆長寿の島
 鹿児島県の奄美大島は別名『長寿の島』と呼ばれています。100歳以上の長寿者の 割合は、全国平均が10万人あたり42.66人なのに対し、この島では122.63人で約3倍もいるのです。
 この島の長寿には『ミキ』と呼ばれる飲み物が関係していると言われています。ミキは奄美大島の伝統的な発酵飲料で、原料は米とサツマイモです。繊維質が多く、とろみがあり、サラリとした飲み心地の甘みのある米のジュースで、1mlあたり約1億個もの乳酸菌が含まれています。粥状にした米に磨り潰した少量のサツマイモを入れることで、乳酸菌が発酵し、このミキを毎日のように飲んでいることが健康の秘訣のようです。

◆ポリアミンとは
 奄美大島に住む100歳のある女性は食後にチーズと一緒にミキを飲んでいるそうです。この女性には73歳の娘と37歳の孫がおり、親子3代の糞便を調べてみると糞便1g中に100歳の女性で31億個、娘には770億個、孫には740億個ものビフィズス菌が含まれていました。一般に健康な人(23〜45歳)のビフィズス菌は約100億個で、老化とともに減少するので、この100歳の女性に30億個も存在するのは奇跡と言えます。
 腸内細菌は善玉菌・悪玉菌・日和見菌に大別されています。善玉菌は酢酸を産生するビフィズス菌や、乳酸を産生する乳酸菌などです。乳酸菌はブドウ糖から乳酸を作る細菌で、酸素のあるところで生きられますが、ビフィズス菌は酸素のあるところでは生きられません。乳酸菌が糞便1gあたり100万〜1億個に対して、ビフィズス菌は100〜1000億個存在します。悪玉菌はたんぱく質やアミノ酸を分解して腐敗させます。体調を崩すと、悪玉菌から出る腐敗物質が血液を通じて体内に運ばれ、有害な作用を引き起こします。
 最近、老化を予防するといわれる『ポリアミン』という物質が注目されています。ポリアミンはアミンという塩基がたくさん集まった物質という意味で、生命維持に密接に関係しています。老化とともに血液中のポリアミンは減少します。またアトピー性皮膚炎でも減少してしまいます。しかし、ビフィズス菌の入ったヨーグルトを摂取すると、腸内細菌叢のバランスが変化し、ポリアミンを作り出す腸内細菌が増えます。発酵食品や線維素を多く含む食品は腸内細菌叢を活性化し、常時ポリアミンを作り出します。

◆善玉菌を増やして老化予防
 腸内細菌叢のバランスは生まれた時に決まり、基本的に変わることありません。新生児の腸内細菌の組成は母親で決まります。新生児の腸内は母乳に含まれるビフィズス菌が産生する酪酸や乳酸によってpH4.5ぐらいの酸性となっています。そのため細菌やウイルスは生きられません。もし、母親が便秘や肥満であれば、その子供も便秘や肥満になり、アレルギーならば、子供もアレルギーになります。帝王切開で生まれた赤ちゃんは腸内細菌叢のバランスの定着が遅れるので感染症になりやすく、肥満率は普通分娩の子供の2倍以上の確率となります。
 一般的に50歳を超えると、腸内は悪玉菌優位に働き老化が進みます。老化の予防には善玉菌を増やし、維持することが大切です。奄美大島の長寿者は、若い頃から発酵飲料であるミキを飲んでいるおかげで、これが日常生活の中でできています。腸内細菌叢のバランスは必ずしも乳製品によって保たれているわけではありません。日本人には日本人に合う発酵食品を摂取することも大切です。

v165.jpg

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。