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VOL.188『リンゴ病が増加しています』 [健康]

◆リンゴ病とは
 近年、子供の両頬が発疹で赤くなる通称『リンゴ病』(伝染性紅斑)が増えています。この感染症は5〜9歳の子供に最も多く発症しますが、大人もかかる病気です。原因はパルポウイルス科エリスロウイルス属のB19ウイルス(ヒトパルポウイルス)で赤血球の膜表面の受容体(レセプター)に感染し、増殖します。10〜20日の潜伏期間を経て、リンゴのように頬が赤くなります。発疹はいったん消えた後再び発現します。成人では紅斑を認めないことが多く、手足の発疹や全身の倦怠感、関節炎の症状がでます。妊婦が感染すると胎児にも感染し、重度の貧血、胎児死亡、流産、早産、体内水腫などを起こします。このウイルスは春から夏にかけて増殖する傾向にあるので今の時期は注意が必要です。

◆今年は大流行の恐れ
 リンゴ病は、感染した人の咳やくしゃみのしぶきに含まれるウイルスを吸い込んだり、ウイルスが付着した手で口や鼻を触ったりして、ウイルスが体内に侵入すると、発熱やだるさなど、インフルエンザに似た症状がでます。続いて特徴的な赤い発疹が出ますがその頃には感染する恐れはなくなります。国立感染症研究所では4〜6年周期で流行があり、2015年は10万人の報告があり、1999年以降で最多となりました。今年は3月上旬の時点で
すでに高い水準にあり、さらなる流行が懸念されています。例年の流行は6〜7月で、気温の上昇に伴って増えることが予測されます。
 9歳以下の子供に多く見られる感染症ですが、大人での実態はよく分かっていません。大人の場合、症状が出ないこともある一方、激しい関節痛(疼痛)が数週間以上持続する場合があり、重症化する恐れもあります。2015年に大流行した京都では、大人の感染者が多く、その症状は、朝の起床時に手指が曲がらないほどむくみを感じ、その数時間後には手首や足首に痛みが走り、立って歩けないほどとなり、ハサミや包丁も握れず、家事ができなくなる。車の運転も無理になり、室内で寝ているしかなくなる。加えて、関節の痛みから関節リウマチかと思い、心配になってインターネットで調べても分からず、専門病院に入院し、数日後に抗体検査からリンゴ病だと分かるなどという例が多数ありました。リンゴ病は大人がかかる病気と思っていない人が多く、頬に発疹も出ないことから、そのうち治ると思っているうちに家族に感染させてしまうこともあるようです。
 リンゴ病には特別な治療法がないため、厚生労働省では妊婦向けにパンフレットを作成して注意を呼びかけています。医療関係者の間でも大人のリンゴ病への認知度は低いので、リンゴ病と診断確認されるまで数週間かかることもあります。原因ウイルスは20nm(1nmは10億分の1m)と極めて小さく、ヒトのみに感染するウイルスです。リンゴ病に感染すると、赤血球の寿命が急激に短くなり、溶血性貧血など悪性の血液疾患を起こしたり、急性の重症の貧血症状を起こすこともあります。また、リンゴ病だけでなく、他の疾患にかかることもあります。しかし、ウイルス検査に健康保険が適用されるのは妊婦のみとなります。

◆大人は要注意
 夏に向かって暑くなる時期に、インフルエンザや風疹に似た症状が出た場合には、早めに病院を受診しましょう。子供はリンゴのように赤い頬になるので直ちに小児科で治療すれば重症化しません。重症化が心配されるのは大人で、激しい関節痛を伴う恐ろしい感染症です。また、妊婦や妊娠が確認できない初期は流産や早産の恐れがあるので十分な注意が必要です。
 最近は海外からの渡航者が多く、未知のウイルスが持ち込まれるケースが増えています。帰宅後には必ず手洗い・うがいを励行し、マスクの使用などの習慣を身につけましょう。

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