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VOL.185『ケトジェニック体質で肥満予防』 [体]

◆飢餓から肥満へ
 人類の歴史は、ほとんどが飢餓との闘いの日々でした。それゆえ、子孫を残し繁栄するために食物を豊富に摂取し、肉体的に豊満な女性、美と愛の女神ヴィーナスが人々の理想の女性像だったのです。
 今日、日本では唐揚げや焼き鳥・焼肉・ラーメン・乳製品・ケーキ・アイスクリームなどの高脂肪・高糖質の食品が食卓にのぼり、間食や夜食ではファーストフードやスナック菓子、アルコール飲料を毎日のように摂っています。しかも、早食いでほとんど運動をしない生活を続けていれば、肥満体質を受け継いでいなくても高い確率で肥満になります。特に日本人は、欧米人より飢餓の時代が長かったため30%の人が肥満遺伝子を持っていて太りやすいのだそうです。

◆ケトン体が脂肪をエネルギーに
 2008年、厚生労働省はBMI(体格指数)で25以上を肥満とし、日本人の28.6%が太っていると診断しました。しかし、WHO(世界保健機関)の基準はBMIが30以上を肥満としており、世界基準での肥満は3.4%とむしろ痩せているといえます。ところが日本人は糖尿病になりやすいのです。つまり、日本人は欧米人に比べて肥満を原因とする生活習慣病になりやすいため、このような基準となったのです。
 日本人の血液中に存在するブドウ糖(血糖)のほとんどが米・パン・うどん・そばなどの炭水化物からできています。食物は消化吸収され血糖となって細胞に運ばれ、細胞内のミトコンドリアでエネルギー源として産生されて脳や筋肉そして各臓器に供給されます。余った血糖のブドウ糖は、肝臓や筋肉内にグリコーゲンとして貯蔵され、いざという時に分解されてエネルギーとして供給されます。この仕組みを解糖系エネルギー回路といいます。
 食事で摂取したブドウ糖のエネルギーは3〜4時間で消費されます。肝臓に蓄えられたグリコーゲンも12〜13時間で消費されます。すると肝臓では筋肉内のアミノ酸(タンパク質)や中性脂肪を分解してブドウ糖を合成します。これがエネルギー回路の糖新生で、極端な絶食時に限り生命維持のために使用されます。そのような状況になる前に動き出す糖新生があり、これが中性脂肪から分解された遊離脂肪酸で、血液中から肝臓に運ばれケトン体と呼ばれる物質に合成され、エネルギー源として体内に供給されます。これが『ケトン体回路』と呼ばれるエネルギー生産回路であり、ヒトは飢餓時代にこのケトン体回路で生命を維持しました。

◆ケトジェニック体質になろう
 肥満を予防するには糖質を制限することです。糖質を制限すると、ケトン体がブドウ糖の代わりに脂肪を体のエネルギー源に変えてくれるからです。ケトン体が増えれば脂肪が燃焼し、血糖値が下がります。ケトン体研究は近年急速に進み、ケトン体食が肥満はもちろん、糖尿病やメタボの予防、認知機能の維持、老化予防に役立つという論文が増えています。
 ブドウ糖になる糖質を極端に制限すると、中性脂肪が分解されてケトン体が合成され、このケトン体がミトコンドリアで代謝されてエネルギーとして利用されます。脳はエネルギーが5分間遮断されると死に至りますが、ケトン体があればエネルギーにできるのです。ケトン体で脂肪からの脂肪酸を分解すればダイエット効果も現れます。これが糖質制限によるダイエット効果で『ケトジェニック体質』と呼ばれます。
 ケトン体を増やす食品には、肉類・魚介類・海藻類・大豆食品・食物繊維(野菜)がありますが、加えてビタミン類やミネラル成分を十分に補給すればさらに効果が上がります。ケトン体食で肥満や生活習慣病を予防しましょう。

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