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VOL.239『日本人と欧米人は体質が違う』 [体]

◆ 異なる遺伝子、異なる環境
 ヒトのカラダは37兆個ほどの細胞からなり、個々の細胞には遺伝子が存在し、遺伝子によって体質が決まります。遺伝子は基本的に一生変わらない部分(ジェネティクス)と、生活習慣やストレスなどの環境要因によって変わる部分(エピジェネティクス)が絡み合っています。
 日本人と欧米人では基本的には変わりませんが、それぞれ異なる遺伝子を受け継ぎ、異なる環境で進化しました。日本は島国なので、日本人は外国からの侵入を受けずに農耕民族として生きてきました。一方、欧米人は狩猟民族で、陸続きの異民族との戦いの中で生きてきました。そのため髪や肌・瞳の色などの外見はもとより、筋肉や脂肪の量や質、体温、消化吸収、アルコールの分解能力、インスリンの分泌量、腸内細菌のバランスなど、さまざまな点で違いがあります。そして体質の違いにより病気になる割合や発症の仕方も違います。

◆ 筋肉も違う
 近年、ヒト遺伝子の解明によってゲノム解析技術が急速に進歩しました。2003年には欧米人の遺伝子を使用してヒトの全遺伝子が解明され、日本人の遺伝子配列は2016年に明らかにされ、日本人と欧米人の体質の違いが明らかになりました。例えば、筋肉には赤筋と白筋の2種類があり、白筋の割合はアフリカ人が70%、欧米人は50〜60%で日本人は30%以下です。一般に筋トレで鍛えるのは白金です。日本人は白筋の合成に関する遺伝子に変異があり、白筋が作りにくいので赤筋が発達しました。筋肉が増えると基礎代謝は上がります。基礎代謝とは安静にしていても消費する必要最低限のエネルギーです。日本人は筋肉が簡単にはつきにくいので、運動で筋肉をつけようとすると少ない白筋を集中的に鍛えることになり、効率が良くありません。つまり、筋トレだけで基礎代謝を高めることが難しいのです。
 欧米では、地中海沿岸地域の人々が心臓病による死亡率が低いことから、オリーブ油に動脈硬化を抑制する効果があるとされています。オリーブ油にはコレステロールの合成を抑える不飽和脂肪酸が多く含まれていますが、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす効果はありません。これはゴマ油や大豆油・コーン油・アマニ油なども同様です。日本人は欧米人に比べて白筋が少ないため内臓脂肪がつきやすく、脂肪を過剰に摂取すると血糖値や血圧が上昇し、動脈硬化が進んで心臓病が増えます。つまり、欧米人には効果があっても日本人にはありません。ですから、摂り過ぎに気をつけましょう。オリーブ油にはオレイン酸が豊富に含まれていますが、オレイン酸は肝臓で合成できるので意識して摂取する必要はありません。

◆ 健康維持の方法も違う
 骨粗鬆症の発症率では日本人が欧米人の50%以下です。骨粗鬆症は遺伝的要因が大きく、カルシウムやビタミンD・女性ホルモン(エストロゲン)の作用、骨基質の減少、動脈硬化に関連する遺伝子によって発症します。この遺伝子に変異が起こると骨粗鬆症の発症率が上昇します。日本人は海藻や緑黄色野菜、大豆、魚介類からカルシウムを摂ってきました。これらの食品に含まれるイソフラボン成分が骨のカルシウムの流出を抑え、骨粗鬆症の発症率を低くしています。一方、遺伝的に乳糖不耐性が多いので、赤ちゃんの頃はラクターゼ分解酵素で母乳を消化できますが、成長すると分解できなくなって70〜90%が乳糖不耐性となります。欧米人では10%以下です。ですから、日本人はカルシウムを摂るために乳製品にこだわる必要はないのです。
 また、フランス人は狭心症や心筋梗塞などの心臓病の発症が欧米諸国で最も少ないのですが、それは赤ワインに含まれるポリフェノールが悪玉コレステロールの酸化を防ぐためだと言われています。その代わり肝臓ガンの発症率は日本人の3〜5倍です。日本人は心臓病が世界一少ないので赤ワインを飲み過ぎる必要もありません。
 以上のように日本人と欧米人では体質の違いから、病気の発症率も異なります。日本人には日本人に適した健康維持の方法があることを知りましょう。

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