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VOL.99『肥満とアルツハイマー病』 [体]

◆肥満は社会問題です
 肥満は現代人にとって大きな問題となっています。肥満にはリンゴ型肥満と、洋梨型肥満があります。リンゴ型肥満は、肝臓・腎臓・胆嚢などに蓄積する内臓脂肪型肥満です。洋梨型肥満は皮下脂肪型肥満で、お尻・太もも・お腹まわりに脂肪が蓄積します。アメリカでは3人に2人の割合で肥満となっており、これが糖尿病の原因ともいわれています。肥満の問題は日本もアメリカに追随しています。
 人類は飢餓の時代を経験したため、食物が豊富な時に摂取したエネルギーを効率よく体内の脂肪組織に蓄え、飢餓の時に備えるように働く節約遺伝子を獲得して、今日まで生き延びてきました。肥満は食事によるカロリーの過剰摂取に加えて、この節約遺伝子が存在することが要因となっています。

◆糖尿病やアルツハイマー病の原因に
 肥満大国であるアメリカには、2005年の調査で、約2,080万人の糖尿病患者がいます。患者は45歳以上の中高年齢の肥満の人に多く、糖尿病患者全体の90%以上が肥満です。糖質の高い食事ばかり摂っていると血糖値が上がります。上がり過ぎた血糖値を下げるため膵臓から大量のインスリンが放出されインスリンが過剰となります。この過剰に分泌されたインスリンがブドウ糖を脂肪組織に取り込ませるので、結果として体脂肪が増え肥満となるのです。しかし、大量にインスリンが出続けると細胞が傷害され、インスリンを受け取れなくなり、細胞内にブドウ糖を取り込めなくなるので、血糖値が下がらなくなります。これがインスリン抵抗性です。内蔵脂肪型肥満では、太れば太るほどインスリン抵抗性が進み、2型糖尿病へと進展します。
 血液中にインスリンが過剰になると、脳内にβアミロイドが増加・蓄積し、脳の神経細胞を障害します。これがアルツハイマー病へと進展する説があります。また、遺伝的に心筋梗塞を起こしやすい人は、アルツハイマー病になるリスクが高いことが分かっています。
 動物実験では、遺伝的にアルツハイマー病を発症しやすいように作られたマウスにDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を含ませた餌を与えたところ、脳の萎縮が抑制されました。高齢者を対象に血液中のDHA濃度を測定したところ、アルツハイマー病の人は健常人よりも30~40%も低い値を示しました。
 アメリカでは、アルツハイマー病患者の数が510万人に達しています。日本は24万人ほどですが、食生活の欧米化によって増加しています。これは肉類や乳製品の摂取が増えて魚介類の摂取が減少していることを示しています。魚介類にはDHAやEPAなどのオメガ3と呼ばれる不飽和脂肪酸が多く含まれています。血液中の脂質濃度を下げる働きがあるオメガ3濃度を正常レベルに保つには、大量のDHAやEPAの摂取が必要です。

◆魚介類やミネラルを!
 健康を維持するためには、食事の摂取カロリーを抑えて、肥満を抑制し、血液中の血糖値を安定させて、インスリン分泌を抑え、インスリン濃度を低く維持することです。同時にオメガ3を豊富に低く維持することです。同時にオメガ3を豊富に含む魚介類を十分に摂取することはアルツハイマー病の予防にもつながります。
 糖質を減らし、魚介類や野菜・果物・海藻類・豆類を多く摂りましょう。そして肥満を解消するもう1つ大切なポイントは、カルシウムをはじめとするミネラル成分を十分に摂取することです。

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