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VOL.182『ジカ熱って?』 [健康]

◆流行が深刻化
 2016年になってから中南米などで蚊が媒介する感染症『ジカ熱』が猛威を振るっており、ブラジルではすでに150万人が感染しています。WHO(世界保健機関)は最大400万人が感染する恐れがあると警告し、2月1日にはスイスのジュネーブで緊急委員会が開催されました。
 ジカ熱はジカウイルスによる感染症で、1947年ウガンダの森林に生息するアカゲザルから初めて確認されました。その後、1954年にナイジェリアで人への感染が確認され、2007年にはミクロネシア連邦のヤップ島、2013年にはフランス領のポリネシアで確認されました。今回は、中南米を中心に25の国と地域に広がっており、今までに例がないほど深刻となっています。

◆ジカ熱とは
 ジカウイルスはデング熱や日本脳炎を引き起こすウイルスの仲間で、ウイルスを体内に持つ蚊に刺されることで感染が起こります。このウイルスを媒介するのはネッタイシマカですが、日本でも北海道を除く地域に生息するヒトスジシマカから感染する可能性があります。人から人への感染はないものと思われていましたが、アメリカでは性交渉による人から人への感染が報告されました。
 国立感染症研究所によれば潜伏期間は3〜12日とみられ、発熱・筋肉痛・眼球結膜充血・皮疹・関節痛などの症状が出ます。現在のところ有効なワクチンがないため、感染症の封じ込めが急務となっています。予防ワクチンや有効な治療薬はありませんが、通常、症状は軽く2〜7日位で治り、後遺症もほとんどありません。感染に気付かなかったり、症状が出ないこともあるようです。
 ジカ熱は、症状が軽く感染自体に気づかない人も多く見られる一方、小頭症を発症する新生児が急増しています。2015年10月以降418人が報告され、新生児68人が死亡しました。そのため、ブラジル保健省は妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症には関連があると発表しましたが、WHOでは調査中であるとしており、そのメカニズムはまだ解明されていません。アメリカ疾病対策センターは妊娠中の感染に関して、詳細な調査結果が出るまでは流行地域への妊婦の渡航は控えるように注意を促しています。

◆気をつけること
 2月にブラジルで行われるリオのカーニバルには100万人以上の観光客が見込まれ、その半年後にはオリンピックが開催されることから、保健衛生局では蚊の駆除や撲滅に躍起になっています。カメや瓶の中に水が溜まっていれば、蚊の幼虫であるボウフラが繁殖することから、水が溜まりそうなものを排除するなどの対策がとられています。ブラジルとアメリカの大統領は緊急の電話会談でワクチン開発の協力で一致しました。
 日本でも厚生労働省が注意を呼びかけています。2013年以降、フランス領ポリネシアやタイからの帰国者3人が現地で蚊に刺された後帰国して発症した例もあり、今年は夏にブラジルでオリンピックが開催されるため、流行地域への行き来が増えることが予想されることから、妊婦はなるべく渡航を控えるべきと言っています。
 ジカウイルスは感染力が強く、日本人は欧米人と同様に免疫力が低下しているので感染しやすく、発症しやすくなっています。また、人から人へも感染する可能性が出てきているため、妊婦だけでなく、免疫力が低下している高齢者や幼児、基礎疾患のある人は感染すると重症化することが予想されますのでご注意ください。

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