SSブログ

VOL.238『オゾンの効能と危険性』 [健康]

◆ 紫外線から私たちを守るオゾン層
 大気圏は地表から近い順に『対流圏』『成層圏』『中間圏』『熱圏』『外気圏』の5層に分かれており、地球の表面は1気圧の空気に覆われています。空気の成分は、窒素が78%・酸素が21%で他はアルゴン・二酸化炭素・一酸化炭素・ネオン・ヘリウムなどの微量の混合ガスです。そして空気の密度は、地表から標高が上がるにつれて低下し、気圧も下がります。成層圏にはオゾン層があり、このオゾン層が太陽から放たれる紫外線を調節しています。
 南極上空のオゾン層には穴が空いている部分があります。このオゾンホールを世界で最初に発見したのは日本人です。1980年、南極の昭和基地に勤務していた日本人の観測員が南極上空のオゾンが減少しているのを見つけました。当時はまだオゾンホールという名称すらありませんでした。オゾン層のオゾン量が減ってくると、中長波の紫外線が皮膚に炎症を起こし、オゾンがない場所(オゾンホール)からは太陽光のすべての波長域が直接照射されます。なかでも短波長の紫外線は人体への影響が大きく、皮膚ガンの発生率が高まります。
 オゾン層を破壊してオゾンホールを作る物質の代表がフロン(ガス)です。フロンはフッ素と塩素からなる化合物で、オゾン層に入ると塩素が触媒となってオゾンの分解反応が継続的に繰り返されるため、オゾン層が破壊されます。フロンは冷蔵庫やエアコン、各種スプレーなどに大量に使用されていましたが、1987年にモントリオール議定書が採択されて1995年に製造が全廃されました。
 オゾンホールは年々増加し、ブラジルの南端からニュージーランド、オーストラリアの一部にまで拡大しています。紫外線照射の動物実験では発ガン率が急増しました。また、植物の生長を遅らせ、農作物の収穫量を減らします。短波長の紫外線は、無音の殺傷兵器あるいは殺人光線の可能性があります。

◆ 有害なオゾン
 オゾンには強力な酸化力があり、特有の生臭い匂いがする物質で、稲妻や蛍光灯・殺菌灯から発生します。発生したオゾンには活性酸素が混在します。最近の中国の近代化に伴い大陸から偏西風に乗って運ばれてくるオゾンによって、日本周辺のオゾン濃度は上昇しています。これが光化学スモッグの原因となっており、オゾンガスが人体に及ぼす影響が深刻になってきています。ヒトはオゾン濃度50ppmでは1時間で生命が危険な状態になります。現在、致死量のオゾンにさらされていることはありませんが安心はできません。オゾンの人体への影響から許容濃度は0.1ppmとされます。
 オゾンは空気と同じように体内に吸収されます。酸素とともに酸化力の強いオゾンが体内に吸収されると粘膜を酸化し、機能低下を起こすので、呼吸器の障害を起こす可能性があります。また、麻痺や肺浮腫の症状が出たり、眼粘膜の酸化による視力低下も起こります。

◆ 効果を知って上手に利用しよう
 オゾンには優れた殺菌効果があるため、コンビニやスーパーのおにぎり・サンドイッチ・サラダ・カット野菜などにはオゾンが使われています。オゾンは水を電気分解してできます。トイレを無臭にしたり、院内感染を防ぐのにも使われます。また、水の浄化処理にも使用され、プールの水なども再利用できるようにします。オゾンの処理水は養殖場でも使用され、水族館の水が汚れないのもオゾン処理によるものです。
 21世紀になり、人々のライフスタイルも急激に変化して、ますます便利な世の中となり、衛生環境も整備されました。ところが、オゾンの大量使用による環境汚染が進んでいます。オゾンは少量でも効果があるのにもかかわらず、知らず知らずのうちに過剰に使用してしまい、年々オゾン濃度は上昇しています。
 オゾンには活性酸素が含まれており、この活性酸素が人体に害を与えます。オゾンの効果を知るとともに悪影響も知りましょう。

v238.jpg

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。