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VOL .59 『体内時計と睡眠』 [眠り]

◆社会環境と睡眠
 脳研究の進歩によって、睡眠や体内時計の役割が明らかになってきました。特に、睡眠は健康維持や脳にとって極めて重要な役割を果たしています。
 私たちはかつて、硬度経済成長期には睡眠時間を惜しんで働き、生産性の向上に努めてきました。その結果、休息にハイテク化し、生活様式が激変した現代では、昼も夜も活動するという社会が出現してしまいました。また、あまりカラダを動かさずに、1日中大脳ばかり酷使する人々も増えています。
 このような社会は、人々にストレスを与えており、ストレスは『睡眠障害』という難病の温床になっています。長年睡眠を軽視してきたツケが、噴き出しているのです。現在、日本人の成人の約20%が不眠に悩んでいます。また、社会が高齢化した現代では、加齢に伴う睡眠障害が増加していますし、一方で、若者の睡眠障害も深刻です。夜型社会のあおりで生活リズムが乱れ、社会的時間割になじめない人も増えています。このような人々は、睡眠不足のため大脳が十分に休息できず、イライラする・興奮する・キレるなどという状態になりやすいようです。また、健康生活の観点から見ても著しく不健康で、夜間の不眠に加えて、昼間の眠気に悩まされています。

◆眠りの基本法則
 睡眠には、1日を周期とするリズムで、脳内の体内時計が関与しています。脳内の体内時計が刻む周期を概日リズム(サーカディアンリズム・生体リズム・生物リズム)と呼びます。地球上の生物の多くは、昼夜が規則的に交代する限られた範囲内に存在するので、昼夜の日周変化に同調し、それに合わせて活動と休息のリズムを繰り返しています。ヒトの体内時計は、自律神経の中枢である間脳の視床下部にある松果体で、メラトニンが関与し、眠りの質と量が脳内で自動的に決められています。
 また、脳には『眠る脳』(大脳)と大脳を『眠らせる脳』(脳幹)があり、無意識のうちに睡眠・覚醒をコントロールしています。昼間ぼんやりしたり、居眠りをすると、夜になっても眠くならずに寝つきにくくなります。逆に、昼間活動的にしていれば、夜間の眠りは深く連続します。脳内の体内時計のリズムに従うことと、眠らせる脳が自動的に眠りの質や量を決めることが眠りの基本法則です。この2つがうまく作動すれば、快適な睡眠を得ることができます。生活にメリハリをつけ、規則正しい生活を心がけることで、体内時計の正しいリズムをカラダに記憶させることが大切なのです。

◆健康維持のために
 体内時計のリズムが乱れ、睡眠障害となってしまうと、医師や薬に頼らざるを得ない場合も生じてきます。
 快適な睡眠をとり、健康を維持するためには、昼間は活動的に過ごし、夜はゆっくり休むことが基本です。それには夜に眠るきっかけを作ることも必要となります。カラダを温めたり、水分を摂取したり、天然由来のサプリメントを活用するなど、眠るための環境作りも大切です。
 『眠る脳』『眠らせる脳』については、また次の機会に詳しくお話しします。

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