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VOL.269『便秘に自己流の対策をしていませんか?』 [生活]

◆便秘は実は高齢者に多い
 日本人の食生活は欧米化が進み、肉類の摂取が増えた結果、便秘になる人が増えました。何日に1度しか出ない、思い切り力んでみても出るのは少しで残便感が残る、硬くて黒い便しか出ないなどの悩みを持つ人は多いことでしょう。また、なんとか便を出そうと強く力むのは心臓発作や脳梗塞・くも膜下出血などを起こしかねないので危険です。
 便秘はダイエットする若い女性に多いとされますが、実は最も多いのは70歳以上の高齢者なのです。高齢者は便秘を防ぐために下剤を飲みがちで、下剤のせいでトイレの不安から引きこもりがちになります。外出しないで自宅にいる生活を続けていると、筋力が衰えてしまい転倒して寝たきりになる危険性が増します。つまり、便秘は寝たきりになる可能性のある病気なのです。薬局やコンビニで下剤を買って自己流の間違った治療を続けていると、大腸の蠕動運動の低下につながり、むしろ便秘は重症化してしまいます。一方、病院で処方される便秘薬は通常、酸化マグネシウムやセンナ系薬です。酸化マグネシウムには血中のマグネシウムが増える高マグネシウム血症という副作用があります。センナ系薬は習慣性や依存性・薬剤耐性のある一種の麻薬です。

◆江戸時代に便秘がなかった訳
 江戸時代には便秘の人がいませんでした。その理由は民衆の食事といえば一汁三菜で、味噌汁と野菜・豆類・海藻類・魚類などのおかずにご飯は玄米を1日に5合ほど食べていたそうです。そして玄米が足りない時にはアワやヒエなどの雑穀に大根やサツマイモなどの野菜を入れて混ぜ合わせて食べていました。玄米100gに含まれる食物繊維を3gとすると、5合(780g)の玄米には23gの食物繊維が含まれます。現在、厚生労働省が定める食物繊維の所要量は1日20gですから江戸時代の人は玄米だけで所要量を満たしていたことになります。それにアワやヒエ、大根やサツマイモなどを含めるとかなりの量の食物繊維を摂取していたことになります。だからこそ、江戸時代には便秘になる人がいなかったのでしょう。現代人の食物繊維摂取量は1日平均15gほどで、1日に1〜2gしか摂らないような人は便秘になって当たり前なのです。
 アメリカの調査によると戦前の日本人は1日平均400gほどの排便量があり、食物繊維摂取量は現在の3倍ほどでした。食生活の変化に伴い食物繊維摂取量が減少し、便秘が急増しました。便秘増加の原因は食事だけに限りません。江戸時代の人々はどこに行くにも歩いていたのですから運動量も激減しています。江戸時代後期の浮世絵師である葛飾北斎は88歳まで生きました。当時としては大変な長寿です。その葛飾北斎が83歳以降に江戸と信州の小布施を4度も往復しているのです。その距離240kmを5泊6日で歩いたそうです。80歳を超えた老人が1日平均40km歩いた計算になります。今日、240kmを5泊6日で歩ける高齢者がいるでしょうか?江戸時代の人々は食事から食物繊維を摂り、体を動かしていたおかげで便秘とは無縁だったのです。

◆健康的な便秘対策
 現代人は医療の進歩により長生きになりました。それでも健康的に過ごすための便秘対策には食物繊維を多く摂って、体を動かすことです。そうすれば軽度の便秘なら改善され、便秘薬が必要なくなります。すると次第に排便量も増えます。排便量が増えることは大腸の蠕動運動が活発になったことを意味します。便の中には栄養素が消化吸収された後に残った食物繊維や小腸や大腸の粘膜が剥がれ落ちた上皮細胞の残骸、水分が含まれます。消化に使われる胆汁の分泌量も減少するので大腸ガンの発症も抑制されます。
 食物繊維を多くすると腸内フローラのバランスも変化し、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の割合が善玉菌中心になります。食物繊維が腸内細菌の栄養素となるからです。無理なダイエットや極端なカロリー制限をしなくても体重は徐々に減少し、一定の体重で安定し、持続するようになります。そして知らぬ間に便秘も治ります。食物繊維と運動で腸と腸内細菌を元気にしましょう。


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