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VOL.83『前頭前野について』 [生活]

◆人間らしさを形成する脳
 ヒトと動物(ヒト以外)の違いは、前頭葉の中の最も前方に位置する『前頭前野』と呼ばれる部分にあります。人間は一人では生きていけないので、脳を発達させ、言葉を操る能力を身につけ、相手の行動や表現から相手の心の中を読み取る能力を養ってきました。この働きの中枢が前頭前野です。すなわちこれが人間らしさを形成する脳なのです。
 ヒトは生まれながらこの能力の素質を持っています。生まれたばかりの赤ちゃんは寝返りもできませんが、やがて首が座り、寝返りができるようになり、ハイハイして、立ち上がり、歩けるようになります。同時に運動に関する大脳や小脳が発達します。言葉も最初は何を言っているか分かりませんが、次第に意味をなすようになり、3歳頃には明確となります。言語の発達とともに、相手の表情などから心を読み取る能力も、身につけ始めます。相手の心を読み取り、我慢する心は前頭前野の発達と同時に成長します。人間が人間らしく生きるのは、この前頭前野の働きがあるからなのです。

◆学習脳・仕事脳・共感脳
 前頭前野には、『学習脳』『仕事脳』『共感脳』と呼ばれる神経細胞群があります。目・耳・鼻・口・皮膚感覚から得た情報は神経細胞のネットワークによって脳に伝えられます。脳内のネットワークを構成している神経細胞は約150億個あるといわれ、情報伝達に使用する物質によって、ドーパミン神経・ノルアドレナリン神経・セロトニン神経に分かれています。
 学習脳とは学習する時に働く脳なのですが、脳にとっての学習は何かといいますと、報酬(地位や名誉、お金、美)を得るために一生懸命努力することです。報酬とは人間にとって快楽なのです。この学習脳の働きを活性化させるのが快感を司るドーパミン神経です。ドーパミン神経は、意欲的に努力することで生じるストレスを高めます。反面、このストレスは何かの依存症(アルコール依存症)となる危険性もはらんでいます。
 仕事脳を活性化させるのは、ノルアドレナリン神経です。仕事脳は、種々の情報を分析し、経験に照らし合わせて最善の行動を選択する機能です。ノルアドレナリンは、生命の危機や不快な状態、怒りや危険に対応し、興奮をもたらします。つまり、脳が興奮し、適度な緊張をもたらすので、仕事がうまくいくということです。このストレスは適度であればいいのですが、強すぎるとかえって仕事脳の働きは低下してしまいます。ノルアドレナリン神経は、仕事脳だけでなく、いざという時に身を守ってくれます。ところが、強いストレスが長期間続くと、ノルアドレナリンが過剰に分泌され、脳の興奮がコントロールできなくなることがあります。これがうつ病や不安定神経病・パニック障害・対人恐怖症などの精神疾患につながります。
 共感脳を活性化するセロトニン神経は、ドーパミン神経やノルアドレナリン神経の過度の興奮を抑制し、脳神経のバランスを整え、平常心をもたらす働きをして脳の働きを高めます。

◆前頭前野を活性化しよう
 前頭前野の働きを向上させるには、前頭前野の血液量を増やすことです。人との会話を楽しんだり、整理整頓を習慣づけたり、料理をすることは前頭前野の活性化に役立つといいます。
 ストレス社会である今日、人間らしく社会生活ができるように、子どもの頃から規則正しい生活習慣を身につけて、適度な運動をし、新しい情報に対して常に前向きに行動することで、脳の活性化を維持しましょう。

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