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VOL.251『夏の疲れをのこさないために』 [生活]

◆体の疲れ、脳の疲れ
 今年の秋は、残暑が続いたかと思えば、初冬のように肌寒い日が続き、おまけに幾つもの台風が直撃するなど、気候変動が激しいので体調を崩しがちになっています。一般に疲れには肉体労働によって感じるものと、頭脳労働によって感じるものがありますが、これらをヒトは明確には区別できません。通常、ストレスは脳で感じ、疲労はストレスを増やします。ストレスを感じるとそれに対抗するため、脳から副腎を刺戟するコルチゾールというホルモンを分泌し、ストレスを緩和します。

◆疲れの原因物質
 脳には常にエネルギーとしてグリコーゲンが貯蔵されています。このグリコーゲンが疲労を伴う長時間のストレスを減らします。グリコーゲンの原料はブドウ糖で、血糖値を維持する役目を果たしています。肝臓内にグリコーゲンが蓄積していれば低血糖やめまいで立ちくらみすることはありません。しかし、長時間運動する際には肝臓や筋肉内のグリコーゲンが使われるため、脳に届く血液中の糖が減って低血糖になります。すると脳内のセロトニン濃度が増加し、必須アミノ酸の1つであるトリプトファンが脳内に取り込まれます。また、これを補うために別の必須アミノ酸である分岐鎖アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)がトリプトファンと同様に脳内に輸送されます。
 通常、アミノ酸が脳の関所(血液脳関門:BBB)を通過する際にはトランスポーターと呼ばれる運搬役が必要となります。分岐鎖アミノ酸はトリプトファンよりもアミノ酸トランスポーターに優先的に乗って血液脳関門のゲートを通過できます。ですから分岐鎖アミノ酸濃度が低下すると、血液中のトリプトファンよりも分岐鎖アミノ酸が脳内には優先的に取り込まれ、セロトニン濃度が上昇します。その結果、トリプトファンの運搬が促進され脳の疲労が進みます。運動時や運動後に分岐鎖アミノ酸を摂取すると、運動による疲労や脳疲労が
取れてくるのはこの作用によるものです。
 長時間の運動は脳の温度も上昇させるので、うまく機能しなくなります。通常、暑い日などに脱水することで体温や脳の温度は上昇し、それが脳の疲労となります。例えば、熱中症は水分不足とミネラル成分の不足が脳の疲労となって発症します。疲労の症状といえば、倦怠感・だるさ・体が重いなど、感覚的な症状や筋肉の病気を思い浮かべます。筋肉が疲れると乳酸が溜まります。乳酸がたまると筋肉痛になるので、疲労物質は乳酸ということになります。乳酸は運動時にグリコーゲンやブドウ糖が使われると同時に生成されます。
 乳酸が大量に発生するとビタミンB群が消費されます。疲労はストレスなので、ビタミンB群が不足すると疲労症状が増し、集中力が続かなくなり、イライラします。疲れの原因は体力の低下です。疲れを取るには食事によるビタミンやミネラルなどの栄養素の補給です。暑い日にはエネルギーが不足するので、肉類や脂肪分、乳製品を大量に摂取すると、逆に疲労を助長してしまいます。不足するのは水分やナトリウム・カルシウム・マグネシウム・カリウムなどのミネラル成分、加えて分岐鎖アミノ酸をはじめとするアミノ酸なので、適量のタンパク質摂取で十分なのです。

◆分岐鎖アミノ酸・ミネラル成分・十分な睡眠
 分岐鎖アミノ酸は運動時の筋肉の疲労を減少させる作用がありますが、脳の疲労はとれません。冷房が効いた室内でパソコンに向かって仕事をする人や会議をしている人でも脳の疲労は進みます。ストレスが過剰になると脳はさらに活発に活動します。疲れを解消しようと休憩時間に甘いものを食べると逆に脳の疲労が増します。また、仕事帰りにビールなどのアルコールを飲むと一時的にストレガ解消したように思えますが、むしろ疲労を増強しているのです。それよりも早く帰宅し、ゆっくり入浴する方が副交感神経が優位になり、リラックスできます。また、肉体と脳の疲れを取るのに不可欠なのは睡眠時間の確保です。無理にスタミナ食を食べるのではなく、適度に分岐鎖アミノ酸やミネラル成分を補給して、十分に睡眠をとることが疲労回復の秘訣です。

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