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VOL.206『大腸ガンを予防しましょう』 [生活]

◆人は腸から老いる
 近年、健康寿命を維持し、肥満・高血圧・糖尿病・高脂血症・ガンなどの病気を防ぐために糖質(炭水化物・糖分)を制限する食事が注目されています。食事による老化防止です。
 日本では、昔から「人は腸から老いる」と言われています。腸(大腸・小腸)は食物を消化し、栄養分を吸収してエネルギー源にし、残った老廃物を便として排泄します。また、食事と同時に取り込んだ細菌やウイルスなどの病原体や食品に含まれる化学物質なども無毒化して体外に排出します。このように、腸には腸管免疫と呼ばれる働きがあります。ヒトの防御システムである免疫の60%以上が腸(小腸)に集まっているので、腸が健康でないと老化が進んだり、病気になったりします。長寿で知られるギリシャ・クレア島には世界最古のオリーブの樹があり、脂肪摂取量が多いにもかかわらず心血管系疾患による死亡率は低く、大腸ガンになる人もあまりいません。また、山梨県の長寿村では高齢者の腸内細菌中に悪玉菌の割合が低く、食物繊維や発酵食品が多い腸に良い食事、いわゆる「腸寿食」を摂っていることが分かりました。日常生活で腸に良い食事をすることで腸の負担を減らし、健康寿命を維持して老化を防いでいるのです。

◆腸は第2の脳
 腸内環境を悪化させる原因として食生活の変化やストレスがあります。例えば、ストレスを感じればお腹が痛くなりますし、環境が変化すれば便秘にもなります。つまり、心身のストレスが腸に大きく影響を与えるのです。ストレスを感じると腸の蠕動運動が減少します。蠕動運動には腸内に1億個ある神経細胞が関与しています。そのため腸はセカンド・ブレイン(第2の脳)と呼ばれます。
 腸の神経細胞は独立したネットワークで消化器官と協調して働いて便意を起こし、食物の消化や分解に欠かせない酵素とホルモンの分泌を促します。2007年、世界ガン研究基金のガン予防のまとめ論文によれば、メタボである肥満や内臓型脂肪は大腸ガンの発症に大きなリスク要因となると言い、さらに、高血圧や糖尿病、ガンを併発すると言います。
 メタボの発症は中年期以降、加齢とともに増加する傾向にあります。アメリカでも肥満の大腸ガン患者は正常体重の人と比較して死亡率と再発のリスクが高いそうです。アメリカ対ガン協会によれば、毎年15万人以上が大腸ガンと診断され、肥満は大腸ガンの危険因子であるだけでなく生存率を低下させ、特に女性よりも男性の方が予後が悪くなると言っています。

◆カルシウムとマグネシウムが重要
 腸にとって、最も良いミネラル成分はカルシウムとマグネシウムです。これらはどちらも生命維持に欠かせない成分で、例えば、カルシウムをせっかく摂取してもマグネシウムが不足していると骨や筋肉が作れませんし、腸の働きが低下してしまいます。マグネシウムは25〜60%が小腸から吸収され、大腸で水分を吸収して便を軟らかくする働きがあり、便秘予防に有効です。ニガリや岩塩・硬水・昆布・納豆・ゴマなどに多く含まれており、摂取の目安は1日あたり340mgです。また、神経の働きを助け、腸ストレスを除き、体温や血圧の調節や細胞内エネルギーに関与します。
 前述の世界ガン研究基金によれば、カルシウムは大腸ガンのリスクを低下させる栄養素であると言います。脂肪摂取量が増えると胆汁分泌量が増し、その主成分である胆汁酸が大腸ガンの引き金になります。カルシウムには胆汁酸に吸着し、便中に排泄して大腸粘膜を正常に保つ機能があります。同時に水分補給することで腸の蠕動運動を亢進するので、便秘の解消にもなります。カルシウムとマグネシウム、良い水を十分に摂取し、大腸ガンにならない体を作りましょう。

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