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VOL.118『カルシウムとフィトケミカル』 [野菜]

◆大腸ガンが増えている
 日本人は伝統的に、発酵食品や繊維質を多く含む食物(野菜・豆類・海藻・キノコ類)や魚介類を中心とした食生活を送ってきました。ところが生活環境の欧米化とともに、肉類や乳製品などを多く摂取する食生活へと大きく変化してしまいました。特に子どもや若者にその傾向が顕著となっています。それに伴い1998年頃からは男女ともに大腸ガンの死亡率が急速に上昇し、女性ではガンによる死亡の1位となっています。食生活の欧米化に伴う腸内環境の悪化がその原因と考えられています。

◆フィトケミカル
 そこで、老化予防を目的に腸のストレスを除去し、免疫機能を亢進する食品として、フィトケミカル(ファイトケミカルともいう)という栄養素が注目されています。これはビタミン・ミネラル・食物繊維などとは異なる栄養素で、主に植物の色素や香りの成分に多く含まれ、植物が紫外線や害虫から身を守るために作られた成分です。トマトに含まれるリコピンや、ほうれん草のルテイン、唐辛子のカプサイシン、ブロッコリーのスルフォラファンなど1000種類以上が存在しています。フィトケミカルは体内に入ると、抗酸化作用や免疫機能を向上させる働きをして、活性酸素によるダメージからカラダを守る働きから、生活習慣病やガンを予防すると言われています。特に、トマト・ブロッコリー・小松菜・キャベツにはフィトケミカルが豊富に含まれています。
 トマトの赤い色素はリコピンで、強力な抗酸化作用があり、活性酸素を除去する力はβカロテンの2倍、ビタミンEの100倍とされ、紫外線による活性酸素の活性も抑制します。また、トマトにはポリフェノールの一種であるケルセチンや、香り成分であるピラジンなどが含まれ、血液の粘度を低下させ動脈硬化を予防する働きがあります。赤色の濃いトマトにはリコピンが多く、熱に強く油にも溶けやすいので、料理には最適です。
 一般に、種が発芽した後の野菜はスプラウトと呼ばれ、ビタミンやミネラルを多く含むフィトケミカルです。発芽したばかりのブロッコリーにはスルフォラファンが通常の10~100倍含まれます。実験的にガンを作成したラットにスルフォラファンを投与したところ、ガンの発症率は低下しました。

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◆カルシウム
 カルシウムは、骨細胞の増殖や修復に関与するとされてきましたが、1990年以降の大規模研究では、大腸ガンの発症を22%低下させることが報告されています。通常大腸ガンは、脂肪や肉類・乳製品の摂り過ぎによって発症します。脂肪を過剰に摂取すると、腸内に悪玉菌が増えて腸内細菌叢のバランスが崩れます。また胆嚢からの胆汁酸が増え、胆汁酸が酸化されることが大腸ガン発生の引き金となります。カルシウムは腸からの吸収性が悪いので、吸収されないカルシウムがこの胆汁酸に吸着し、糞便とともに排出するので大腸の上皮細胞を正常に保つことができます。
 近年、日本人の大腸ガン発生数が増加したのは、食生活の欧米化による腸内細菌叢の悪化のためです。カルシウムとともに、食物繊維を多く含むフィトケミカルを摂取し、生活習慣病やガンを予防しましょう。

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