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VOL.224『肥満防止の行動がストレスに』 [体]

◆飢餓状態が長かった人類
 ヒトの祖先が地球上に出現してから700万年が経過したと言われています。その間のほとんどをヒトは飢餓状態で過ごしてきました。ヒトには生きていく上で必要なエネルギー量があります。カラダを動かし、体温を維持して、基本的な代謝を円滑にするための熱量を基礎代謝と呼び、成人では1日あたり2000Kcalです。この範囲内であれば摂取した食物は燃やされ、エネルギーとして消費されるので、体重は増えません。人類の歴史の中で長く続いた飢餓状態を生き延びることができたのは、細胞内の遺伝子にこのシステムが組み込まれたからなのです。そこで、大量の食料が得られた際にはそれをできるだけ取り込み貯蔵するように、カラダの仕組みが整えられました。
 しかし、この数十年の間に人類を取り巻く食料事情は一変し、日本を含め経済発展を遂げた国々では飽食の時代となりました。ところがヒトの遺伝子や基礎代謝量のメカニズムは飢餓当時のままで、これを組み替えるには数十年では短か過ぎるのです。ヒトの遺伝子や代謝システムは飽食の時代に遭遇することがなかったためこの変化は想定外で、連日のように基礎代謝量以上のエネルギーが貯め込まれ、内蔵型脂肪や皮下型脂肪となって蓄積します。活動量の低下や便利な機械化によって全体的に基礎代謝量も減少しました。その結果、大人から子供にまで腹回りに脂肪の蓄積が進み、ダイエットがもてはやされるようになりました。

◆ドカ食いとチビチビ型
 同じように過剰なカロリー摂取であっても、一挙にたくさん食べるドカ食いと、食べる回数は多いけれど1回の量は少ないチビチビ型ではどちらの方が太りやすいでしょう?1000kcalの過剰食を一挙に食べると、体脂肪は100g増えます。一方、同量を10回に分けて食べると、脂肪の蓄積量は数的には変わりませんが、実際の生命現象では太りにくいのです。1回のカロリーを10分の1にすると体脂肪は2gで済みます。朝から何も食べていなければ、500kcalの甘いケーキを食べても基礎代謝の範囲内の熱量として燃やされ、エネルギー源となるので太りません。しかし、朝・昼・晩と食事をして食後に甘いケーキを食べれば、その余剰エネルギーは全て脂肪となり体重は増加します。この余剰カロリーを運動で無理やり燃やすには想像以上の運動量が必要となり、かなりの困難を伴います。例えば、500kcalを燃焼するためには水泳で1時間、マラソンで10km走る必要があります。それゆえ運動によるダイエット法はなかなか続かないのです。
 体脂肪は余分なエネルギー(ブドウ糖)を毛細血管から受け取り、脂肪細胞内に蓄えられた物です。通常、ブドウ糖は血液に溶け込んで各組織の細胞に取り込まれ、燃やされてエネルギーとなります。このエネルギーが細胞の代謝の原動力となり、体温の維持などに使われます。空腹感とはエネルギーの消費が進み、血糖値が低下した時に感じる感覚です。その時過剰に食事をすると、必要以上のブドウ糖が血液中に溶け込み、脂肪細胞が大量の脂肪を取り込みます。つまり、余分なカロリー摂取は体重増加につながるということです。

◆たまには甘いケーキも食べましょう
 人類は長い飢餓状態の中で進化してきたので、満腹中枢の規制が極めて弱いため余分に食べてしまい、太ってしまうのです。しかし、フルコースの料理のように、ゆっくり時間をかけて少しずつチビチビ食べることは賢い食べ方です。血液中のブドウ糖濃度が低下すると、脂肪細胞はそれ以上ブドウ糖を取り込みません。食物摂取量が少ない状態が続くと、一時的に過剰に摂取しても脂肪蓄積はせず体重は増えません。つまり、規則正しく、少ない量で、バランスの良い食事内容が続けば脂肪は蓄積せず、たまに甘いケーキなどの余剰カロリー摂取があっても脂肪量の増加にはなりません。日頃からダイエットで悩んでいる人はそれがストレスとなり、結果的に体重が増えてしまうことがあるようです。食欲の秋、たまにはストレス防止のために、甘いものを食べてみてはどうですか。

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