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VOL.268『水に含まれる成分について』 [水]

◆日本の水事情
 日本の水道法の水質基準では、水銀・有機リン・フッ素・カドミウムなどの有害物質は基準値以下であることが厳しく規定されており、殺菌には多くの浄水場で塩素が投入されています。浄水場では気温や水温の変化に合わせて塩素の注入量を調整しているため、夏と冬では塩素量が違います。また近年、鉛を使った水道管は減ってきていますが、塩素注入量が多いと鉛が水道水中に溶け出すことも分かっています。また、微量ではありますが種々の化学物質も飲料水としての許容範囲内でカラダに影響を与えています。
 他にも味や匂い、色など、飲料水としての良し悪しを決める物質も含まれています。例えば、水道管のサビのせいで鉄やマンガンなどの量が増加すると、塩素消毒で酸化された鉄の場合は赤く、マンガンは黒く変色し、銅の場合は青く変色します。腐敗したものが混入すれば、当然水も臭くなります。
 また、タンパク質などが入っていると硫化水素に変わり、タマゴが腐ったような匂いを発生する場合があり、フェノール類は塩素殺菌によってクロールフェノールを生成し、臭気を発生するので、水道法では許容量が厳しく規定されています。
 飲用や料理には水が必須です。洗濯やシャワー、掃除をするにも水は必要です。多くの人々は飲み水には化学物質など含まれていないと思っています。それでも多くの人がミネラルウォーターを購入して飲んでいます。日本ではミネラルウォーターは、自然水や天然水として売られていますが、微生物の混入を防ぐためには消毒・殺菌しないと基準はクリアできません。当然、消毒や殺菌をすれば水中の酸素濃度は低下し、水分子の形態も大きくなるため水の味が落ちます。

◆水に含まれるもの
 飲料水中の硝酸塩(硝酸性窒素)の濃度が高いと、2型糖尿病を発症するリスクが高まるといわれています。アメリカ・コロラド保健科学センターで飲料水中の硝酸塩濃度が高い地域の18歳以下の小児1290人を対象に飲料水と糖尿病の相関関係を調べた結果、糖尿病との関連性が確認されました。スウェーデンの調査では、糖尿病の小児は健康な小児に比べて硝酸塩や亜硝酸塩、ニトロソアミンを含む食べ物を多く摂取していることが明らかとなりました。硝酸塩が体内に入る経路は、硝酸塩を過剰に吸収した野菜や貯蔵肉、魚、飲料水からです。中でも飲料水からの比率が最も高く70%以上でした。硝酸塩がなぜ膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンを減少させ、糖尿病になるのかといいますと、胃の中に入った硝酸塩は消化管内のpHの影響を受けて亜硝酸塩に還元され、その後、肉類などのタンパク質である2級アミンと結合してニトロソアミンを生成します。ニトロソアミン量が中毒値に達すると遊離基を放出し、これがβ細胞を障害しインスリン生成やインスリン分泌を阻害・抑制し、その結果、インスリン依存型糖尿病になるのです。
 ドイツ環境庁、水質・土壌・大気汚染研究所によれば、pH6.5以下の水道水、井戸水を銅製容器に長時間溜めておき、それを乳児や小児に与えると肝硬変を発症すると報告しました。最近の10年間では小児の肝硬変が24例報告され、14の死亡例があります。銅による肝硬変はインドからも報告されています。
 飲料水中に微量元素が欠乏している地域ではさまざまな病気が発症します。アンデスやアルプス、ヒマラヤなどの山岳地帯では水中にヨードが不足しているため甲状腺ガンが多く発症します。石灰岩の地層の水にはカルシウムやマグネシウムが含まれており、硬水といいます。硬水は南西アジアや中近東・アフリカ・南米に多く、味が悪く、皮膚の病気を発症し、腎結石、胆石の原因になるともいわれ、下痢する人が多くいます。しかし、硬水を飲む地域では心臓病や脳卒中の発症率が低く、長寿であることが知られています。

◆美味しくて健康に良い水
 美味しくて健康に良い水の条件は、カルシウムやマグネシウム・鉄・マンガンなどのミネラル成分のバランスが良く、弱アルカリ性の水です。また、良好な環境での湧き水や地下水にはミネラル成分や酸素が豊富に含まれています。毎日飲む水が良い水なら健康が維持されます。

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