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VOL.235『脳と健康維持の関係』 [脳]

◆ 脳細胞は新しく作られる
 人は加齢とともに疲れがたまるようになり、朝目覚めると十分寝たはずなのに頭がすっきりせず、1日じゅう体が重く感じたりすることがあります。そしてそれを仕方ないと思って生活しています。しかし、年齢を重ねても記憶力に優れている人もいるし、元気で活力にあふれ、若い頃のように行動力がある人もいます。認知症の発症が早い人もいるし、遅い人もいます。最近の脳科学の急速な進歩によって、このような健康状態の違いに脳の働きが関与することが分かってきました。
 1980年代までの脳科学では、脳の神経細胞は再生して生産されることはないと言われていました。脳神経細胞は20代から徐々に減少し、失われた脳神経細胞は元に戻ることはないと。ところが、最近の研究では脳神経細胞が新しく作られることがわかり、脳の容積が増加する現象がMRI(画像診断)でも確認されています。基本的には、脳の機能は加齢とともに低下します。しかし、脳を毎日意識して習慣として使い続ける人は、脳神経細胞が萎縮しても脳の機能は衰えていきません。つまり、40〜50代からの脳の使い方や働き方を含めた生活習慣が後の人生に大きく影響するということなのです。

◆ 脳のトレーニング
 脳の前頭前野には、司令塔として明確に指示を出す場所があります。脳に入ってきた情報を一時的に保存し、他の情報と組み合わせて思考や計算・判断などの作業をします。これを脳の処理能力と言い、この能力は加齢とともに衰えていきます。50歳を超える頃には20〜30代に比べて30%以上低下します。
 また、思考や計算・判断など物事を考えるときに使う機能を作業機能と呼びます。これは短期の記憶として情報を一時的に保存記憶する機能です。記憶は全てが長期記憶に移行するわけではありません。その選別を行っているのが海馬です。海馬はこれまでの人生で得た膨大な情報を大脳皮質に長期記憶として蓄積するかどうかの判断をする役割を持っています。そして海馬の手助けをするのが海馬の近くに位置し、感情をコントロールする役割の扁桃核です。扁桃核が強く刺激されると、海馬は重要な記憶と判断し長期記憶とします。特に、感情を動かし強く刺激する情報は記憶に残ります。ヒトは、脳の司令塔となる前頭前野、記憶の中枢となる海馬、感情をコントロールする扁桃核、これら全てを使ってあらゆる情報を整理します。ですから加齢とともに衰える上に、増加する情報を整理するために脳のトレーニングが必要となります。このトレーニングが認知症の予防にもなり、脳の機能の低下を防ぐ効果を持っています。毎日、意識もせずに生活していると、50歳前後から周囲にも明確に分かるほど衰えてきます。
 健康の維持も同様です。40代になると体内の血液循環が低下し、基礎代謝が急激に落ちてきます。にもかかわらず若い頃と同じ食生活を続けたり、運動をしないでいると、自然に脂肪が蓄積して体重が増加し、中性脂肪が増えて内臓型肥満となります。脂っこい肉類中心の食生活を続ければ血管壁の動脈硬化が進みますが、症状が現れないのでただの疲労と思って放置してしまいがちです。すると50〜60代で2型糖尿病や脳梗塞、脳出血、心筋梗塞を経験する危険性が高くなります。これが脳の機能を急激に低下させます。

◆ 脳を刺激して健康維持を
 脳は、神経細胞同士がシナプスで結ばれて情報ネットワークを形成し、1つの神経細胞には2000以上のシナプスが結合しています。このシナプスの結合数は40〜50代で決まります。シナプス数が減少すれば認知症の方向に進むので、10〜20年後に大きな違いとなります。定年後に急激に人的交流を失う人などは、脳に受ける情報量が極端に減るため記憶力の低下が急激に進みます。
 30〜50代の生き方、食生活のバランスや適度な運動習慣、そして弱アルカリ性でミネラル成分を豊富に含む水をたっぷり摂取することがその後の健康や人生を大きく左右し、認知症の発症を遅らせることにつながります。

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