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VOL.256『腎臓と腸が若さの秘訣』 [体]

◆臓器の老化のスピード
 ヒトは生まれて成長し、成人となり、その後は加齢とともに老化します。しかし、体内の臓器は同じスピードで老化はしません。臓器ごとに老化するスピードは違うのです。俗に老化は血液とともに進むと言われます。酸素は血液によって各臓器に供給され、その血液は心臓がポンプの役割をして1分間に5リットルも送り出しています。それでも心臓自体は全体の5%ほどしか血液を使用していません。では血液を一番使用している臓器は何かと言いますとそれは脳です。ところが老化が最も早いのは脳ではありません。一番早いのは消化管で、次いで腎臓、骨格筋と続きます。

◆腎臓の老化と影響
 マウスの実験から老化の指標となるのは『p16』というタンパク質で、細胞分裂の周期が回るのを止める分子であることが分かりました。一方でp16はガンを抑制するタンパク質であることも分かっています。p16が強く発現すると細胞が増殖しなくなるので老化が進みます。細胞分裂が終了すると細胞は死に至り、これを閉フィリックの限界と呼びます。つまり、ガンと老化は表裏一体だということです。このガンと老化の中間地点にいつまでもいることが一番健康的であると言えます。
 老化のタンパク質p16が発現する臓器は腸と腎臓です。これは腸と腎臓が血液を最も使う臓器であることを示しています。ヒトは血液とともに老いると言われるように、豊富な血管で養われている臓器が老化しやすいのです。食べることと排泄することは死ぬまで毎日続き、それは生きることの基本です。この機能に関わる臓器が最も衰えやすいとも言えます。
 腎臓は慢性腎臓病になると、機能が60%以下となります。老廃物を含んだ血液をろ過する機能は加齢とともに低下します。そのため、70〜80歳になると約半数の人が慢性腎臓病になります。腎臓は血液が運んでくる酸素の不足に敏感で、その結果、老化が急に進みます。腎臓病が進行すると運動能力が急激に低下します。まず、腎臓の老化が始まり、それが脳や心臓など他の臓器を老化させます。

◆腸を健康に保って老化予防
 脳は安静時でも獲得したエネルギーの20%を消費することで進化し、その結果、ヒトは高等動物の頂点に立ちました。そして腸は人類の進化の基盤となりました。腸も大量の血液を消費します。食物の消化・吸収には多量のエネルギーが必要となります。私たちが毎日食べ物を食べる目的は生命を維持するためのエネルギーを獲得することです。ヒトは他の動物に比べて消化管のサイズが小さく、腸の大きさは50〜60%程度しかありません。食事を短時間で終えてしまう現代人は肥満になりました。事実、痩せている人の方が太っている人よりエネルギーを多く消費しています。食物は腸で消化・吸収されエネルギーに変わります。消化・吸収には腸内細菌が関与しており、エネルギー効率を調整しています。腸の疲れは肥満や糖尿病の発症や老化につながります。
 便秘や下痢は腸の老化を示しています。便秘が続くと腸内の悪玉菌が増殖します。ウェルシュ菌や大腸菌などの悪玉菌が食物を分解して肥満や糖尿病・動脈硬化・ガン・アレルギーなどの疾患を引き起こします。ヒトは加齢とともに腸の働きが悪くなり便秘がちになります。その時が若者型の食事から熟年型へと移行するタイミングなのです。具体的には食物繊維や発酵食品、海藻類などのネバネバ食品を多く取るようにすることです。水溶性の食物繊維はゲル状物質になって糖分や胆汁を吸着し、下痢や便秘などの腸の病気を減らします。
 また、過食状態が続くと腸は疲労します。特に脂肪分が多い食事では腸は活発に働き、腸内細菌の菌体内にも脂肪が増えてきます。その脂肪分が過剰になると、腸は外敵が侵入したと錯覚して内臓脂肪を蓄積したり、炎症を起こしてメタボになります。脂肪はリンパ菅から吸収されて内臓脂肪細胞に蓄積し、腸の病気や老化が急激に進行します。
 空腹こそが老化防止の活力の基本で、食べることは人生です。食事の内容があなたの若さを保ちます。腎臓や腸の老化を防ぐには規則正しく適正な食事と適度な運動習慣が大切です。

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