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VOL.267『何を食べるかで脳の働きが変わる』 [脳]

◆脳に与える栄養素
 6月になり、新入学を果たした学生も環境にだいぶ慣れてきたことでしょう。どこの親も我が子が立派な大人に成長して社会で活躍することを望んでいます。幼児の頃から食べ方や歩き方、話し方、文字の書き方などの生きる術を教え、学ぶ環境を整え、感性を磨き、運動能力を高めるために種々の塾にも通わせます。
 今日、少子化のせいもあり、子供を成功させようと早期からの教育に余念のない親も増えています。そしてどの親も子供の頃には学び、考え、判断し、想像し、人間関係の構築を経験しました。その全ての活動は脳の働きによって生じます。この脳の働きを活性化させるのは栄養素で、幼い頃から毎日、口にする食べ物に脳の働きは大きく左右されるということです。つまり、子供に食べ物を提供する親の責任は重大であると言えるのです。子供の人生を決める大きな要因は脳に与える栄養素なのです。

◆栄養素でIQも変わる
 持って生まれた頭の良さや、遺伝的性質は決して変わるものではないと主張する人がいますが、それには疑問があり、誤りであることが最近の脳科学研究で分かりました。脳の性能は脳内の神経細胞を結びつけるシナプスで決まります。つまり、記憶や思考力、感情、判断力はシナプスを介した情報ネットワークの多さが重要なのです。神経細胞の総数は1000億個、シナプスの総数は3京個とも言われます。ヒトの遺伝子は2000年に解析され、総数は2万3000個ほどであると分かりました。この遺伝子は両親から受け継がれたもので、全ての遺伝子が脳の成長に関与したとしてもシナプスの数には遠く及びません。子供は出生時には脳が未完成のまま生まれ、その後の成長過程において摂取する栄養素や環境、学習からの刺激を受けて大人に向かって成長していきます。
 アメリカのスウォンジー大学は2003年に、ビタミン類とミネラル成分を摂取することによって子供のIQが10以上も上昇し、逆にジャンクフード漬けは子供の脳に悪影響を及ぼすという研究報告を行いました。
 最近キレる子供が増えています。小・中・高校における暴力行為も年々増加する傾向にあります。暴力の特徴にも変化が生じており、今から20〜30年前、暴力を振るうのは特定のグループでしたが、現在は普段温厚な子供が何らかのきっかけで突然キレて暴力に走るケースが増えています。キレる子供に共通する特徴は、感情をコントロールできない・自分の気持ちを言葉で表現できない・他人とコミュニケーションが取れないなどです。
 語学・芸術・スポーツなどの分野において、それらの技術を身につけるには練習しかなく、しかも継続的に行わなければなりません。そして、集中力がなければ学習や練習を繰り返しても効果は出ません。最近の子供は一定時間(20〜30分)椅子に座って教師の言葉を聞くことができないそうです。落ち着きがなく、集中力が持続しない子供が増えているのだそうです。これらの原因が脳の栄養素バランスの欠如なのです。キレる子供は過剰なほど糖分を摂取し、DHAやEPAなどの必須脂肪酸の摂取が不足しています。

◆親の責任は重大
 ヒトは毎日、巨大な脳を動かしています。脳が働くことで心が生まれます。心を具体化したものが言葉であり、言葉を実践したものが行動となります。DHAやEPAの脂肪酸量は脳内の20%を占めています。
 親の最大の任務は子供の学習や運動能力を高めるのに必要な栄養素を提供することです。糖質は脳にとってのエネルギー源です。エネルギー不足になると落ち着きがなくなり、過剰になるとイライラしたり、攻撃的になったり、不安や集中力の欠如につながります。子供を落ち着かせるのに有効なのはカルシウムやマグネシウムで、神経をリラックスさせる効果があります。ミネラル成分が不足しても不安やイライラが起こり攻撃的になります。子供にとってカルシウムやマグネシウムは必須な栄養素なのです。

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