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VOL.147『カルシウムをおろそかにしていませんか?』 [水]

◆カルシウムの少ない水は…
 紀伊半島の山あいの集落には昔、牟婁(むろ)病と呼ばれる原因不明の病気がありました。この病気にかかると、脳と脊髄の働きが麻痺し、手足の筋肉が次第に萎縮し、筋力が減少します。そして、胸部の筋肉が萎縮し呼吸が困難になったり、食物を飲み込めなくなることで衰弱し、死に至る奇病と言われていました。現在この病気は『筋萎縮性側索硬化症』(ALS)と呼ばれており、脳と脊髄が変性・壊死する病気として知られています。世界的に見てもこの地域はこの病気の発症率が高い地域でした。
 その昔、この地域を流れる川の水は水晶のように澄んで透明度が高く、魚も澄んでいませんでした。飲用にしていた周囲の井戸水も同じように澄んできれいな水でした。この水は純水に近く、カルシウムをはじめとするミネラルの含有量が極めて少ない水だったのです。その水で育った農産物や牧草を食べたヒトや家畜はみなカルシウム欠乏となりました。現在では水以外にも摂取方法はいろいろあるのでカルシウムが欠乏することはありませんが、紀伊半島は酸性の火山灰土壌が主体なので、雨が土を通って川となるときに弱アルカリ性金属であるカルシウムが水に溶け込まないのです。そのためこの地域では慢性的にカルシウム欠乏の状態が続き、特有の奇病である筋萎縮性側索硬化症の発症につながったのです。

◆カルシウム不足だとカルシウムが蓄積する
 カルシウム摂取量が少ないと、血液中のカルシウム濃度を減らさないために生命を維持する恒常性機能が働いて、副甲状腺ホルモンが分泌され、骨からカルシウムを溶かし出して補います。すると骨はもろくなり、発育不全や成長障害が起こります。一方、血液中に過剰となったカルシウムは脳や脊髄に移行して蓄積します。すると、脳や脊髄内の特に筋肉の栄養や運動をコントロールする神経細胞に変性・壊死が生じ、運動ニューロンが障害され、筋萎縮性側索硬化症となります。カルシウム欠乏の餌を与え続けた動物実験では、骨のカルシウムが減少し、脳と脊髄中にカルシウムが増加して筋肉が萎縮し、歩けなくなるという結果が報告されています。カルシウムの摂取不足によって細胞内にもカルシウムが増えてしまい細胞は変性・壊死してしまいます。
 人は誰でも加齢とともに、物忘れや記憶力の低下が進みます。その症状が進行することで認知症になります。老人性認知症には、アルツハイマー病と脳血管障害型があります。欧米人にはアルツハイマー病が多く、今日では日本人も増加傾向にあります。これらはいずれもカルシウム欠乏が原因で、脳の血管壁にカルシウムが蓄積することによって起こります。高齢者は、脳の神経細胞の働きや感度が鈍くなるので、カルシウム不足を補うためにビタミンDを飲んでもカルシウムの吸収性が悪化することで、逆に脳内にカルシウムが蓄積し変性・壊死してしまいます。

◆カルシウムの大切な働き
 カルシウムには脳神経細胞を活性化する働きがあり、私たちにとって不可欠な物質です。血液中のカルシウム濃度が少しでも不足すると、精神や感情のコントロールができず、異常に興奮したり、イライラしたり、不安になったりします。
 ストレス社会である現代、吸収性に優れたカルシウムを毎日十分に摂って精神の安定を保つことはとても大切です。水に含まれるイオン化したカルシウムを摂り続けることは病気の予防にもつながります。

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