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VOL.227『美味しい水・健康に良い水』 [水]

◆日本の水
 日本は自然が豊かで水量も豊富です。欧米では水道水を安易に飲むのは危険とされていますが、日本の水道水は安全で美味しいというのが常識でした。ですから蛇口をひねれば出てくる水を当然のように飲んでいました。
 しかし、最近ではグルメ志向や健康志向の高まりから、水道水をそのまま飲む人は減っているように思われます。実際、水道水は安全性を高めるため塩素消毒されており、そのため多少匂いもします。食器洗いや洗濯、風呂の水などに水道水を使っても、飲料水として使うことは減っています。

◆水道水の消毒
 アメリカでは1992年以降、水道水に汚染物質がl混入していることが問題となり、その後はミネラルウォーターが飲まれています。日本でも工業廃水や家庭排水などが河川に流れ込むことによる水質汚染が進み、それを浄化するための消毒剤の量も増えています。通常、日本で消毒剤として使われるのは塩素で、細菌などの病原微生物を殺すのに非常に強い効力を発揮します。しかし、同時に別の有害物質も作り出します。例えば、塩素と水中のアンモニアが結合するとクロラミンという物質ができてカルキ臭を放ちます。これが水道水をまずいと感じさせる理由の一つです。また、水道管の末端まで安全を保持し、赤サビの発生を防ぐためにメタリン酸ソーダが入れられます。
 1957年の水道法により、塩素消毒は義務化されました。現在、水道水に投入されている塩素の量は他の国と比べても多い方です。WHOが定めたEU各国の水道水の大腸菌基準は100ml中100個の検出が5回以内であれば合格とされています。日本では1回でも検出されれば即アウトで、多くの塩素が投入されます。高濃度の塩素は皮膚や粘膜に障害を与えます。塩素は有機物と反応し、発ガン性物質トリハロメタンが発生します。トリハロメタンは流産や死産との因果関係も指摘されています。
 1945年アメリカで、水に含まれる硝酸性窒素がヘモグロビンをメトヘモグロビンに変化させ、酸素が運搬できず呼吸困難を起こすブルーベビー症候群が問題となりました。日本でも1950年代以降、硝酸性窒素が原因で酸素欠乏状態になる症例の報告があります。
 EU諸国では塩素を消毒剤として使用する代わりにオゾン処理した浄水が使われています。オゾン処理とは、強い酸化力や殺菌力を持つオゾンを用いてカビ臭の除去や消毒をすることです。近年、東京全域でもこのオゾンを使用した高度浄水処理が導入され、水道局は水道水をペットボトルに入れ、東京水として販売し安全性をアピールしています。

◆飲料水は、選び作る時代へ
 しかし現代は、安全性に加えて健康や美容・味の良さといった質の向上を人々は求めています。2001年の調査でも水道水を飲むという人は50%以下で、多くの人がミネラルウォーターや浄水器を使用しています。1960年代から登場した浄水器は簡易なものから、機能水を作るものまで多種多様です。2002年からは家庭用品質表示法が適用され、品質や性能を正しく表示することが義務づけられました。
 その中で、塩素やトリハロメタン、硝酸性窒素などの有害物質を取り除く機能を持ち、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分を放出して弱アルカリ性水にしているものがあります。カルシウムやマグネシウムは緑茶の成分であるカテキンと結合すると味わいが深まります。日本の自然水のほとんどはカルシウムやマグネシウムの量が少ない軟水で、日本人は長くこの水に接しているので軟水を美味しく感じます。ですが、カラダの健康維持に効果があって美味しい水は、ミネラル成分を豊富に含んだ弱アルカリ性水です。世界的にも有名な大阪大学名誉教授・橋本奨氏(故人)は健康に良い水と美味しい水の条件としてカルシウム・マグネシウム・ケイ素などのミネラル成分を多く含む水を挙げています。
 日本の自然水も汚染が進んでいます。安全性に優れ、美味しい水は、選ばれ作られる時代が来たようです。

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