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VOL.234『アレルギーによる過敏性腸症候群』 [体]

◆ 増えるアレルギー疾患
 近年、日本ではアレルギー疾患が増えており、その割合は3人に1人と言われます。
 1963年、日本で初めてのスギ花粉アレルギーが栃木県日光市で見つかりました。日光のスギ並木は17世紀前半に2万4000本植えられ、その後300年に渡って存続していますが、それまではスギ花粉アレルギーの報告はありませんでした。それが1963年以降爆発的に増加したのです。日本では1960年代以降、結核や寄生虫の感染は急激に減少しているのに対し、花粉症によるアレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎・気管支喘息は急増しています。

◆ 寄生虫がアレルギーを防いでいた?
 日本人が寄生虫を持っていたのは縄文時代からであるとの報告があります。寄生虫とアレルギーとの関連性について、発展途上国では寄生虫の感染はありますがアレルギーはありません。寄生虫がアレルギー反応を抑制するのです。寄生虫の分泌物や排泄物の中には分子量2万ほどのタンパク質(DiAg)が含まれています。このDiAgは、寄生虫を攻撃する抗体の働きを抑制するだけでなく、アレルギー物質にもカラダが反応しなくなるように作用します。そのため、腸内に寄生虫が生息しているとアレルギー反応は起こらなくなります。ヒトの腸内に住む寄生虫はヒトの腸内でしか生きられません。寄生虫とヒトとの共生関係は
太古の昔から続いています。日本での寄生虫感染率は第二次世界大戦から1950年代にかけては70%以上で、小中学校では検便が義務付けられていました。つまりその時期、日本人のほとんどが寄生虫に感染していたのです。当時、ヒトの糞便は肥料となり、これを利用して野菜を作っていました。寄生虫(回虫)は1日に1〜20万個の卵を産み、糞便中に排泄されます。回虫は土壌中で2〜3週間後に成熟卵となり、野菜の肥料となって再び野菜から腸内に戻ります。現代は水洗トイレの生活環境となりましたので、回虫に感染する機会はありません。当時野菜は生では食べませんでした。回虫の卵は加熱すると死滅するので、回虫の卵が大量に腸内に入ることはなく、ほどよく感染していました。野菜を生で食べるようになったのは、日本人の食事が欧米化してからです。

◆ 腸に優しい食生活を
 最近、有機農法の野菜を好む人が増えています。農薬を全く使わず、糞便を有機肥料として使っているものもあるので、知らず知らずのうちに寄生虫に感染している人も増えてきました。この人たちにアレルギー疾患はみられません。有機野菜食に変えることでアトピー性皮膚炎や花粉症が治った人もいるそうです。つまり、寄生虫に感染したためにアレルギー疾患が改善されたと考えられます。
 今日、食生活が欧米食に変わってきており、若い人にその傾向が顕著です。その結果、腸内の細菌数が減少し、糞便量も減少しました。腸内細菌は腸粘膜の細胞とともに食物の消化吸収や糞便の形成・免疫機能の維持・有害物質の排除・ビタミン類の合成・酵素の合成・腸の粘膜の蠕動運動など、生命活動そのものと言える働きをしています。
 糞便は単純に食べ物のカスではなく、60%が水分、20%が腸内細菌の死骸、15%が腸内粘膜細胞の死骸、そして5%が食べ物のカスなのです。かつて、日本人の糞便量は1日当たり300gほどでしたが、今日、若者では80gほどしかありません。しかも悪玉菌が異常繁殖したかのような非常に強い匂いを放ちます。その理由も食べ物にあります。肉類や乳製品が多く食物繊維を多く含む食品の摂取が不足しているのです。この状態が続くことで起こる病気が食物アレルギー(アレルギー疾患)であり、ガンや脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、うつ病、自閉症、若年性認知症などにつながります。そして、男性では下痢症、女性には便秘が増えています。これらは過敏性腸症候群や各駅停車症候群と呼ばれます。常に吸収されない脂っこいタンパク質が腸内に長く停滞することによって引き起こされる疾患です。タンパク質はアミノ酸に分解されて腸から吸収されますが、腸内に長く停滞すると、大腸粘膜を刺激して大腸ガンの原因にもなります。腸内の過剰なタンパク質がアレルギー反応を起こし、これがアレルギー疾患を増やしているのです。

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