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VOL.167『ヒスタミンの食中毒が増えている』 [生活]

◆ヒスタミンとは
 雨が多く湿度が高いムシムシする時期は、食中毒が発生しやすい環境となります。特に、鮮度の落ちた魚を食べるとヒスタミン食中毒になりやすいので注意が必要です。冷凍技術が進歩した今日では発生件数は減少しているものの、学校や保育園、老人ホームなどで集団食中毒が起きています。6月には徳島県の中学校で、生徒や教職員227人が給食を食べた後に吐き気や発疹などの症状が出ました。幸い全員軽い症状で済みましたが、原因はアジのフライで、ヒスタミン食中毒でした。
 ヒスタミン(化学物質)は加熱処理しても壊れないので、魚や肉を焼いたり、フライにした後、常温で長時間放置したままにすると中毒の危険性が高まります。

◆ヒスタミンの食中毒
 ヒスタミンは魚や肉類に含まれるヒスチジンというアミノ酸の一種がモルガン菌などの細菌によって分解されてできる化学物質です。ヒスタミン食中毒はヒスタミンを多く含む魚やその加工品を食べることで発症します。特に、サバ・イワシ・カツオ・マグロなどの切り身や干物、貝類、冷凍食品などで冷凍保存の管理が悪いと、食中毒の原因となる細菌の汚染によってヒスタミンが生成されます。
 ヒスタミン食中毒では、食後30分ほどで顔面などが紅潮し、頭痛・じんましん・発熱などの症状がでます。一見、アレルギー症状のようですが、ヒスタミンの多量摂取によって誰もが発症する可能性があります。6〜10時間ほどで回復し、重症化することは少ないですが、呼吸困難・気管支炎・急激な血圧降下を起こす場合もあり、死に至ることもあります。
 通常、食中毒となる病原性大腸菌O-157やノロウイルスなどの細菌やウイルスで汚染された食材の場合、加熱処理が十分であれば食中毒にはなりません。ところが、ヒスタミンは加熱処理しても分解されないので、缶詰や焼き魚・フライなどでも食中毒が発生します。
 1998年〜2008年の10年間、食品安全委員会がヒスタミン食中毒について調べたところ原因は焼き物や揚げ物に多く、特に、照り焼きや漬け焼きなど調味液に漬け置きした後、焼いて調理する食品に30%以上の確率で発生することが分かりました。ヒスタミン食中毒が報告された給食を調べても、カジキマグロの竜田揚げやイワシのつみれ汁など加熱前に調味液に漬け置きしたメニューが多く報告されていました。加熱前に漬け置いた時間にヒスタミンが増量したのです。
 厚生労働省によるとヒスタミンの食中毒は、年間、数10人から数100人の割合で発症しており、梅雨から夏にかけてが発症のピークとなります。

◆予防するために
 ヒスタミンが高濃度で蓄積された食品を食べると、唇や舌の先がピリピリするなど刺激を感じます。ヒスタミン食中毒の原因となる細菌は、常温や冷蔵庫内で増殖している可能性が高いので、一度解凍した物は再び冷凍せず、干物など残った物は直ちに冷凍保存しましょう。
 この時期、冷蔵庫内の食品は傷みが早いので冷蔵庫を過信しないようにし、特に、魚や肉類は冷凍しておきましょう。食材が変色していたり、食べた時に味が悪いとか、変に感じる時は処分しましょう。たとえ気温が低くても湿度が高ければ細菌やカビは急速に増殖します。食品は生で食べないで、必ず十分に加熱処理してから食べましょう。加熱処理した後は、ヒスタミンの増殖を防ぐために長く放置しないように気をつけましょう。

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