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VOL .9 『気道の浄化作用について』 [体]

 「気道」とは鼻腔・口腔から肺までの外呼吸をするための器官で、呼吸器ともいいます。気道は外界に開放した器官であるため、さまざまな有害物質の格好の侵入経路となります。だからこそ気道は、細菌やウィルスなど、身体にとって有害な物質を排除する器官なのです。

◆鼻毛はフィルター・鼻腔はエアコン
 鼻毛は鼻腔の入口にあって、空気中の大きなチリやホコリが気道に入らないように、フィルターの役目を果たしています。ですから鼻毛を切りすぎるとカゼをひきやすくなったりするのです。
 鼻腔は、体外から吸い込んだ空気の湿度や温度を調節する役割をもつ、エアコン装置のようなものです。鼻腔壁には血管や分泌腺が豊富に分布しており、鼻甲介(びこうかい)によって空気との接触面を広くしています。吸い込まれた空気は、直接咽頭へ進むのではなく、紆余曲折しながら、湿度は80~95%に、温度は35~37度に調節されて、清浄な空気になっていきます。この鼻粘膜が吸気を加湿するためには、1日に数百mlの粘液が必要とされます。

◆咽頭・扁桃はポリスマン
 咽頭においては、リンパ組織が通過する食べ物や外気に監視の目を光らせています。このリンパ組織がリング状に分布し、リンパ咽頭輪を形成しています。口腔や鼻腔をすり抜けた細菌はここで捕らえられるのです。扁桃腺にはリンパ組織の集合が多数あって、微生物の侵入に対して防御反応を起こします。扁桃腺が腫れるのは、この反応が起こるためなのです。

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◆線毛はガードマン
 気道の粘膜は線毛をもった細胞でおおわれており、その表面は胚細胞や、粘液腺から分泌される粘液の薄い膜で保護されています。侵入したホコリや細菌はこの気道液にからめられ、線毛によって無意識のうちに排除されたり、飲み込まれたりします。その速度は10㎜/分で、30~60分で排泄されます。タバコや大気汚染物質は、この線毛運動の働きを鈍くします。
 線毛運動は1秒間に10~15回、規則正しく気道異物を排出します。線毛運動の快適条件は温度35~38度、pH6.8~7.2で、寒冷、乾燥、喫煙、睡眠時には運動が抑制されます。

◆最後の砦、マクロファージ
 気道の線毛運動によって分泌物や異物が除かれないときには、咳が起こります。異物が粘膜表面の異物感知装置にあたると、神経を介して信号が延髄にある咳中枢に送られることによって咳が出るのです。そのとき異物はタンとして吐き出されます。
 このような二重三重の防御機構の難関を突破し、肺胞にまで到達した異物や細菌に対しては肺胞内の白血球の一つであるマクロファージが立ち向かいます。マクロファージは「大食細胞」といって、細菌や異物を貪欲に飲み込み、肺胞内のクリーニングと殺菌をする役目を持っています。
 以上のように気道には、さまざまな防御機構があり自分自身を守っています。免疫力を高め、健康を保つためにも、日頃から食生活には気をつかいましょう。


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