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VOL.158『IQが高いとは?』 [脳]

◆IQテスト
 今日のストレス社会では、人間関係がうまくいく人・うまくいかない人、頭の良い人・悪い人などと区別されたりしますが、本当に頭が良いとはどういうことでしょうか。目安のひとつにIQがあります。IQテスト(成人知能検査)は1933年に開発され、医療・教育・福祉など幅広い分野で活用されています。IQテストは言語能力と数学能力に加えて、空間図形能力を測る知能検査で、これらをいかに速く理解し、把握できるかという処理速度で判断します。これらの能力には相関性があるからで、言語能力が低ければ計算能力も低く、空間図形の能力も低いということになります。
 IQテストは、同じ人が受けると10歳でも20歳でも同じような結果になるように作られています。IQが家族に遺伝するかどうかを調べると、親子では共有率が50%、兄弟姉妹では50%、祖父母や孫は25%、叔父・叔母・甥・姪で25%、一卵性双生児では100%、二卵性双生児では50%となりました。但し、これに環境因子が加わるので実際の数値は変わってきます。また、いくらIQが高くても勉強しなければ良い成績は得られず、逆に一生懸命勉強すればIQが高い人よりも良い成績が得られることもあり、IQと学力との相関関係については分かっていません。学力においては環境要因の占める割合が大きいといえるでしょう。社会に出てからは、人間関係能力やコミュニケーション力にさまざまな因子が絡んでくるので、社会性とIQの高さに関係性があるかどうかには疑問が生じます。

◆記憶力と睡眠
 IQを高める項目のひとつに記憶力があります。記憶力の良さは頭の良さを決定する要素となります。記憶力は生まれつきや遺伝で決まるのでしょうか。記憶には脳の海馬が関係しています。海馬は貧血に対して非常に弱く、海馬に血液が行き渡らないと短期記憶が悪くなります。この現象は認知症の初期段階にも見られます。認知症の初期にはついさっきの行為である短期記憶が失われますが、昔のことはよく覚えています。短期記憶は海馬や側頭葉で蓄積されますが、長期記憶の方は大脳全体のさまざまな部分に断片的に蓄積され、それが神経細胞の情報ネットワークによって呼び起こされます。
 短期記憶から長期記憶への移行は睡眠中に行われます。睡眠は昼間の不必要な記憶を消去して、大事な記憶だけを残す働きがあります。記憶力を高めるには睡眠が不可欠なのです。脳神経の情報ネットワークにはシナプスが関与しており、神経線維内を流れた電位信号は、シナプス内の神経伝達物質が情報を伝達します。精神遅滞(IQは極めて低い)の人は神経伝達物質の分泌が少なく、不規則です。精神遅滞の人が物覚えが悪いのは、脳の神経細胞の回路がつながりにくくなっているからです。

◆脳を活性化しよう 情報回路を活性化し、記憶力を高めるには単純な練習の繰り返しが最も効果的です。反復練習を3回以上することで、脳の神経細胞が刺激され、長期記憶となります。暗記力は生まれつきの遺伝で決まるようですが、いくらIQが高くて頭が良い素質を持っていても、集中力がなければ能率は上がりません。集中力は遺伝よりも環境要因に左右されます。好奇心の強い人は脳内の神経伝達物質が活性化されるので、集中力が高まります。日常生活の中で、いろいろなことに興味を持ち、初めてのことにも挑戦し体験する機会を増やすことで、いつまでも脳を活性化させておくことが認知症の予防につながります。


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