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VOL.273『限界寿命まで生きるために』 [長寿]

◆虚弱(フレイル)とは
 近年、肥満やメタボが健康維持に障害となると問題視されていますが、後期高齢者が増加している日本では、むしろ痩せている状態の方が問題なのです。通常、高齢になると体重は減少してきます。75歳以上の高齢者でBMI(ボディマス指数)20以下の痩せ気味の人は女性が20%、男性が10%と女性の痩せ方が深刻です。
 痩せは虚弱(フレイル)という病気を引き起こします。虚弱と診断されるのは次の5項目のうち3項目が当てはまる場合です。1)体重が年間4.5kgあるいは5%以上減少する。2)歩行速度が0.3m/秒以下に低下する。3)握力が男性で26kg以下、女性で18kg未満に低下する。4)疲れやすい。5)身体の活動レベルが低下する。
 歩行速度が0.3m/秒以下のスピードとは、信号が青に変わって横断歩道を渡り始め、赤に変わる頃にようやく渡りきれる速度です。虚弱と診断されて問題となるのは健常者に比べて転倒の発生が1.3〜2倍、移動能力の悪化が1.5〜2倍、日常生活レベルの悪化が2倍以上になることで、その後、寝たきりや要介護になるということです。高齢者では75〜79歳で7%、80〜84歳で12%、85〜89歳で25%、90歳以上で44%が虚弱となります。虚弱の原因は筋肉量の低下で、サルコペニアと呼びます。脳が冴えている高齢の女性は多いですが、サルコペニアになる人も多いのです。

◆アメリカでの研究
 アメリカのボストン大学では100歳以上の長寿者を3群に分けて研究しました。1群は80歳以前に糖尿病や心筋梗塞を経験した人(43%)、2群は80歳以降にこれらの病気を経験した人(45%)、3群は100歳を過ぎても病気らしい病気をしていない人(12%)です。調査の結果、病気の圧縮という考え方が生まれました。病気をなるべく人生の最後に押しやることができる人が長生きするという考え方です。また、95歳以上の人とそれ以下の人で、ガン・心臓病・糖尿病・高血圧・骨粗鬆症がいつ起きたかを比較した結果、95歳以上の人の方が遅く起こり、発症時期には18〜24年の差がつきました。よって、病気にかかりにくいと寿命が長くなる確率が上がることが分かりました。この研究では長生きしている人は全体の33%で、男性が27%、女性は34%でした。長生きの人は病気にならないだけでなく、身体障害も防いでいます。そして、長寿の秘訣は、病気になってもそれを乗り越える元気さを持つことであると結論しました。

◆健康寿命から幸福寿命へ
 人間の限界寿命は115〜120歳位だといわれます。日本には100歳以上の百寿者は6万人以上います。ところが、110歳以上の人は146人しかいません。(平成27年国勢調査)90万人に1人の割合です。彼らは人生を限界寿命まで生きているのです。生きることにかけて完璧な成功者であり、長寿エリート、奇跡の人です。その壁は100歳と110歳の間にあります。今後も100歳までの人は増加しますが、110歳を超える人は多くはならないでしょう。110歳を超える長寿の人は高血圧や糖尿病、脂質異常症、ガン、認知症などにはなりません。肥満ではなく、血液中の炎症の度合いを示す数値が極めて低いという共通点があります。
 脂っこい食品をたくさん食べると腸に炎症が起こり、それが引き金となって全身の臓器に炎症が拡散します。腸内細菌がいつまでも若々しく保たれて腸が健康ならば全身の健康を長く維持でき、栄養状態が良好であれば免疫力が強く維持されて長寿につながります。よく食べて、風邪をひかないことで80以降の人生が充実し、幸福になります。
 加齢とともに頑固になり、人の言うことを聞かなくなるのが老化の始まりです。イライラや不機嫌さが増し、不幸せな気持ちになることが認知症を誘引します。高齢者は愉快に過ごしていれば動脈硬化が中程度で止まります。健康寿命からさらに進んで幸福寿命になることで認知症は防げます。幸福寿命で生きられれば限界寿命まで生きられて天寿を全うできるのです。すべてのことに感謝し、人の言うことに耳を傾け従うことが幸福につながります。毎日を楽しく過ごせるかどうかが重要なのです。あなたも長寿エリートを目指してみましょう。

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