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VOL.187『ロコモ時代の分岐鎖アミノ酸の働き』 [体]

◆タンパク質の働き
 高齢化が進む今日、筋肉の減少によるロコモティブシンドロームによって、骨が脆くなり骨折するという老化現象が問題になっています。その筋肉を作る栄養素がタンパク質です。
 DNA(デオキシリボ核酸)は遺伝子の本体であり、そこにはタンパク質を作るための設計図が書き込まれています。タンパク質は3〜4万個程度のアミノ酸からなり、20種類ほどのアミノ酸が鎖のように連結した構造になっています。タンパク質の働きの主要なものに酵素があり、体内の基礎代謝の反応を進めます。酵素は生命の維持を基本とし、食物の消化・エネルギーの供給・情報の伝達などの働きがあります。

◆分岐鎖アミノ酸とは
 人間のカラダの20%はタンパク質でできています。カラダを構成する筋肉・皮膚・毛髪・爪・骨・内臓・血管、さらに血液や酵素、ホルモンなどもタンパク質からできているのです。また、免疫と呼ばれる防御機構にもタンパク質が関与しています。外界から病原体が侵入した際、例えば、ウイルスの場合、ウイルスが持つタンパク質(抗原)に対して特異的に結合する抗体(免疫グロブリン)ができます。これもタンパク質です。
 タンパク質は20種類のアミノ酸が数百から数万個連結してできており、命の素とも呼ばれます。アミノ酸は必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分けられ、体内で作ることのできない必須アミノ酸は9種類で、そのうちの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれるバリン・ロイシン・イソロイシンは生命維持に最も重要で、スポーツには欠かせない栄養素です。
 この必須アミノ酸は食事やサプリメントから摂取することが必要であり、特にスポーツに取り組む人には欠かせない常識となっています。近年、栄養化学の分野では筋肉増強や体力増進には体内で筋肉を作る材料となるBCAAが注目されています。
 筋肉は一時的に激しい運動などで破壊されると、筋繊維の修復・回復回路にアミノ酸、特にBCAAが使われます。筋肉回復のピークは運動後30分〜2時間まででその際にBCAAが吸収され使われます。アミノ酸が吸収されるまでにかかる時間を考慮すると、なるべく早い時間の摂取が有効です。同時にアミノ酸は体内で必要に応じて糖を作る役割があり、その糖が脳の働きを活性化し、維持します。運動を持続できれば筋力がアップし、その結果、基礎代謝が上がるのでダイエット(肥満防止)にも効果的です。加えて、筋肉の疲労軽減や
回復にも役立ちます。

◆さまざまな可能性
 運動時以外にも、常時BCAAを摂取しておくことで、筋肉や体内に十分量のアミノ酸をプールすることができ、分解を抑制できます。BCAAを持続的に摂取すると体内でのタンパク質合成が促進します。これは運動後の筋肉痛を軽減するばかりでなく、睡眠中のこむら返り(足がつる)にも有効です。
 運動量と筋肉痛との関係とBCAA投与の有効性の研究では、運動習慣のない人に運動15分前にBCAAを摂取させ、20回のスクワットを7セット繰り返してもらって翌日以降の筋肉痛を調べた結果、筋肉痛が軽減する結果が出ました。BCAAは運動前に摂取することで筋肉の回復を助け、疲労回復を早めることが分かりました。
 アミノ酸はカラダを作る材料であり、病気を回復させる栄養素です。アミノ酸は免疫力の向上、集中力の向上、消化器系の機能向上、美肌効果、睡眠・アルコール代謝の向上を助けます。夏バテ防止や健康増進、老化防止にも効果があるといいます。最近の研究によってBCAAの作用が種々に渡って明らかにされており、今後の研究に期待が持たれます。

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