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VOL.82『高血圧のメカニズム』 [高血圧]

◆高血圧の種類
 血圧は、健康な人でも加齢とともに上昇します。高血圧の原因には、ストレスや肥満・運動不足・たばこ・塩分などがあります。特に塩分の摂り過ぎは、塩分中のナトリウムが血圧を高くする原因となります。体内ではレニン・アンギオテンシン系(レニンによって血圧が上がる仕組み)が働くと高血圧になり、交感神経が興奮することでアドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、血圧が上昇します。また、遺伝的に血圧が高い家系の人も高血圧になりやすいようです。
 しかし実際は、原因が明らかでない高血圧(本態性高血圧)が最も出現頻度が高く、高血圧症の約90%を占めています。残りの10%くらいが原因を特定できる高血圧症でこちらは二次性高血圧と呼びます。

◆二次性高血圧
 二次性高血圧の原因の一つに副腎の異常があります。副腎から分泌されるホルモンの中で、二次性高血圧に関係するのがアルドステロンというホルモンです。アルドステロンは、副腎皮質から分泌され、体内を循環して、尿とともに排泄されるナトリウムを再吸収し、その代わりにカリウムを体外に排泄する作用があります。つまり、塩分が体外に排泄されるのを防いでいるのです。例えば、夏にスポーツや山登りなどをして、汗や尿で水分が失われた時に、塩分中のナトリウムを取り込み、脱水症状を防いでいるのがアルドステロンです。しかし、アルドステロンの分泌量が増え過ぎると、体内に蓄積するナトリウム量が増え、血液中のナトリウム濃度が高まるので、血管内に水分が入り込み、血管が膨張します。これが高血圧となるのです。これを原発性(病気の原因の最初)アルドステロン症といいます。原発性アルドステロン症の患者は、約60%が女性で40~60歳代に多く見られます。カルシウムにはナトリウムの排泄を助ける働きがあるので、十分に摂取すれば予防につながります。
 そして、二次性高血圧で多く見られるのが腎性高血圧症です。腎動脈が動脈硬化で血管内腔が狭くなり、血液の流れが悪くなると、血液中の老廃物をろ過する糸球体の入口にある、膀糸球体細胞がレニンという物質を分泌するので、レニン・アンギオテンシン系に働き、血圧が上昇します。この高血圧が引き起こす病気には脳梗塞があります。脳梗塞は脳内の血管の一部が血栓(血の塊)で詰まり、その先に血液が行かなくなる病気です。血液が行き渡らなくなった脳の神経細胞は、酸素や栄養素が届かないので死んでしまいます。するとカラダに麻痺が起こり、認知症や死をもたらすことにもなります。

◆高血圧と脳梗塞
 脳梗塞にはラクナ梗塞やアテローム梗塞があります。ラクナ梗塞は脳の小血管が血栓で塞がれます。ラクナ梗塞は頻繁に起きますが、規模が小さいために気づきにくいのが特徴です。しかし、ラクナ梗塞が積み重なることで認知症となることもあります。ラクナ梗塞による認知症は脳血管障害によるもので、脳神経細胞の萎縮で起こるアルツハイマー病とは異なります。
 アテローム梗塞は、動脈硬化した血管にプラーク(脂肪の塊)が付いてアテロームが太い血管を塞ぎます。すると半身不随となりラクナ梗塞より重症となります。
 脳梗塞は、発症してから3時間以内であれば、脳血管を塞いでいる血栓を溶かす治療ができます。しかし、このような症状を起こす前に毎日の塩分量やカロリー摂取を控え、動脈硬化にならないようにカルシウムやマグネシウムを十分に摂取して高血圧を予防しましょう。

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